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50代・60代の住み替え事情。シニアの終のすみかをデータとブログから考える

2022年3月31日

「老後は平屋以外考えられないわよ!」

と言ったのは知人の看護師さん。彼女は多くのお年寄りが、歳とともに2階に上がる体力をなくすのを目の当たりにしてきました。

確かに歳を取ると、2階は使わなくなります。

フドマガ
しかし、先輩シニアの方々は、どのように住み替えているのでしょうか?

実はデータを見ていくと「あれ、ぜんぜん住み替えてない!」ということがわかりました。

この記事では、

という、2つの観点から、50代・60代の住み替えを考えます。

データから見る日本のシニアの住み替え事情

やはり老後は平屋が使いやすい

冒頭に書いたように、老後をにらんだ住み替えなら平屋が最適ですし、多少部屋が狭くても、病院やスーパーが近くにあるエリアに引っ越すべきです。

しかし、データをひもとくと、日本のシニアたちは広すぎる家・不便な環境に住んでいることがわかります。

その背景には…

  1. 住み慣れた家を離れたくないという思い
  2. 「まだ老いは先」と油断して手遅れになっている

といった事情がありそうです。

65歳以上人口の2割近くが要介護認定

50代・60代の住替えで、大前提となるのは「老後をどうすごすか」という問題。

国土交通省の資料によると、65歳以上人口約3,350万人のうち、18.5%にあたる620万人が要介護(要支援)認定となっています(平成27年10月現在)。

そこから、将来を見据えるならやはり、階段を使わずに生活でき、バリアフリーな環境を備えた家に住み替えるのがいいとわかります。

フドマガ
しかし現在のシニア層は、老後に不向きな家に住んでいます。

高齢者の多くが「広すぎる」家に住んでいる

年齢階層別持ち家比率

このグラフは年齢別の持ち家比率を集計したもの。30代後半から40代で持ち家が5割を超え、50代・60代では8割近くが持ち家に住んでいることがわかります(平成20年の集計)。

フドマガ
シニア層は圧倒的に持ち家が多いのです。

では、そんな持ち家派の人達は、どんな家に住んでいるのでしょうか?

東京都が発表した資料によると、子育てが一段落した65歳以上世帯(単身および高齢夫婦)の約33.4%が100㎡以上の住宅に住んでいることがわかっています。

一方で、持ち家世帯のうち4人以上世帯の59.8%が100㎡未満の家に住むという、アンバランスな状況が指摘されました。

高齢者の家は広すぎ!?
持ち家世帯類型別床面積構造(東京都)

高齢の単身世帯や高齢夫婦のみの世帯にとって100㎡超の住宅は手に余るはずですが、それでも利便性の高い手頃な物件に引っ越しをする人はごくわずかです。

高齢者は引っ越さない!?
年齢階級別5年移動率

これは国立社会保障・人口問題研究所が作成したグラフで、年齢階級別の5年移動率を表しています。30歳前後でピークとなり、約5割の人が5年以内に引っ越しをしていることがわかります。

一方、60歳以上のシニア層ではほとんど引っ越しをしなくなり、5年移動率はわずか1割にとどまります。

つまり、「老後をにらんで便利な家に引っ越したほうがいいなぁ」とわかっていながら、実は引っ越しはしないという傾向が明らかなのです。

日本では高齢期をにらんでベストな家に引っ越しをする人が少ない。

フドマガ
本当は、まだ体力があり動けるうちに、理想の終のすみかに引っ越したほうがいいと思うのですが……。

理想の終のすみかを探すとしたら?

ベストセラーとなった『未来の年表』という本をご存知でしょうか?

大正大学客員教授の河合雅司さんが、人口減少社会の日本でこれから起こることを年表形式でまとめた新書です。いくつか抜粋してみると、未来に起こることに驚かされます。

2024年全国民の3人に1人が65歳以上
2033年3戸に1戸が空き家になる
2040年自治体の半数が消滅の危機に
2042年高齢者人口がピークに(4000万人)
2045年東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年世界的な食料争奪戦に巻き込まれる

こうしてみると、人口が減り続ける日本で田舎暮らしをするのは危険だとわかります。住んでいる自治体が、やがてなくなる可能性もあるからです。

一方、東京圏では、現在人口を支えている若い人たちが20年後には高齢者となり、都政を圧迫することが予測されています。

ますます高齢者向けの介護施設に入りにくくなり、自宅での介護生活しか残された道がなくなってしまいます。

結局、我々が老後を迎える時に住むべき家とは、

  • 歳をとっても住み続けられる環境=都市部で駅に近い
  • 介護が必要になっても対応できる環境=平屋かマンション

という自衛手段を備えた物件ということになります。

憧れの「田舎暮らし」は避けるべき?

