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「家賃9万円はもったいない」持ち家より3万円ソンしている事が判明

2022年4月8日

横浜市鶴見区での試算

横浜市鶴見区内の「家賃9万円」の物件、買ったらいくらか計算しました。ローン月額(修繕積立金含む)6万円以下という結果になりました。

Yahoo!知恵袋で閲覧数が多い質問「家賃に9万ってもったいないと思いますか?」に様々な回答が寄せられていました。どれが正解かわかりません。

そこで試算してみたところ「家賃9万円の物件を買うとローンの月額は55,775円(修繕積立金含む)」という結論に! つまり家賃を払うと3万円ほどソンしている計算になります

買えば3万円安くなりますよ!

また、さらに幅広く「賃貸か持ち家か、どちらが有利?」というテーマを調査・分析した記事もあります。

関連記事賃貸か持ち家か? 30代までは賃貸、40代は持ち家が合理的

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同じレベルの物件に住むとしたら、コストは持ち家が有利

鶴見川周辺の風景

同一エリアにある賃貸物件と持ち家を比較すると、ほとんどの場合持ち家の方が安く住めます

具体的に検討するために、横浜市鶴見区で家賃9万円の賃貸物件をリストアップしてみました。

横浜市鶴見区内にある家賃9万円の物件とは?

athomeに掲載された家賃9万円の物件
物件名 家賃 管理費等 間取り 面積(㎡)
鶴見区生麦5丁目マンション(仮) ¥90,000 ¥6,000 1DK 25.12
ウノビスタ鶴見B ¥90,000 ¥7,000 1LDK 30.09
プランタン鶴見 ¥90,000 ¥4,000 1LDK 46.76
Dear’s on下末吉 ¥90,000 ¥2,000 1DK 35.07
パール鶴見東 ¥90,000 ¥10,000 1DK 32.5
グリシーヌ ¥90,000 ¥4,000 3DK 52.65
メゾン・ド・ベル ¥90,000 2K 43
ユーフォリア ¥90,000 ¥4,000 3DK 57
サンライズ林2 ¥90,000 ¥2,000 2LDK 49.93
サンライズ黒川 ¥90,000 ¥3,000 2KD 46.24
グレイスヒル二本木 ¥90,000 ¥5,000 2KD 46
ヴェルメゾンミヨシ ¥90,000 2DK 40.5
荒井ビル ¥90,000 2DK 44.55
クリーンハイツ ¥90,000 2DK 43.74
生麦の戸建て賃貸 ¥90,000 3DK 72.28
平均 ¥4,700 44.362

2022年4月現在。athomeに掲載された家賃がちょうど9万円の物件一覧(重複除く)です。

ざっくりまとめてしまうと、横浜市鶴見区の家賃9万円で住めるのは……

家賃9万円で住めるのはこれ!
面積44.362㎡
管理費 4,700円
間取り1Rから3DK

この表のような物件でした。

これと同じ立地(鶴見区内)で同じ規模のマンションを、持ち家として買うならどうなるでしょうか?

家賃9万円で住める平均的なマンションを買うとしたら?

横浜市鶴見区内で売り出されている面積45㎡くらいのマンションを探してみましたが、難航しました。そこで、やや広すぎですが54.9㎡の物件をピックアップしています。

分譲マンションで40㎡台の物件は少ないからです。

「家賃9万円」の物件に比べると広すぎですが、価格は1380万円です。賃貸物件と、この物件を比較してみましょう。

家賃9万円物件と同等の持ち家物件
価格1,380万円
交通京急本線生麦駅徒歩15分
構造RC
築年1986年3月
専有面積54.9㎡
間取り3LDK
修繕積立金等16,820円

仮にフルローンで、金利が高めの融資(ここでは1%で試算)を利用した場合、計算結果は次のようになります。

家賃9万円の物件を買ったら?
月々の支払い38,955円
管理費等16,820円
合計55,775円

賃貸物件の築年数が平均築後24年だったのに対して、持ち家物件は築後36年と一回り築古です(原稿作成時点)。反面、賃貸物件の床面積が44.362㎡なのに対して、持ち家物件は54.9㎡と一回り広く、比較対象としては一定の妥当性があると考えました。

