この記事では、マンション売却成功のカギを握る不動産一括査定サイトを実際に使ってみて、どのサイトが優秀か確認しました。
自社保有マンションも1戸売却。「具体的にどうだったか?」も掲載しました。
どの不動産一括査定サイトも「○○○社が登録」と、派手な数字を発表していますが、その根拠はどこにも公表されていません。不動産一括査定サイトの本当の実力はどうなのか? 調べてみる必要があると感じていました。

しかし「自称」の登録社数はあてになりませんでした

今回の実験は、自社保有マンションの売却に利用する一括査定サイトを選ぶことからスタートしました。

自社マンションだけでなく、全国7都市の実在マンションで実験入力を行い、本当に対応できる不動産業者は何社あるのかを数えてみました。
対応不動産業者数 | 査定サイト名 | コメント |
---|---|---|
6.1社 | 良心的なサイト運営でベストスコアを出している点が魅力 | |
4.7社 | マンションナビ
![]() | マンション中心の不動産屋に相談できるという強みあり |
4社 | リビンマッチ | マンション以外にも強く、オールマイティーに頼りになる |
結果、最も優秀だったのは、全国で平均6.1社に査定依頼をかけられるリガイドでした。反対に最下位だったのは、平均1.3社にしか査定依頼ができないイエイでした。

上記の結果から、全国で多数の業者に査定依頼をかけられるのはリガイドだといえます。
RE-Guide(リガイド)不動産売却査定|公式サイト
なお今回の実験は以下のマンションの査定依頼を想定し、各一括査定サイトの入力最終画面で、対応している不動産業者数をカウントする方法で実施しました。
テストデータとして使用したマンション所在地 | マンション名 |
---|---|
北海道札幌市 | ダイアパレス菊水 |
茨城県龍ケ崎市 | エンゼルハイム佐貫第5 |
東京都中野区 | ハイネス東中野 |
大阪府大阪市(北区) | ファインクォーターシティ |
大阪府堺市 | マスターズステージ泉ヶ丘 |
大阪府阪南市 | シーサイド貝掛 (実際に売却まで実施) |
沖縄県宜野湾市 | サンハイツながた |

リガイドを3年利用した口コミ評価まとめ|関連記事
タップできる目次
全国の実在マンションを入力してわかった査定サイトの実力

ネット上で情報を入力すると、最大6社(または10社)の不動産会社に査定してもらえる「不動産一括査定サイト」。

解説記事は多いのですが、実際の実力をテストした記事はありませんでした。
そこで、5つの不動産一括査定サイトを実際に使って、実在するマンションの情報を入力する実験をした結果がこれです。
札幌市★ | 龍ケ崎市 | 中野区★ | 大阪市★ | 堺市★ | 阪南市 | 宜野湾市 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
イエイ | 2 | 0 | 不明 | 不明 | 1 | 1 | 5 |
イエウール | 3 | 0 | 1 | 1 | 6 | 1 | 6 |
マンションナビ | 5 | 2 | 8 | 6 | 6 | 1 | 5 |
リガイド | 10 | 2 | 6 | 10 | 5 | 3 | 7 |
リビンマッチ | 5 | 3 | 4 | 6 | 5 | 2 | 3 |
【表の解説】東京都および、政令指定都市の札幌市(北海道)、堺市(大阪府)、大阪市北区に加えて、非政令指定都市の龍ケ崎市(茨城県)、阪南市(大阪府)、宜野湾市(沖縄県)でマンションの価格査定を依頼する実験をしてみました。安定して対応不動産会社がみつかるのはリガイド、マンションナビで、リビンマッチが少し遅れて追いかけています。
なお阪南市では、実際に当社保有の分譲マンションを売却しています(売却は無事完了しました)。
イエイは実験の途中で業者数をカウントできないようにサイトを改変したため、東京都と大阪市での対応業者数が不明です。
実際に売却した自社マンションの事例を全公開

この記事では、全国7つの実在マンションのデータを入力し、不動産一括査定サイトの本当の実力を調査しました。また、7つの実在マンションのうち、1つは当社保有マンションで、売却完了まで取引を進めてみました。
その結果わかった「実際に売却したらこうなる」という事例を報告します。
和歌山県に近い大阪府下のマンションを売却

