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「賃貸と持ち家で1300万円の差」は本当なのか検証してみました

2021年11月12日

最近目にする「賃貸と持ち家で1300万円の差」という説、本当なのか検証してみました。

結論から言うと「賃貸と持ち家で1300万円の差」という話は妥当だといえます。

賃貸で35年間住むコスト69,197,600円
持ち家に35年間住むコスト56,410,000円
その差額12,787,600円

上記は大阪府堺市南区に実在する2物件(いずれも一戸建て)に35年間住んだ場合のコストを、かなり詳細に割り出した表です。

その差は約1280万円(ほぼ1300万円)。

この記事では具体的な物件の紹介と、コスト比較をした際の計算方法を公開しています。

参考までに、同じ持ち家でもマンションと一戸建てのどちらが有利なのかは「一戸建てとマンションの維持費。40年住んだら一戸建ての方が870万円お得」という記事で解説しています。

今回比較した賃貸vs持ち家の実在物件とは

今回、賃貸vs持ち家に35年間住んだコストを比較するにあたり、できるだけ条件を揃えるために同じエリアにあり、類似した規模の一戸建てをピックアップしました。

政令指定都市(大阪府堺市)のベッドタウン主要駅に隣接するエリアで、athomeに掲載された2つの物件を採用しています。

賃貸物件で選んだのは家賃16万円の物件

賃貸一戸建ては、駅から徒歩23分、家賃16万円の物件を選びました(比較する持ち家との条件が最も近いため)。

築年は2002年ととやや古いですが、床面積は112.8㎡と広めです。間取りも4SLDKと余裕があります。持ち家物件は新築なので比較対象としては完璧ではありませんが、可能な範囲内で条件が揃う物件を選びました。

持ち家物件で選んだのは3680万円の物件

持ち家代表として選んだのは、駅から徒歩17分、22年1月完成予定の建売住宅です。間取りは賃貸物件より少ない3LDKですが床面積は103.83㎡とそこそこ広く、設備も分譲用のものがインストールされているため、一定のクオリティーは保たれています。

一般的に、建物のクオリティーは売買物件(分譲)のほうが高いです。

賃貸戸建てに35年住んだ場合のコストを計算

DATA
家賃16万円
建物面積112.8㎡
築年2002年
駅徒歩23分

賃貸と持ち家を比較する場合、賃貸のコストを家賃だけで判断する事も多いですが、実際には家賃保証、2年ごとの契約更新料、借家人保険なども加味する必要があります。

それらを加えた総合計は以下の表の通りです。

家賃 ¥67,200,000
諸費用 ¥253,000
安心サポート ¥369,600
更新料 ¥850,000
借家人保険 ¥525,000
合計 ¥69,197,600

諸費用に含まれるのは、仲介手数料(176,000円)、クリーニング特約(44,000円)、鍵交換費用(11,000円)、初回事務手数料(22,000円)です。

なお、仲介手数料は法令の本則では月額家賃の0.5か月ぶんですが、賃貸不動産業界では1か月ぶん受領することが常態化しています。

安心サポートというのは、最近賃貸管理業者が徴収している夜間電話サービスなどの費用です。月額880円ですが35年で369,600円になります。

本来このような費用は不要(管理業者が負担すべき)ですが、こういった費用の徴収も常態化しています。

更新料は2年ごとに50,000円かかり、35年で85万円になります。また保険料は年額15,000円程度として、35年で525,000円かかる計算としました。

以上を合計して、大阪府堺市南区で賃貸一戸建てに35年間住んだ場合の総コストを約6920万円と見積もっています。

一戸建ての持ち家に35年住んだコストを計算

DATA
価格3680万円
床面積103.83㎡
築年新築
駅徒歩17分

上記の賃貸一戸建てと同じエリアに35年住んだ場合のコストを見積もりました。こちらは計算がやや複雑になりますが、できるだけ詳細に割り出しています。

まず物件価格以外にかかるさまざまな費用を計算しました。

諸費用 ¥1,180,000
固定資産税 ¥3,800,000
ローン金利 ¥6,830,000
火災保険 ¥2,000,000
リフォーム・メンテ ¥5,800,000
合計 ¥19,610,000

