不動産を売る

家の査定はどこを見る?不動産売却査定の注意点とは?

2021年12月13日

初めての不動産価格査定で不安な方に、まず1点お伝えするとしたら、

「不動産の訪問査定では、散らかり具合など関係ありません。あまり神経質にならなくていいですよ

ということです。

整理整頓できていない程度であれば、価格査定に影響することはありません。実査ではもっと本質的な部分(家の構造など)を見ます。

また、記事構成上後ろのほうに書いていますが「不動産査定の闇」の部分については最もお伝えしておきたいポイントです。ぜひご参照ください。

記事の末尾には、ケース別アドバイスもつけました。時間があればそちらもご参照ください。

ケース別アドバイス

査定額に影響する実査ポイント

この記事では「価格査定で実査した時、査定額に影響するポイント」を解説していますが、最初にご理解いただきたいのは、「机上査定でも訪問査定(実査)」でも査定額はそこまで大きく変わらない」という点です。

なぜなら、机上査定でも外観チェックは行うからです。外観さえチェックしなくていいのなら、人間が査定する必要はなく、瞬時に答えが出るAI査定との違いがなくなってしまいます。

そこで、ちゃんとした査定書を出すためには机上査定を指定されても現地を見ておく必要があります。以下のようなポイントは机上査定の前に確認しています。

  • 建物外観の大幅な劣化はないか
  • 隣地との境界で越境などの問題はないか
  • 日照・通風などの条件はどうか

こういった点は机上査定でも反映されており、そこではわからなかった詳細な内容のみ、訪問査定(実査)時に付け加えていきます。

もし机上査定で現地確認さえしない業者がいるとしたら、仲介依頼はおすすめしません。ちょっと手を抜きすぎているなと感じます。

汚部屋はどこまできれいにすべき?

これくらいなら査定は正確に出せます

不動産業者に査定してもらう段階では、そこまできれいに片付ける必要はありません。相手はプロなので、掃除すれば解決する程度の問題で査定額を下げることはないからです。もちろん、一応来客には違いないので、そういう意味で最低限の清掃をしておけば問題ありません。

たとえば目立つ荷物を1部屋に押し込んでしまい、他の部屋を片付ける程度のざっくり清掃でも、価格査定が安くなることはありません。また、荷物を押し込んだ1部屋くらい、見せなくても十分査定書は作れます。

不動産屋はプロなので、家の中が片付いているかどうかという表面的な問題ではなく、もっと本質的な部分をチェックします。

ただし!売り出し後は徹底してきれいに

お客さん内覧時にはこれくらい片付いていると理想的

一方で、売り出し後は可能な限りきれいに片付けたほうが成約しやすくなります。

株式会社すむたすが不動産のプロ641名に対して実施した調査では、「築古で室内状況劣化」「整理整頓されていない・室内がちらかっている」場合に売りにくいと回答した不動産業者が過半数を占めました。

データ出典:株式会社すむたす

査定の段階では気にしなくてもいいですが、家を買いたいお客さんが内覧に来る時点では、きれいに片付いていればいるほど有利です。第一印象がよければ短期間で、また高価格で成約する傾向があるからです。

室内の清掃を徹底するなら、この「売出し後」というタイミングがベストです。

家を買いに来るお客さんは素人なので、見た目のきれいさに影響される場合が多く、成約価格にはね返ってきます。

査定の仕組みと査定サイトの上手な使い方

不動産業者が行う価格査定は、通常「取引事例比較法」を利用し、過去の取引事例と比べた物件価格を算出します。手作業で計算する業者はほとんど存在せず、どの業者も査定ソフトを利用しています。

マンションの価格は、取引事例比較法だけで算出します。近隣の類似マンション(理想は同じマンション内の別の物件)の取引事例と比較することで、かなり精度の高い査定額を出すことができます。

一戸建ての場合は土地価格を取引事例比較法で算出し、建物は別途計算して、土地+建物の合計額を査定額とします。

査定ソフトの数は多くなく、同じソフトを使っている業者がたくさんいます。

雨漏り・柱や床の傾きなど構造の問題は大幅マイナス点

雨漏りは修理が難しく大幅なマイナス査定になりがち

構造上の大きな問題点があると、正常な価格査定ができないレベルの大幅なマイナス点となります。

  • 雨漏り
  • 柱や床の傾き・破損
  • 地盤の不同沈下

このような問題は、入力さえできない査定ソフトも存在します。つまりこの時点で正常な査定額を出せず、普通の流通には乗りにくいというレベルでのマイナス評価になります。

まれにですが、不動産の価格査定をしてもらい、初めてこういった問題に気づくという例もあります。

不動産屋は部屋の片付け等は気にしないが、構造上の問題は注意して確認しています。

室内外に使われている材料の等級は査定ポイント

価格査定ソフトにもよりますが、通常は建物の材料による等級付けを行います。柱が杉かヒノキか、何寸の木材かといった項目は、ある程度価格査定に影響を与えます。また、建具や外装材などの等級も入力項目になっています。