今回は、当社で保有していた上記マンションを売却しました。結論からいうと売出しから3か月ほどで決済を完了でき、このエリアにしては早めに売れたと感じています。
売却したマンションのデータは以下の通りです。
所在 | 大阪府阪南市貝掛 | ||
---|---|---|---|
物件種別 | 分譲マンション | 間取 | 2LDK |
構造 | 鉄筋コンクリート | 専有面積 | 43.75㎡ |
土地権利 | 所有 | 管理費 | 4100円 |
築年 | 昭和48年12月 | 修繕積立金 | 2300円 |
備考 | 電気、水道、集中浄化槽、プロパンガス |
成約価格はほぼ想定通り(査定額通り)でした。
マンションの所在地は、以下の通りほとんど和歌山寄りの大阪府南部です。このエリアで不動産売買は活発ではなく、むしろ価格としては停滞気味で、そのため当初は売却に時間がかかると予想しました。

こういったエリアの場合、不動産一括査定サイトで査定対応してくれる不動産業者の数は少なく、当社の実験結果でも対応業者数は以下のようになりました。
あきらかにリガイドが優秀で、リビンマッチも比較的がんばっているという数字です。これは、全国平均の評価と見比べた場合でも共通する傾向です。
全国で見ると、リガイド、マンションナビ、リビンマッチの順に優秀でした。このエリアではリガイド、リビンマッチの2サイトが優秀でした。
対応業者はどこも同じ顔ぶれ合計4つの不動産業者が複数の一括査定サイトに登録しており、結局は「5つの査定サイトを使っても4社にしか査定依頼できない」という点が特徴的でした。

なお、今回対応してくれた4社の内訳は次の通りです。
A社 | 売買中心。地元では派手に看板を出しチラシのポスティングも盛ん |
---|---|
B社 | 売買中心。「非公開物件多数」をうたうホームページがうさんくさい業者 |
C社 | ホームページがスマホ非対応で見にくい。賃貸管理が多い会社 |
D社 | 不動産買取りの看板をあちこちに出している業者。仲介も行う |
まったく初めて対応してもらう業者ばかりでした。
机上査定を選んだがすべての業者から電話がきた

想定通りですが、すべての業者から電話がかかってきました。また机上査定を選んだのにもかかわらず、4社のうち3社が「訪問したい」とアポを取ろうとしました。

査定依頼直後にA社から電話が入り、D社がやや遅れて電話をしてきました。B社はメールでの第一報がすぐに届きました。C社は初期の連絡はありませんでした。
B社はその後、夜の7時半頃に電話をしてきましたが、食事中だったので気付きませんでした。翌日午後2時頃にB社からきた電話には出ることができました。
電話の内容は以下の通りです。
A社 | しれっと打ち合わせ日時を設定しようとしたので「まずは査定書と提案書をください」と釘をさす |
---|---|
B社 | やはり「お会いしたい」と連絡してきたので「机上査定希望としていますよね?」と却下。査定書と提案書を請求しました |
D社 | しれっと打ち合わせ日時を決めようとしたので「まずは査定書と提案書をもらってから打ち合わせします」と返答 |
このように「机上査定」を選んでも、デフォルトで面談のアポイントを取ろうとしてくることがわかります。
面談アポの断り方
き然として断れば、どの業者もすぐに引き下がります。その時「まずは査定書を見て、御社の考えを見てから打ち合わせします」と告げましょう。とにかく査定書が先で、その実力をちゃんと見ますよ、というニュアンスが大切です。
それでも査定書を出したがらない業者には「え? 査定書出せないんですね。じゃぁ、今回は結構です」とキッパリ断りましょう。そんな業者にかかわっても、いいことはひとつもありません。
とどいた査定書のレベルは驚くほどバラバラ……

まず最初にとどいたのはB社の査定書でした。最初にとどいたのは、内容が薄くてすぐに書けたからだと思います。
とにかく内容はスカスカで、上の写真のようにペラ1枚でした。どうしてその価格になったのかという理由さえ書かれていませんでした。

続いてA社、D社の査定書が郵送でとどきました。この2社は査定額の根拠を示し、きちんと「査定額より高く売る工夫は?」といった提案も含まれていました。
査定書を見る時のチェックポイント

今回、自分の感覚では当たり前と思う事さえ書かれていない査定書を受け取り、驚かされました。そこで、改めてチェックポイントを整理してみました。
- 登記簿や役所のデータなど「公式資料」に基づいて作成されているか?
- なぜその金額になったかという「根拠」が書かれているか?
- どうすればよりよく売れるかという「提案」があるか?
こういった要件が揃っていない査定書は、なんとなく相場を書いてみた手紙にすぎません。仲介をお願いする価値はないといえます。
登記簿を取らないと査定依頼人が本当の所有者かどうかさえわかりません。また、正しい面積や地目も確認できないため、査定書としての正確性を備えていないことになります。
査定額はどれくらい差がついたか?
A社、B社、D社からはメールまたは書面で査定書が届きましたが、C社は口頭で査定価格を伝えてきました。それらの価格をまとめると次のようになります。