上記の表の「諸費用」は購入時にかかる費用です。一般に自己資金が必要とされる部分ですが、所有権移転費用など登記費用、契約書に貼る収入印紙台、フラット35融資手数料を合計したものです。

諸費用の内訳

登記費用 ¥450,000
収入印紙 ¥30,000
フラット35融資手数料(概算) ¥700,000
合計 ¥1,180,000

次に固定資産税を計算しました。同エリアの公示価格(約95,000円)の70%(66,500円)を固定資産税評価額と見積もり、小規模宅地の特例を加味した土地の年税額は22155円と推定できます。35年間で775000円ほどかかります。

建物に関しては新築時の評価額を1200万円と推定し、35年後にほぼゼロになることを勘案して、35年の総額で294万円と試算しています。

火災保険については、損保ジャパンの「1分でできる保険料クイック試算」を利用しました。家財保険あり(300万円)、地震保険ありのミニマム料金を採用しています。

ローンの金利は、フラット35を利用し、金利1%固定で35年償還として試算しました。フルローンで3680万円借入をする想定です。

最後に35年間のリフォーム・メンテナンスには外壁・屋根の工事を2回実施し、水回りの設備更新を1回実施し、内装クロスの貼り替えを1回実施することを想定しました。なお、新築10年目以降5年ごとにシロアリ防除工事を行うことも加味しています。

リフォーム・メンテ費用の内訳

工事内容 施工回数 金額 35年間合計
外壁塗装・屋根塗装 2 ¥1,500,000 ¥3,000,000
設備更新 1 ¥1,500,000 ¥1,500,000
内装クロス 1 ¥400,000 ¥400,000
シロアリ防除工事 6 ¥150,000 ¥900,000
¥5,800,000

最低限行うリフォームやメンテナンスは、上記の580万円が目安になりますが、ここに1000万円くらい用意しておくと、さらに快適な暮らしができると思います。

なお、外壁塗装は以下のような方法で費用を圧縮できます。

また、シロアリ防除工事のコストについては以下の記事で解説しています。業者により費用と施工レベルにバラツキがあるので注意してください。

結論として「永く住むなら持ち家が有利」と言えます

計算する前は「1300万円もの差がつくことはないだろう」と考えていましたが、今回記事作成のために費用を算出してみて、

フドマガ
思ったより賃貸と持ち家の差額は大きい。

とわかりました。

「賃貸の方が有利」派との違い

勝間和代さんや、堀江貴文(ホリエモン)さんは、「賃貸と持ち家ではコストにあまり差がない」といいます(注1)。

その理由は、持ち家を、持ち家のローンと同額程度で住める賃貸物件を比較しているからです。

この記事で取り上げた売買物件(持ち家の事例)では、ローンの月額は103,881円です。同エリアで家賃10万円しか出さないとすると、金額的には一戸建ては無理で、2LDKか3LDKのアパートになるはずです。

もし家賃10万円のアパートに35年住むとしたら、諸費用と駐車場1台を含めて、35年間の総支払い額は5000万円強になると考えられます。

フドマガ
このように単純化して「価格」だけで割り切って比較すると、賃貸が有利に思えます。

しかし賃貸vs持ち家問題はかなり複雑で、どのような立場で考えるか、何を重視するかで結論が変わってきてしまいます。

この試算がすべて正解とはいえませんが、「おなじクオリティーの住宅に35年住むなら」と考えた場合は、持ち家が有利と考えてよいと思います。

注1……勝間さんは自身のYouTubeチャンネルで「持ち家と賃貸のコストの差は2%程度」と述べています。

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