
「三井のリハウス」は、三井不動産リアルティの「ブランド」です。1980年代、宮沢りえを起用したCMで「リハウス=住み替え」を強く印象づけました。
ではなぜ、三井はこのブランドを作る必要があったのでしょうか?
実はそれ以前、大手業者は中古不動産市場にほとんど手を付けておらず、明確な査定基準すらない状況でした。そこに踏み込み、不動産流通の近代化を進めるために、やるべき事があったのです。
この記事では、
- 三井のリハウスとは?
- リハウスで家を買う時の注意点
- リハウスで家を売る時のポイント
- 三井のリハウスの詳しいデータ
を掲載しています。
もくじ
リハウスとはなにか?

「三井のリハウス」は、1981年10月に三井不動産販売(当時の社名)が社運を賭けたCI(コーポレートアイデンティティ)の一環として打ち出したブランド名です。
1987年には、宮沢りえさんが初代リハウスガールとしてCMに登場しました。彼女はこれをきっかけにトップアイドルへの階段を駆け上がります。
ではなぜ三井不動産販売は「三井のリハウス」というブランドで、不動産流通の流れを変えようとしたのでしょうか?
実はその背景には、中古不動産市場がマスコミに「暗黒大陸」と書かれるほど不透明だったことがありました。1970年代以前「中古不動産流通は中小業者の聖域」と扱われており、大手不在の業界には、統一した査定基準さえなかったのです。
そんな中で、大手仲介業者として業界に参入するには、どうしても不動産流通の近代化を進める必要がありました。

今でこそあたりまえになった契約書や重要事項説明書のフォーマット化や、不動産流通機構(レインズ)の原型ともいえる仕組みを作ったのは、三井不動産販売でした。
それから40年以上「三井のリハウス」ブランドは続いており、最近、宮沢りえさんが34年ぶりにCMに登場したことで話題となっています。
1980年代と現在とでは、不動産流通の透明性に天と地ほどの違いがうまれました。

「三井のリハウス」で家を買う人が気をつけるべきことは?

不動産を売る時と違って買う時は、「どこで買うか」よりも「どの物件を買うか」が大切です。
そのため「必ずしも三井のブランドが必要」とはいえません。
たしかに「三井のリハウス」の営業マンは宅建士資格を持っていますし(もしかして「全員資格を持っている?」くらいの勢いです)、コロナの時代にあってバーチャル内覧に対応するなど、業務内容も進歩しています。
しかしそれでも「これだ!」と思える物件を持っている仲介業者を優先すべきでしょう。

ただし、頼りない仲介業者の物件を三井の営業マンを通して買うという方法はアリです。
「三井のリハウス」に掘り出し物は少ない!?

三井不動産リアルティは価格査定が正確な印象があります。
レインズで物件情報を漁っていても「三井の物件は激安とか、めちゃめちゃ高いとかはないなぁ」と感じます。

なんとなく激安物件に期待したり、ネットにない非公開物件に期待しても、見つかりそうな感じはしません。

ポジティブにいえば、「三井のリハウス」では、適正価格で納得して買うことができます。
三井のリハウス|外部リンク
「三井のリハウス」で家を売る時のポイント

三井のリハウスなど、大手仲介業者のメリットがいきてくるのは、需要が多い都市部の物件を売却する時。その理由はいくつかあります。
・資金力があるので広告宣伝が行き届きやすい
・顧客の問合せそのものが多いので、物件とマッチングしやすい
つまり潜在顧客をたくさん抱えているので、そこに情報を公開すれば、はやく成約するということです。
一方「三井のリハウス」のデメリットは?
デメリットは、大手仲介業者共通ですが、「営業マンが忙しい」点です。

当時は、3年かけて1つの物件を売ることも普通にありました。中小企業は、時間があるから粘れるのです。
しかし、大手仲介業者にそんなヒマはありません。
営業マン1人1人が担当する案件も多いし、コンプライアンス的に要求される仕事もたくさんあります。
- 相続物件だが、相続人が1人生死不明
- 十四条地図が存在しない
- 誰か知らない人が住み着いていた
などなど、やっかいな問題を解決しないと売れない物件は、もしかしたら大手業者の営業マンにとっては「忙しいから後回しで……」となる可能性があります。
正常な物件は大手が強い逆に、問題がない良物件を相場の範囲内で売りたい、という時は大手仲介業者の力が役立ちます。

瞬発力勝負になると中小零細業者は太刀打ちできませんし、補償制度やアフタービスなども大きな差があります。
三井のリハウス|公式サイト
良物件、通常物件は大手仲介業者中心に売却プランをたてるのが効率的です。「三井のリハウス」なら信頼性も高くおすすめできます。
正常な物件、とくに住み替え時の持ち家売却では、三井のリハウスを利用して「確実に」「はやく」売り切る事が大切です。
正しい査定額を出せるのが「三井のリハウス」の魅力

この記事の冒頭でも述べたように、もともと「暗黒大陸」と呼ばれていた不動産流通業界に、正確な価格査定や業界統一の契約書フォーマットを導入したのが、三井不動産リアルティ(旧三井不動産販売)でした。
今もその姿勢は変わらず、地味ではあるのですが「正確な価格査定」を打ち出しています。
もし「他社で出してもらった査定にナットクがいかない」という場合は、「三井のリハウス」で再査定を依頼してみてください。もちろん無料で、精度が高い価格査定が手に入ります。
三井のリハウス|正確な査定を出してもらえる
多少補足すると、実は「正確な査定」を打ち出している会社は希少です。

どう考えても、儲かりそうなキャッチフレーズではないからです。
逆に「ウチは高い査定を出しますよ」という会社はたくさんあります。
ユーザーをカンタンにだませるからです。