価格だけ見ると一番高い金額(220万円)を出してきたC社がよさそうですが、C社がこの物件を220万円で売却できるとは思えません。
実はこのマンションはD棟だけが海に面しており、特にビューがすぐれているので、D棟のみ220万円程度で売却が可能です。

しかし、査定依頼をしたC棟では、ここ数年の間では120~150万円での取引事例しかありません。そこで、C棟は120~150万円が妥当な査定価格と考えられます。
C社が不自然に高い査定額を提示したのは、簡単に仲介依頼を取ろうとしたからかもしれません。
査定書の実力を項目ごとに比較してみると違いが大きかった

実際に受け取ったワースト査定書はA4用紙1枚だけの薄い内容でした。ベストな査定書は、表紙をのぞいても17枚の分厚い書類でした。
ベスト査定書とワースト査定書を具体的なポイント別に比較すると、次のように大きな差がありました。
ワースト査定書 | ベスト査定書 | |
---|---|---|
登記簿 | 取っていない | 取って内容を確認している |
物件の長所・短所 | 分析がない | しっかり分析している |
売出価格の提案 | ない | ある |
販売戦略の提案 | ない | ある(具体的) |
公図による物件特定 | ない | ある |
参照した取引事例 | ない | ある(複数添付) |
査定書の内容以外にも、自社の会社紹介をちゃんと載せていたり、査定書を作成した担当者名とチェックした上司の名前が書かれているなど、ベスト査定書は責任の所在も明らかにしている点がすぐれていました。
また、ベスト査定書は120万円という査定額を出した上で、150万円から売り出してみることを提案していました。その理由も書かれていました。
売出しから3か月で成約
売出しにあたっては、ベスト査定書を出してくれたA社を軸に、B社にも仲介をお願いしました。「一般媒介契約で2ないし3社に依頼する」というのが、私のおすすめの売出し方針です。
よく専任媒介契約のほうが高く売れる、といわれますが、実際は異なります。専任媒介契約のデメリットについては、以下の記事で解説しています。
当社マンションは売出し後、2か月ほどで申し込みが入り、3か月で売買を完了しました。150万円で売り出して若干の価格交渉が入り、査定額の120万円で成約しています。
売却までの手順・流れ査定依頼
5サイトを利用し、4つの業者に査定依頼
媒介契約
査定から2週間後に媒介契約(仲介の依頼)。その間、査定書を吟味
売出し開始
媒介契約とほぼ同時に、各社広告に取りかかる。今回はレインズにも掲載してもらった
購入の申込み
売出し直後に内覧した人が、2か月後に申込み
契約・決済
約1か月後に契約と同時決済。申込みから契約まで1か月かかったのは買主の資金の都合
買主さんは購入の意思決定までに3度現地を内覧されました。内覧対応はすべて不動産業者に任せてしまい、買主とは契約・決済の席で初めて対面しました。
ちなみに、客付けしてくれたのはベスト査定書のA社ではなく、サブで起用したB社でした。

不動産仲介業者は、運によって客付けできたり、できなかったりします。必死で営業をかけてくる裏には、そういった事情もあると理解してあげてもらえれば……と思います。
今回使った5つの一括査定サイトまとめコメント
今回、記事作成のためにテストした5つの不動産一括査定サイトは、私が業務で利用したサービスに絞っています(注1)。
口コミやサイト評価に関しても、その経験に基づいて実際の所を書くようにしました。この章では、各一括査定サイトについて簡単なデータをまとめておきます。サイト選びの参考にしてください。
注1……マンションナビに業者として登録したことはありませんが、業務でも相場表示機能は利用させてもらっていました。これは非常に優秀です。
Re-Guide(リガイド)不動産売却査定