これを賃貸の場合と比較すると月々のコスト差が明らかになります。

賃貸と持ち家の差は?
賃貸物件月々94,700円
持ち家月々55,775円
差額月あたり38,925円

管理費や修繕積立金を含めても、マンションは買ってしまったほうが有利だといえます。

持ち家の融資については35年償還、金利1%固定、ボーナス払いなしとして試算。賃貸物件の月額には共益費等を含む。

この計算で、ざっくり「賃貸は持ち家に比べて3~4万円ソンをしている」ということがいえそうです。

ここでは35年ローンで試算していますが、25年ローンを組んでも月々の返済額は52,008円。修繕積立金等を加えても月々の支払いは68,828円となり、賃貸よりも明らかに有利です。

賃貸と持ち家のコスト比較について、より詳しく比較したい人には以下の記事をおすすめします。

しかしなぜ、賃貸の方がコストが高くなってしまうのでしょうか? その理由は、家賃に含まれているさまざまな「コスト」にあります。

家賃に含まれる「コスト」がもったいない理由

家賃にはさまざまなコストが乗せられている

賃貸不動産はビジネスで運用していますから、その家賃にはコストと利益が乗せられています。

なかには持ち家であれば必要ないコストがいくつかあり、それらが家賃を押し上げる理由となっています。

では、どんなコストが乗せられているのでしょうか? 詳しく見てみましょう。

家賃に乗せられている「コスト」
  • 大家の利益
  • 空室コスト
  • 滞納コスト
  • 原状回復費(住み替えコスト)
  • ローンの金利

「大家の利益」とは?

アパートの利回り計算式

アパートにしろ賃貸一戸建てにしろ、その物件を調達する時に大家さんはしっかり収支計算をします。いわゆる利回り計算というものですが、ざっくりと出す時は、以下のような計算式を用います。

実質利回り=(年間収入−諸経費)÷(物件購入価格+諸経費)× 100

建物は徐々に古くなっていき価値が下がります。そのため、当初この利回りはあまり下げることができず、少なくとも4%以上のラインを狙います。利回りのつきやすい中古アパートなどでは、10%を超える利回りになる場合もあります。

この大家さんの「利益」は家賃に乗せられています。

「空室コスト」を家賃に乗せておく、とは?

空室になる期間がある事を見込んでおく

実際にアパートを購入する時は、上記で紹介した利回り計算をさらに細かく計算した表を作ります。これをレントロールと呼びます。

詳細なレントロールを作る時は、まず周辺地域の空室率を調査し、それに基づいて「この物件がどれくらい空室になるか」を割り出します。そのコストも上乗せして、入居者に貸し出す際の家賃を決めます。

「滞納コスト」を家賃に乗せておく、とは?

一般的に家賃の滞納率は2〜4%くらいです。わずかな割合ですが、滞納コストを試算に加えて家賃に上乗せすることがあります。

ただし、最近は家賃保証会社にリスク管理を丸投げすることでこのコストを無視することもあります。

アパート大家の「ローンの金利」とは?

住宅ローンは世の中のローンの中で最も低金利なものの1つです。それに対して、アパートを建てる時のアパートローンは、かなり金利が高くなります。

住宅ローン0.5〜1%くらい
アパートローン1.5〜2%くらい

持ち家でもローンを借りれば金利は発生しますが、非常に低金利です。アパートローンの金利は、ざっくり住宅ローンの金利の倍くらいというイメージになります。

この高い金利の利息も、結局は家賃に組み込まれています

さらに問題なのは不動産屋が余計な費用を徴収すること

もう一点、賃貸のコストを増大させているのは不動産屋による余計な費用の徴収です。たとえば浄水器が半強制的にセットになっていたり、「24時間安心サポート」的な名前の使えないサービス、2年に1回の更新手数料などなど……。

最近とくに問題になっているのが、家賃保証です。家賃保証会社が「家賃を保証する」という名目で毎年月額家賃の5割〜10割くらいのお金を徴収しますが、これは必要でしょうか?

そもそも家賃を保証してくれるのではなく、しばらく建て替えるだけですぐに入居者に請求してくるのに、こんなに高い保証料を払う必要があるのでしょうか?

このあたり、詳しくは以下の記事にまとめています。

しかし持ち家を買う時にも落とし穴が!