そのほか、以下のような項目は査定価格にある程度影響してきます。しかし、各項目1つ1つの影響はそれほど大きくありません。

  • 新耐震基準に適合しているか
  • 長期優良住宅かどうか
  • 日照や通風などの状況
  • 保守管理状態
  • 間取りの評価
  • 省エネルギー設備
  • 駐車場台数

訪問査定で実査した時のチェック項目は多いものの1項目ごとの影響は大きくありません。

一戸建ての外装の劣化は査定額にかかわらず問題

外壁の保守管理状態が悪くても、査定ソフトが出す査定額への影響は数パーセントにすぎません。しかし、実際の市場価格としては大きな影響を受ける可能性があります。

外壁リフォームの価格は、一般に100万円以上するのが通常です。

そこで、実査してみて外壁が大幅に劣化している場合、査定ソフトが算出した査定額に対して、比較的大幅な価格ダウンを提案する可能性もあります。

外壁が大幅に劣化している場合は、数十万円単位での価格ダウンを提示することも。

価格を左右するその他の要因

価格に大幅に影響するとまではいえませんが、価格査定に影響するその他の要因には、以下のようなものがあげられます。

  • 騒音や臭気などはないか
  • 設備関連の経年劣化
  • 間取りの評価
  • 新築時の設計図書等が残っているか

それ以上細かい調査項目については、私が業務で使用していた「物件調査シート」をダウンロードしてみてください。

「物件調査シート」ダウンロード

マンションの場合は以下の項目も調査します。

  • 開口部の方向
  • エレベーターの有無
  • 管理形態
  • 共用部分の状態
  • 共用施設等
  • 管理費・修繕積立金

不明点は管理組合に問い合わせて確認します。

マンションの管理について、査定時に詳細な調査はせず、売出し前に調査を実施することもよくあります。

オーシャンビューなど特別な場合はプラス査定も

まれなケースですが、非常にすぐれたオーシャンビューなどの条件があれば、ある程度大幅な価格アップを提案することがあります。

ただし、こういったケースは価格査定ソフトで計算することは不可能です。そこで、通常の価格査定を出した上で、「最近このような事例があるので、査定額より○○万円高めで売り出すべき」という補足意見をつけます。

経験上「目の前が非常に美しい公園」レベルでは、一応の価格アップは望めるものの大幅なケースはまれです。

眺望により価格アップするとしたら、すぐれたオーシャンビューが最も大きな要因です。

不動産価格査定の闇

実は、不動産の査定額は恣意的に出すことができます。かなり自由に操作することができる点には注意が必要です。

不動産営業マンは自分に都合のいい査定額を出せます。

不動産価格査定は一般に、取引事例比較法で算出するとお伝えしました。

この時、事例として使う過去の取引データを好きなように選べば、好きな査定額を出すことができてしまいます。極端な例では、架空の取引データを使うこともありえます。

コンピュータが打ち出した価格査定書はもっともらしく見えますが、それを運用するのは人間です。不誠実な担当者が作った価格査定書は、不誠実な内容かもしれません。

フドマガ
「この取引事例はどういう基準で選びましたか?」と聞いて答えられない業者はアウトです。

直近の取引事例を5件以上選び、その中で中央値と思われる標準的な取引事例を使って査定している業者なら、誠実な対応をしようとしているはずです。そういった業者を選んでみてください。

訪問査定を推してくる査定サイトは疑問

多くの不動産一括査定サイトで「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」と書かれていますが、それはウソです。

かつて私が実際に受け取った査定依頼をカウントしたところ、「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」と書いてあるサイトでも、9割の人が机上査定を希望していました。