サイト名 | |
---|---|
運営会社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
資本金 | 1億円 |
実績(公称値) | 登録不動産業者数800社 |
口コミと評価 | 口コミは全体的に少なく、ネット上では目立たない印象です。しかし、実際には実力があり、地方でも確実に複数の不動産会社から価格査定をもらうことができました。 |
使ってみての印象 | 不動産屋として3年ほどお世話になりました。案件の質は非常によいです。リガイドの運営姿勢は地味ながら良心的で、ウソくさい広告もありません。そのため、送客のLTVが高く、不動産売却に関して良好な機会を提供してくれると感じます。 |
RE-Guide(リガイド)不動産売却査定|公式サイト
マンションナビ

サイト名 | マンションナビ
![]() |
---|---|
運営会社 | マンションリサーチ株式会社 |
資本金 | 1億円 |
実績(公称値) | 全国2500店舗 |
口コミと評価 | マンション特化型なので、マンションの査定では地方でも強みを発揮しました。また、マンションの入力がスムーズに進められる工夫もあり、入力しやすいのも特徴です。マンションナビには過去の売却相場を表示する機能もあるので、業者の査定書を見る時には絶対に参照してください。相場とずれた査定書を、一発で弾くことができます。 |
使ってみての印象 | 実は不動産屋として登録したことはないのですが、マンションナビの相場表示は業務でも利用していました。非常に参考になります。 |
不動産一括査定マンションナビ|公式サイト
リビンマッチ

サイト名 | リビンマッチ |
---|---|
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
資本金 | 193,829,346円(2021年6月末現在) |
実績(公称値) | 登録不動産業者数1700社 |
口コミと評価 | 有名どころの査定サイトの中で、実力も上位であることがわかりました。より広範囲にテストしたら、さらに好成績を残す可能性を感じます。運営元のリビン・テクノリジーズは、一括査定だけでなく不動産に関するさまざまなサイトを運営しています。 |
使ってみての印象 | 私が不動産屋として最も長く利用したサービスです。10年くらいお世話になりました。案件の質は当初悪かったのですが、どんどん安定していき、最近では真剣に売却を検討するお客さんとコンタクトし、精一杯の提案をきちんと聞いてもらえる環境になっています。 |
不動産一括査定リビンマッチ|公式サイト
イエウール

サイト名 | |
---|---|
運営会社 | 株式会社Speee |
資本金 | 1,371,572千円(2021年10月31日) |
実績(公称値) | 登録不動産業者数1900社以上 |
口コミと評価 | 運営元の株式会社Speeeは非常に優秀なIT企業です。不動産関連の他、最近では有料老人ホーム検索サイトなど、他部門にも進出しています。この記事を作成する前は「イエウールが一番おすすめ」という記事なる予定でした。実験の結果はふるいませんでしたが、今後巻き返す可能性は十分あると思います。ネットではイエウールに関するネガティブな口コミが多いのですが、この点はすぐれた営業力の裏返しともとらえられます。 |
使ってみての印象 | 私が不動産屋として利用したのは都合1年から1年半くらい。案件の質はバラツキがあり、本気で売る人から売り気がないけど試してみた人までさまざまでした。 |
イエウール|公式サイト
イエイ

サイト名 | |
---|---|
運営会社 | セカイエ株式会社 |
資本金 | 3,000万円(2019年6月30日現在) |
実績(公称値) | 登録不動産業者数1700社以上 |
口コミと評価 | 不動産一括査定というジャンルを切り開いた功労者であり、2010年代前半は業界トップをひた走っていました。一括査定サイトが乱立する中で競争力を失いつつありますが……もうちょっとがんばってほしいサイトの1つです。 |
使ってみての印象 | 私が不動産屋として利用したのは、都合1年くらいです。案件の質は可もなく不可もなくという感じでした。 |
不動産一括査定イエイ|公式サイト
よくある質問と実際にやってみてわかった答え
ここからは、多くの人が疑問に思っているポイントに回答していきます。これがすべてではありませんが、一括査定サイトを10年使った上で、今回実際にマンション売却をしてみた経験に基づいた判断です。
私は不動産屋としてリビンマッチを約10年利用しました。不動産一括査定は一定のメリットがあり、良い面もあるサービスだと感じました。
一括査定サイトを利用するうえでおすすめの使い方は?
1つ重要なポイントがあります。

ほとんどの一括査定サイトで、入力の最終画面で、査定依頼をする不動産業者を選べるようになっています。今回の実験でも、その点は確認済みです(注2)。
これをチェックせずに送っている人が非常に多いのですが、絶対チェックをして「どの業者に送信したか」もメモしておいてください(注3)。
- 複数の査定サイトを使う時、同じ業者に送ってしまうことを防ぐす
- 査定依頼の段階から業者を選ぶ意識をもち、どんな会社なのか意識しておきたい
といったことは、ぜひ押さえておきたいです。
なぜなら、不動産業者の実力はバラバラであり、業者選びが売却成功のカギを握るからです。

注2……イエイは記事作成中のタイミングで、業者選択画面を出さないようにサイト構成を変更しました。
注3……私が現役で査定担当をしていた時、複数の査定サイトから同じ物件情報を送ってくる人が後を絶ちませんでした。対応業者を見ていないからなのですが、これだといい売却活動ができるか心配です。
不動産一括査定を利用するとしつこい営業にあう?

