不動産を買う 不動産活用

その土地に「昔何があったか」を調べる5つの方法。パソコンだけでもOK

2022年7月5日

不動産取引の前に、その土地に何があったのかという履歴を調査することはマストです。

地震大国日本では、かつて湿地だった場所や池だった場所は避けたいからです。

フドマガ
しかし不動産屋もあまり詳しい調査はしておらず、自分でがんばるしかありません!

この記事では、無料で利用できるおすすめのサイトを3つと、法務局で閉鎖謄本を取る方法を紹介しました。

ネット上の調査はすべて無料です。ぜひ、土地の履歴を調べておいてください。

パソコンだけで「その土地に昔何があったか」を調べる

自宅のパソコンだけでも「その土地に昔何があったのか」という履歴を、かなり詳しく調べることができます。

不動産取引の前に、必ずチェックしておくことをおすすめします。

その際のおすすめサービスが4つ(3サイト)あるので、まず「どんな調査に使えるか」というざっくりした傾向をお伝えしておきます。

おすすめ3サイト(4サービス)
地理院地図(明治の低湿地)明治期に低湿地でなかったかどうかを調査できる
地理院地図(航空写真)大量の航空写真から過去の土地履歴を閲覧できる
今昔マップ(スマホ対応)★19世紀末から2000年代までの土地履歴を調査できる
ひなたGIS(スマホ対応)近年の災害状況を地図で閲覧。その他データも豊富

おすすめは4つ全部を駆使してガッチリ調査することですが、時間がない場合やスマホだけで調査したい場合は、今昔マップだけでも見ておいてください

後悔のない不動産調査は、しっかりした物件調査があってこそです。

全国の土地の履歴を「地理院地図」で調べる

現在の地図と明治期の地図を重ね合わせて表示

国土地理院の「地理院地図」では「明治期の低湿地データ」を見ることができます。明治期にその場所が池、川、葦原などの低湿地であったかどうかを調べることができ、不動産取引の前に見ておくと役に立ちます。

下記のページを開き、「『明治期の低湿地データ』の閲覧(地理院地図)」をクリックすると閲覧できます。

フドマガ
今回は「横浜市鶴見区市場下町」を見てみます。

このあたりは河川の流れを変える改修工事が行われているので、明治期に川があった場所を見てみましょう。

  1. 日本地図が表示されている画面の左上に、検索したい地名を入力
  2. 検索結果が表示されるので、該当するものをクリック
  3. 表示された画面を移動・拡大する

クリックしたままマウスを動かすと移動でき、地図右にある縮尺の「+」「-」をクリックすると拡大・縮小できます。

マウスのホイールを回して拡大・縮小することもできます。

濃い水色が明治期の鶴見川

現在の地図に、明治時代の低湿地データを重ね合わせた地図を見ることができます。

横浜市鶴見区市場下町周辺では、鶴見川の流域が現在と違っていることがわかります。明治時代、鶴見川はコの字型に湾曲して流れていましたが、その旧河川流域上に、現在は家が立っていることもわかります。

青や黄色に着色された部分をクリックすると、「田」「ヨシ(葦原)」などの凡例が表示されます。

下水処理場付近は葦原だったことがわかる

たとえば、現在の下水処理施設は黄緑色で表示されているので、葦原だったことがわかります。

現在の製菓工場は「田」と表示

現在大きな製菓工場がある場所は黄色で表示されているので、明治時代は田んぼ(水田または陸田)だったことがわかります。

この製菓工場一体が広大な水田地帯だった

地理院地図の「明治期の低湿地」データは全国をフルカバーしているわけではありませんが、もしカバーされている場合はまっさきにチェックしておいてください。

掲載エリア外の場合は、他のサイトでも調査できます。

地理院地図はスマホ非対応なので、スマホで見る場合は少し下で紹介している「今昔マップ on the web」がおすすめです。

地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)

国土地理院は、地理院地図のサイトで無数の航空写真を提供しています。戦後すぐの1940年代に米軍が撮影したものから、ごく最近撮影されたものまで、多数の航空写真が閲覧できます。

明治期の低湿地データに加えて年代別の航空写真を見ておくと、土地の利用状況の変遷が理解できます。

1944年の鶴見区市場下町付近(陸軍撮影)