私は沖縄県で宅建業(不動産仲介)を営んでいたので、大都市圏から定年後に移住してくるご夫婦を多数案内しました。残念ながらそのほぼ全員が、数年後にまた内地に戻られました。それなら、田舎暮らしは賃貸で十分だと感じます。2~3年田舎暮らしを満喫し、その後はまた便利な都市部に戻るべきでしょう。

どこに住むべきか? 2つの視点から考えると?

ここまで見てきたように、50代・60代の住み替えには2つのテーマがあることがわかります。

  1. どのエリアのどこに住むか?=場所
  2. どんな家に住むか?=物件

理屈で考えるなら、縮みゆく日本で、住むべき場所ははっきりしています

歳をとっても住み続けられる「場所」を探す

うちの両親は80代。40年前に買った郊外のニュータウン(もうニューではありませんが)にある、床面積120㎡の一戸建て住宅に住んでいます。

最寄り駅まで1.5km。お世話になっている2つの病院まで7.7kmと14.5kmあり、自力では通えないので送り迎えをしています。米などの重量物を買うときも車で送迎しています。

フドマガ
おかげで私たち兄弟は大変です。

「実家を売却して駅前のマンションに住んだら暮らしやすいのに」といつも思います。

資産価値の点から考えても、駅から近ければ近いほど将来の価格が落ちにくく、リバースモーゲージなどで自宅を売却する場合も有利です。

参考までに、駅からの距離と価格の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

駅から遠い家の場合、早めに売却しないと資産価値がどんどん落ちていく結果になります。「住み替えるなら早めに」が鉄則です。

同じ「駅前」でも、都道府県によって差が出る

2050年までに無居住化する地域

図の緑色の点は、国土交通省が発表した「2050年までに無居住化する地域」。30年後の日本には、大量のゴーストタウンが点在しています。

この時、人口30万人以上の都市圏は61か所から43か所へと激減しています(三大都市圏を除く)。

つまり駅前ならどこでもいいわけではなく、一定の人口を保てる都市部の駅前でなければ、いつかそこには駅がなくなり駅前でなくなってしまう可能性があります。

2050年でも住める都市

2050年も30万人以上の人口を確保できると予測される都市は、札幌、小樽、江別、八戸、盛岡、仙台、大崎、秋田、山形、福島、郡山、水戸、ひたちなか、土浦、つくば、宇都宮、鹿沼、栃木、小山、築西、足利、佐野、桐生、太田、前橋、高崎、伊勢崎、新潟、三条、新発田、長岡、戸山、高岡、金沢、小松、白山、福井、甲府、長野、松本、沼津、三島、静岡、富士、富士宮、焼津、藤枝、島田、浜松、掛川、磐田、豊橋、豊川、長浜、彦根、東近江、和歌山、岡山、倉敷、福山、尾道、三原、広島、呉、廿日市、東広島、岩国、徳島、高松、松山、高知、北九州、下関、福岡、飯塚、筑紫野、春日、久留米、唐津、佐賀、長崎、諫早、熊本、大牟田、八代、大分、別府、宮崎、鹿児島、那覇、浦添、沖縄、うるま(三大都市圏を除く)

住み替え先を探すなら、こういったデータも参照しながら慎重に検討する必要があります。

歳をとっても住み続けられる「家=物件」の条件

希望する高齢期の住まい

日本の高齢者は歳をとっても住み替えをしない傾向がありますが、それに加えて、介護が必要になっても「現在の住宅に住み続けたい」という人が多数派です(50.2%)。

フドマガ
歳を取ると変化を好まなくなるのかもしれません。

加えて、我々が高齢で要介護になる時期には、そもそも施設に入居できない可能性もあります。

それなら、

  1. 自宅介護を考えて、はやり平屋かマンションに転居する
  2. できるだけバリアフリーにリフォームしておく
  3. 要介護時代にそなえて浴室や居室を広めにとっておく

といった対策は必須だといえます。

住み替えで駅近のマンションに移るという場合も、しっかりバリアフリーにリフォームをしておき、手すりなどもあらかじめ設置しておくと安心です。

特に浴室の手すりなどは必ず必要になるため、純正オプションでつけておいたほうが見た目もよくおすすめです。

住み替えの手順やコツは?失敗しやすいポイントは?