「それなら賃貸から持ち家派に転向しよう」と考えた時、多くの人はまず「どんな物件があるか?」から考えてしまいますが、ちょっと待ってください。

前提として「賃貸よりも本当にお得になる家」に住みたいわけですから、まずは予算からスタートしましょう。

  1. 自分にローンの借り入れが可能か?
  2. 借り入れられる「枠」はいくらか?
  3. 収入に対していくらまでの借り入れが安全か?

このあたりはぜひおさえておき、予算を確定しましょう。

次に、その予算で買えるベストな物件は? と考えていきましょう。

年収300万円の人なら1,500万円まで、年収600万円の人なら3,000万円までの物件を狙うと無理なく返済できます。

予算についてより詳細に検討したい方は、ぜひ以下の記事も参照してください。

関連記事住宅ローンの最強ツール「モゲチェック」が可視化する「買うべき物件」

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飛び込みで不動産屋に行くのがNGな理由

うちの弟が家を買う時、とりあえず飛び込みで不動産屋に行ったのを見てびっくりしました。

フドマガ
私なら、絶対にやりません。

なぜなら、飛び込みで不動産屋に行って勧められるのは「不動産屋が売りたい物件」であって、あなたにぴったりの物件ではないからです。

では「自分にぴったりの物件はどうやって見つけるの?」というのが、ここからのお話です。

不動産屋が悪いわけではなく、不動産営業マンも会社員ですから、会社のためになる物件を売るのが義務です。「向こうはビジネスでやってるんだ」と理解すると、不動産屋に行く前に知識をつける必要が理解できます。

まずは自分が「いくら借りられるか」を知る

金利が安い銀行ほど狭き門

住宅ローンは意外と複雑です。やるべき事は決まっていて……

  1. 自分が借り入れできる最も有利な銀行を確定
  2. 「いくら借りられるか?」自分の借り入れ枠を確認

この2つをやっておかないと「自分がどんな家を買えるか?」がわかりません。しかし、一般には非常に難しく無理ゲー気味です。

フドマガ
多くの人は適当に対応しているはずです。

そこで、それらを解決するために作られたモゲチェックというサービスを使うのがおすすめです。すべてのメガバンクやネット銀行などと提携し「ベストな金利で借りられる銀行」や「借入枠」を提案・判定してくれます。

モゲチェックが登場した2010年代後半、現役の不動産屋だった私は「ほっとした」のを覚えています。

不動産屋にとって荷が重いお客さんの融資対応を、安心してモゲチェックに任せられるからです。

当時、ツイッターでモゲチェックの取締役の方にからんでいただき、いろいろなことを質問できました。「住宅ローンをマジメに追求している会社だ」と思ったことを覚えています。

月々の返済額は最大でも「手取りの25%」がめやす

金融機関に相談すると、借り入れは手取りの30%前後まで大丈夫と言われることが多いようです。無理をすれば手取りの35%くらいまで借り入れ可能です。

しかし、それは銀行が貸したい金額です。

持ち家は賃貸より、絶対にお得だといえるのですが、それも「無理のない返済」が前提です。

おすすめは手取りの25%以内。欲をいえば手取りの20%におさえておくのが理想です。手取り25万円の人なら5万円ということになります。

リーマンショックに学ぶ返済比率

アメリカでもかつては「住宅ローンは破綻しにくい」と考えられていました。もともと返済比率を20~25%までとする金融機関が多かったからです。ところが返済比率の上限を大幅に緩和したことによってリーマンショックが起きました。そこから考えても、返済比率20~25%というのが安全な水準です。

たくさんの物件を比較できるのはニフティ不動産

私が友人、知人から「どの不動産情報サイトを見ればいい?」と尋ねられた時にすすめているのは、ニフティ不動産です。

ニフティ不動産は、athome、LIFULL HOME'S、SUUMOなどたくさんの不動産情報サイトをまとめて検索できるサービスだからです。

たくさんの情報を集めているため、フォーマットに統一感がないのが残念ですが、それでも「ここさえ見ておけば大丈夫」というのは便利です。

ニフティ不動産は、たとえば面積が㎡表記だったり坪表記だったりしますが、そこまで決定的にわかりにくいわけではありません。

ローン月額以外の「諸費用」等にも注意する

最後の最後に注意しておきたいポイントですが、物件探しをする前に維持費と諸費用を想定しておいてください。

そこを考えずに物件探しを始めてしまうと、どうしても「この物件いいなぁ」と欲しくなった物件を買ってしまい(買えてしまいます)、後から「こんなはずじゃなかった」ということになりがちです。