このように事実と異なる事を表示してまで訪問査定に誘導している査定サイトは、完全に不動産屋サイドに立っている、と感じます。

フドマガ
一般に不動産屋は対面で営業トークができる訪問査定を好みます。

多少仕事が雑でも、面と向かって話せば契約が取れるケースが多いからです。

「ほとんどの人が訪問査定を選んでいる」という、いわばウソの情報を提示してまで訪問査定に誘導したいサイトは、明らかに不動産屋の利益を代表しているわけです。

ちなみに、査定サイトの中でもイエウールは、比較的早い段階でそういうウソ表示をやめました。

もしこれから査定依頼をするということであれば、上記のイエウールも検討してみてください。

査定書は手動調整されている点に注意

不動産の価格査定ソフトには、実需や市場流通性を調整する項目があります。根拠となるデータがなくても、この部分をいじると査定価格を変えることができます。

フドマガ
不動産価格査定ソフトには、なんとなく数字を調整できる機能があります。

そこで、「市場流通性」「流通性評価」などの項目が不自然に調整された形跡がある場合は、その根拠を聞いてみたほうがよいと思います。

私自身はここをいじって査定額を変えることはありませんでした。査定額は査定額として提出し、売り出し時の参考意見として「市場の動向から査定額での売却は厳しい」「現在需要が強まっていて、査定額より高く売れる可能性がある」という追加説明をしていました。

本来、査定額を適当にいじってしまうのではなく、プロの視点で査定額を解説し、

  1. 現在査定額より高く売れる状況にある
  2. 市場の状況から査定額では売りにくい

といった解説と売却戦略の提案をするほうが、不動産屋としてよい仕事だと考えています。

コンボ技でウソ査定書を作る

ここまで説明した「かたよった取引事例を採用する」「最後に査定額を手動でいじる」といった方法を組み合わせて、自由自在に査定額をコントロールすることも可能です。そんなウソ査定書を出す理由は「バカ高い査定額を出すこと」にあります。多くのお客さんは高い査定額を喜ぶ傾向にあり、それだけで仲介契約が取りやすくなるのです。

フドマガ
訪問査定に来てもらうなら、こういった点も念頭におき、不動産業者の誠実度を判断してみてください。

参考情報 ケース別アドバイス

ここでは、「特に不安になりやすい」「どうしたらいいかわからない」ケースについて、参考情報を掲載します。

相続でなかなか現地に行けない場合

なかなか現地に行けない遠方の実家などを相続した場合でも、価格査定の時だけは立ち会うことをおすすめします(概算査定の場合は不要)。

この場合、残置物がたくさんあっても査定の時点では片付ける必要はありません。ここまで説明したように、部屋が片付いていなくても査定額が安くなるという心配はないからです。

また、一般に、経験のある不動産業者は室内の残置物・不要物を効率よく処分する方法を知っています。被相続人が残した不要な物品は、不動産業者に相談すれば安く処分できる可能性があります。

相続登記なども、不動産屋に相談すれば専門家(司法書士など)を紹介してもらえます。

住み替えで売却を検討する場合

住み替えの場合で、先に購入したい物件が決まっている時は、自宅物件を急いで売却する必要が出てきます。

その場合、特に数字を盛ったウソ査定書に注意して、不動産業者を選ぶようにしてください。

  1. 適正価格に基づいて売却戦略をたてる
  2. 銀行への借り入れもそこから逆算しておく

という対応を、かなり慎重に行っておかないと後々苦労する可能性があります。この論点では以下の記事が参考になります。

急ぎの資金調達で売り切りたい場合

事業の資金調達のために自宅を売却するケースもありますが、この時考えておきたいのは不動産売却では「急げば安くなり、じっくり取り組めば高く売れる」という傾向。

急いで資金を調達したい場合は、どうしても安くなりがちです。

「どれくらい安くなるのか」「どれくらいの期間で売り切れるのか」を確実に予測したいため、価格査定は複数業者に実査してもらい、「確実にはやく売れる額を出してほしい」と要望するのがよいでしょう。

一般的には、都市部であれば登録不動産業者数の多いイエウール、スマイスターが有利で、地方ではRe-Guide(リガイド)が強いケースが多いです。

また、それと並行してその他の資金調達を検討できればベストです。

最後にぜひ押さえておきたいこと

不動産売却が初めてという方向けに、ここまで解説した話を振り返っておきます。

  • 訪問査定時には整理・片付けに神経質にならなくてOK
  • 売却時(買い手が見に来た時)にはきれいに片付けたい
  • 査定書の内容は操作可能なので、高すぎる査定書は信用しない

こういった点に気をつけると、売却活動がうまくいきます。

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