ここまで見てきたデータから、できることならまだ体力がある50代・60代のうちに理想の住み替えをしておくべきだと判断できます。

その時、押さえておきたいのは「住み替えには手順があり、間違えると意外と危険だ」という点です。特に売り先行か買い先行か、という問題は重要です。

売り先行手持ち物件を先に売ってから住み替え物件を探す
買い先行買いたい物件を先に契約してから手持ち物件を売却する

冷静に考えれば当たり前ですが、売り先行が安全です。

しかし、実際に売買するときにはなぜか冷静に考えられず、買い先行で決めてしまう人がけっこういます。この問題について、詳しくは以下の記事で解説しています。

eye catch of value counting service guide
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正確な価格査定が出せる業者に仲介を依頼する

売り先行であれ買い先行であれ、住み替えにおいて重要なのは、手持ちの不動産の価格を正確に査定すること。単純売却に比べて、できるだけ正確な査定額を出した上で、期間内に売り切るという作業が必要だからです。

単純売却時間をかけられるので高値で売り出して様子を見ることも可能
住み替え売る・買うを同時に行うためタイミングがシビアで正確な査定が必須

この点、住み替えをブランド化した「三井のリハウス」は、正確な価格査定で知られています。

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「三井のリハウス」は、三井不動産リアルティの「ブランド」です。1980年代、宮沢りえを起用したCMで「リハウス=住み替え」を強く印象づけました。 ではなぜ、三井はこのブランドを作る必要があったのでしょ ...

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上記の記事からもわかる通り、単純売却に比べて複雑になりがちな住み替えを検討する場合に、三井の信頼性が高い査定が役に立ちます。

全国で300店舗近い直営店を運営しているので、地方部でも対応できる場合が多いですが、もし「三井のリハウス」で対応不可であれば、以下の記事で不動産の一括査定サイトを選んでみてください。

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50代・60代の住み替えブログを読む

老後を見据えて住み替えをした先輩たちのブログも必読

この記事を書くにあたって、「50代、60代で住み替えた先輩たちは何を考えていたのか」をブログから読み取ってみました。

すると、「みんな迷い、悩みながら住み替えている」ということがわかりました。

いくつかのブログから、先輩たちがどう住み替えたのかに迫ります。

50代からの身軽な暮らし~街のマンションへ住み替えて~

郊外の一戸建て(築20年以上)から、駅前にできたマンションに転居した顛末と今の暮らしを綴っています。

娘さんが独立し、犬もいなくなり……。結局家を売却してマンションに引っ越したそうですが、今の暮らしぶりも更新されており「駅前マンションに暮らしたら?」というイメージがつかめます。

70代で一戸建てからマンションへ住み替えをした両親。10年後の今、思うこと。

「ぼんやりスズメの備忘録」というブログの中の1記事(後編もあるので合計2記事)ですが、娘の目から見た「70代で一戸建てからマンションに引っ越した両親」という視点が参考になります。

住み替えの理由としては、

  1. 自宅の管理がおっくうになってきた
  2. 「町内会」や「班」で果たさなくてはならない役割が重荷になってきた
  3. 老後も2人で暮らすことを考えた
  4. 住み替えするなら、元気が残っている今が最後のチャンス

などがあげられています。

また、80代のお母さんにインタビューする形式で、住み替えについてどう思っているかも掘り下げています。ワンクッション置いた娘の視点が、むしろ参考になるなと感じました。

仲の良かった夫を亡くし、60代で住み替えを決意!! ~自由と広さと安心が決め手でした~

ゆいま~る福というサービス付き高齢者住宅(サ高住)のサイト内にある記事。純粋なブログではなく、やや広告っぽさはありますが、それでも「サ高住に住んだらどんな感じ?」という点は伝わってきます。

最愛のご主人を突然死という形でなくされた方が、どうやって暮らしを建て直したのかというストーリーも読み応えアリ。もし単身になってしまったら、サ高住もありかなと感じました。


参考文献

河井雅司(2017)「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」講談社現代新書
諸富徹(2018)「人口減少時代の都市」中公新書
総務省統計局「世帯の居住状況とその推移」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/nihon/4_1.html

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