まず、以下のページを開いて注意事項を読み、「同意する」をクリックしてください。

続いて、左メニューの「分類」の中の「空中写真」をクリックします。

あとは日本地図を拡大し、見たい場所を表示します。細かい説明は長くなるので、以下に動画解説を掲載しておきます。

「今昔マップ on the web」で土地の履歴を見る

埼玉大学教育学部の谷謙二さんが公開している「今昔マップ on the web」は、19世紀末ごろから2005年までのデータセットを切り替えながら、「昔その土地に何があったのか」という履歴を見ることができます。

横浜市鶴見区市場下町付近

再度、横浜市鶴見区市場下町付近を見てみると、鶴見川がコの字に曲がっていたのは1960年代末か1970年代初め頃までで、その頃川の流れの改修工事が行われたことがわかります。

右図の水色でマークした部分が旧河川

この部分の住宅地は「昔は川だったところに立っている」こと、そして埋め立てから60年ほど経過していることがわかります。

60年経って問題ないようであれば、地盤についてもある程度安心できるかもしれません。

今昔マップは一応スマホに対応しており、スマホだけで調査したい場合にも利用できます。

「ひなたGIS」で広いエリアの土地履歴を見る

ひなたGISは広い地域をざっくり把握するのに向いています。

フドマガ
私は、そのエリアに過去どんな自然災害があったのか? といった調査に利用しています。

たとえば令和2年豪雨の時のデータから、岡山県倉敷市を表示すると、当時の真備町の被害状況がわかります。

このように、どのエリアに被害が及び、どのエリアが被害を受けなかったのかを知ることができます。

2021年現在の倉敷市真備町

現在この地域では、安全性を高めるための改修工事が行われています。しかし、それでも不安な場合はデータを見ておくと役に立ちます。

法務局で「その土地の地目は何だったか」を調べる

登記簿は有料だが取る価値あり

地理院地図や今昔マップで「この土地に以前池があった」など、履歴がわかります。さらに別角度から調べるには、法務局で「閉鎖謄本」を取ることになります。

不動産の登記簿は、平成中期に電子化・ネットワーク化されました。

閉鎖謄本を請求すると、それ以前の紙の登記簿の写しを出してもらえます。土地の場合、多くは明治期までさかのぼります。

閉鎖謄本による土地履歴の調査は、地方部で、その土地があまり分筆・合筆されていない場合に有効です。

フドマガ
都市部であれば土地の形状が大きく変わっていることが多く、地理院地図などで調査するほうがわかりやすいかもしれません。

実際の閉鎖謄本でわかること

実際の閉鎖謄本の写し

今回、記事作成のために自宅と事務所が立っている土地の閉鎖謄本を取ってきました。

自宅の土地については、昭和46年以前の地目は「田」であったが、その後たくさんの土地とともに合筆され、1654坪の大きな土地として、泉南郡阪南町(現在の大阪府阪南市)の所有になったことがわかりました。

事務所の土地については閉鎖謄本がなく、かわりに旧土地台帳の写しをもらってきました。こちらも大きな土地の一部だったらしく、明治期の地目が「郡村宅地」だったことがわかります。

郡村宅地も宅地ですが、一般の宅地よりちょっと価値が劣る田舎の宅地です(現在は廃止)。

このように閉鎖謄本から、分筆・合筆の歴史や、その土地の履歴を知ることができます。

まとめと調査方法のおさらい

パソコンやスマホでも調査可能

まとめると、まず押さえておきたいのは「土地を買うなら過去の履歴を見てから」という点です。買った後でも、気になる人はぜひ調べてみてください。

記事で紹介したサイトは3つ(サービス数は4つ)あり、すべて無料で利用できます。

地理院地図①明治期の低湿地データと②航空写真
今昔マップ明治から最近までの古地図で履歴を調べる
ひなたGIS最近の災害データなどを地図上で確認

これらのサイトを利用すれば、家のパソコンで「昔その土地に何があったか」を調べることができます。

フドマガ
簡単なので、ここまでは絶対にやっておきましょう!

それでも疑問点が残ったら、法務局で閉鎖謄本を取ってみます。すると、現在の登記簿ではわからない、昔の地目や売買の履歴を見ることができます。

ここまでやっておけば、不動産仲介業者よりもその土地の履歴に詳しくなるはずです。

フドマガ
実は、これを全部やっている不動産業者はあまりいません。大丈夫かな……。

-不動産を買う, 不動産活用
-