マンションであれば管理費と修繕積立金が月々1~2万円はかかりますし、築年が古くなると金額が徐々に上がっていきます。

固定資産税も年間数万円から十数万円はかかります。

そこで、月々のローン支払いは「自分に払えるめいっぱいの金額」ではなく「あと何万円かの余裕は残っている」というレベルにおさえるのがおすすめです。

そこから、ローンの支払は手取り月額の20%くらい、という話につながっていくわけです。

すべては、借り入れ可能な銀行や金利、自分の借入枠を知ることから始まります。

住宅ローン破綻しない持ち家の買い方は、以下の記事でより詳しく解説しています。

関連記事家を買う本当の手順。ローンを知り「予算を確定」することが第一歩

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それでも賃貸に住むべき理由は?

家を売ることより引っ越しの方が大変

コストをきちんと比較すると、賃貸より持ち家が有利です。しかし、世の中コストだけでは判断できません。しかし……

賃貸なら転居する自由がある。

そんな意見もありますが、ここ10年で持ち家→持ち家→賃貸→持ち家と3回引っ越しをした私としては、持ち家も賃貸も、転居する自由は変わらないと感じます

フドマガ
家を売却するより物理的に家財を運ぶほうがしんどいです。

そう考えると、賃貸に住むメリットは2つしかないような気がします。

①家について面倒なことを考えなくてよい

リフォームや害虫予防はそれなりにめんどう

持ち家では、それなりにめんどくさいことがあります。

  1. よく考えて物件を買わないと非常にまずいことになる
  2. 外壁塗装やシロアリ防除工事をしないといけない
  3. 物件の立地条件によってはご近所づきあいがめんどう

たとえば、「持ち家の人は町内会に入会必須。賃貸の人は任意」といった取り決めがある場合もあります。入会必須は、ちょっとしんどいかもしれません。

メンテナンスもめんどうといえば、めんどうです。シロアリ防除工事は5年に1度、外壁塗装は10〜15年に一度施工しなければならず、手間がかかります。

ただし、シロアリ防除や外壁塗装などのメンテナンス費用を加味しても、コスト面では賃貸より持ち家が有利です。

トドメは「物件選びを間違えると危険」という点。不動産を買う時はかなり慎重に物件を吟味する必要があり、ここで間違えると「いざという時に売れない」「メンテナンスコストがかさんで大変」という事態にもなりがちです。

②人生の可能性に挑戦できる!

個人的にはこれこそが賃貸住宅の最大のメリットだと考えています。

住宅ローンを抱えてしまうと、起業したり転職したり、という挑戦がしにくくなります。その点、賃貸であれば「事業に失敗したら安い所に引っ越せばいいさ」と考え、よりさまざまな仕事、勉強などに挑戦することができます。

フドマガ
会社を休職して1年間海外留学! なんていうことも賃貸なら可能です。

まだまだ挑戦することがあるなら、賃貸と持ち家のコスト差は小さい話。身軽に挑戦できる賃貸住宅がベストです。

公営賃貸を選べばコストメリットを最大化できる

ここまで「賃貸」とは民営賃貸という前提で考えてきました。しかし、県営団地などの公営賃貸もあります。公営賃貸は、入居時の収入要件があるものの、ものすごくコスパが高く設定されています。

フドマガ
私も一時期、公営賃貸に住んだことがあります。

長年勤めた出版社を退職し、1年経ったタイミングで収入ががくんと減り、県営団地に入居できたのですが、家賃は非常に安かったです。

沖縄の海が見える高台にある団地の最上階(ただしエレベーター無し)で、約70㎡の床面積があるのに家賃は3万円弱でした。

もし老後に年金生活となった後であれば、公営賃貸は安くてメリット大です。


参考文献

宗 健(2021)「持ち家VS賃貸論争、データを見れば結論は出ている」日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00247/022200004/

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