では、どれくらい正確なのでしょうか?
「三井のリハウス」は本当に査定が正確?
査定額と成約額の「乖離率(かいりりつ)」といいますが、査定で出した金額と売れた金額に差がなければ、「その査定は正確だった」ということができます。
一般的には、この乖離率は6%強です。
それに対して「三井のリハウス」ではエリアによるものの、2%を切っているケースもあります。
三井不動産リアルティの2020/10?12の集計データ。
— 2LDK (@2ldk18) February 21, 2021
単価上昇もさることながら注目すべきは売出と成約単価の乖離率の低さ。
乖離率が100%に近づけば値引無しでの成約が多いことを意味する。
豊洲は圧巻の99.35%、ほぼ値引は行わず売出価格で成約している。完全に売手市場なので優良中古の指値は厳しい。 pic.twitter.com/hmFZzOjE4r
これは売り手市場である豊洲の事例ですが、正確な査定を出す一方で指し値は拒否して、確実に相場の価格でクロージングしていく姿勢が読み取れます。
一方で、仲介契約が欲しいばかりにバカ高い査定額を出す業者もありますが、結局高く売ることはできず時間を浪費する結果になります。
このあたりは、以下の記事で詳しく解説しています。
不動産の査定方法。「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?|関連記事
-
-
関連記事不動産の査定方法。「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?
もっと高い査定額を出してもらいたい! そう思う人ほどダマされています。 ウソ査定書がまん延していますが、なぜでしょうか? 最近はネットの不動産一括査定が増えすぎてしまいました。一度入力すると6~10社 ...
続きを見る
その意味で「三井のリハウス」であれば、安心して査定額を信頼し、きちんとした売却戦略を立てることができます。
とくに単純売却と違って住み替えの場合は、売出価格を間違えて長期化するとかなり危険です。
「三井のリハウス」で悪い口コミ・評判に共通する点とは?

これはYahoo!知恵袋への投稿ですが、「三井の営業マンは感じが悪い」という話です。TwitterなどのSNSでも、類似の書き込みが見られます。
うぬーーー(._.)
— とーも@Gacharic Spin (@tomo_y_mp) April 19, 2014
物件見てきたけど、三井のリハウスの担当者の態度最悪だった!!!!
2度と行かない!!!!三井のリハウスでは部屋借りない&買わない?(?`ε´?)?
「三井のリハウス」についての悪い口コミを探してみると、典型的なのは「態度が悪い」でした。

これについては2つの論点があります。
フランチャイズ制度が「人」の質をブレさせていた?

「三井のリハウス」では、かつて三井式フランチャイズシステムが採用されていました。そのため、
「三井さんに頼んだはずなのに、よくわからない住販会社が来た……。」
という話は、確かにあったそうです。
三井のブランドに期待したのに違う人が来た、という違和感が、担当者不信につながっていたかもしれません。また、フランチャイズに参加している中小業者の質を、他の大手仲介会社並みに揃えるのが難しかったのかもしれません。
しかし、2018年に「三井のリハウス」ブランドはすべて直営体制に移行されています。その時点で279店舗すべてが直営ないしは完全子会社化されました。
これにより、サービスの均質化がはかられ、悪い口コミも減少していくと考えられています。
参考文献:『三井のリハウス物語 「住みかえ」マーケットを創った男たち』(陣内一徳著・丸善プラネット)
そもそも論として不動産業は「人」の質にバラつきがある
ただし、そもそも論として不動産業は「人」が間に入らないと成立しない産業です。製造業であれば人による品質のばらつきは考えられません。
しかし不動産業の場合は、どんなに努力しても「人」による品質のばらつきは必ず出ます。
品質のばらつきを最小限にする努力はできるものの、ばらつきをなくすことは不可能です。
そのあたりも考えて、1社目の担当者に納得がいかないなら、2社目に相談できる会社をリストアップしておくことをおすすめします。
この「人」によるサービス品質の違いは、不動産仲介業の永遠の課題といえます。
「三井のリハウス」基礎データ

1969年 | 会社設立(旧三井不動産販売) |
---|---|
1977年 | 三井式フランチャイズシステム導入を発表 |
1981年 | 「三井のリハウス」のCI導入 |
1984年 | 価格査定コンピュータシステム稼働開始 |
1985年 | 「三井のリハウス」が登録商標に |
1987年 | 宮沢りえがCMに起用される |
1991年 | 東証一部上場 |
三井不動産リアルティ(旧三井不動産販売)は、1960年代末期に設立されました。当初は親会社である三井不動産の新築物件を販売することが、会社の主たる目的でした。
1970年代にはいり、当時の経営陣がアメリカの不動産流通を学び、日本でも中古不動産流通市場を成熟させる必要があると考えるようになりました。
アメリカをモデルに、当時「暗黒大陸」と呼ばれていた日本の中古不動産流通を正常化し、透明化するための仕組みづくりをはじめたのもその頃です。
しかし、「大手は新築、中古住宅の仲介は中小業者」と住み分けられていた当時、様々な苦労が待ち受けていたようです。中小業者は大手である三井が中古不動産市場に進出することを恐れ、当時の建設省に陳情し、それを阻止する姿勢をみせていました。
そんな中で、三井不動産販売と東急不動産の2社が先頭に立ち、日本の中古不動産市場を現在の形に近づけていった……というのが宅建業の歴史だったのです。

結局不動産仲介は「人」ですから、どんな担当者に当たるのかが大問題です。
ただ、会社の方針として納得できる「正確な査定」を掲げている三井のリハウスなら、比較的いい「人」に当たりやすいといえるでしょう。
大手から1社選べといわれたら、「三井のリハウス」を筆頭に挙げます。売却が成功する確率は高いと考えます。
三井のリハウス|公式サイト