これは断言が難しい問題です。
運が悪ければしつこい営業にあい、運がよければそういうことはない。
と、考えるしかないかなと思います。
今回、自社(音楽教室の会社です)保有のマンションを売却し、4つの不動産会社から価格査定書をもらいました。
そして、しつこい営業はゼロでした。
ですから、嫌な営業にあわないことも多々あるはずです。
もし何か工夫をするとしたら、一度目の電話で「査定書ですべてを決めます」と宣言しておくのがよいと思います。とにかく査定書を出してこない業者とは会わないようにしてください。
会わなければ、しつこい営業もできません(電話は着信拒否でOK)。

ちなみに、一括査定サイトの中でこういった対応に力を入れているのはイエイです。イエイには、すべての不動産業者に強力にお断りしてくれる、お断りサービスがあります。
不動産一括査定イエイ|公式サイト
イエイは今回の実験で成績が振るわなかったのですが、「イエイで申し込んでいない不動産業者にもお断り代行をしてくれる」という点が魅力です。たくさんの業者にコンタクトするより不安のない売却活動を優先するなら、イエイも選択肢に入れてよいと思います。
不動産一括査定を使う注意点はある?

注意点は1つです。
最近では不動産一括査定サイトが乱立しています。不動産業者の中には10件くらいの一括査定サイトに登録し、かたっぱしから営業しまくるスタイルの会社があります。
そういう会社はあまり良心的な査定書をあげてきません。
ウソでもいいから「バカ高い価格査定」を出してきたりします。でも、そんな価格では売れませんから、売却が長引きます。
そういうウソ査定書に注意するのが最大の注意点です。

今回、社有物件の査定をしてもらった時も、1社だけバカ高い査定がまじっていました。そういう会社はまず候補から外しました。
「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?|関連記事
一括査定サイトのデメリットとは何?

不動産一括査定サイトが登場したのは2000年代に入ってからです。それ以前とそれ以降で変わってしまったのは、競争の激しさでした。
不動産一括査定最大のデメリットは、さまざまな面で競争を激化させてしまい、それによってさまざまな問題点を生じさせたことです。
ダマす気満々の広告が当たり前になった

結果、こういう広告が当たり前のように出されるようになりました。実態からかけ離れた高額査定でユーザーをだまし、仲介を取るという手法です。
データから、最近の売出価格は成約価格より2割ほど高いとわかっています。
「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?|関連記事
上記の記事では公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータに基づき、売出し価格と成約価格のギャップについても解説しています。
高すぎるウソの査定額によって、売出価格が吊り上げられていることがわかります。
売出価格がやたらと高くなっていることが、一括査定の1つめのデメリットだといえます。
一括査定サイトは不動産屋の味方

査定サイトによって表現が違いますが「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」と表示していることが多々あります。

10年の営業期間を通して、私が受け取った価格査定依頼の約9割が「机上査定」希望でした。
なのに、どうして不動産一括査定サイトでは「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」というウソを表示するのでしょうか?
それは、お金を払っている不動産屋の立場に立っているからです。一括査定を利用する時、この点は忘れないようにしたいと考えています。
どんどんウソ手法が積み上げられている
たとえば最近登場した新手の不動産一括査定サイトでは「個人情報を送らなくても査定できる」とうたっています。
これなども「何も知らないユーザーには、適当な説明でごまかそう」という立場だといえます。
なぜなら、不動産情報を送ると不動産業者は登記簿を取り、登記名義人(つまり登記簿に記載された所有者)を確認するからです。
居住中の物件であれば、住所、氏名、借り入れしている金融機関、借り入れした額などがわかってしまいます。
これでも匿名といえるのでしょうか?
ある程度運用歴のある一括査定サイトのほうが安心
そういった点を考えると、最近参入してきた「儲かるから不動産一括査定というものをやってみよう」というサイトよりも、運用歴があり、安定したサイトの方が安心して利用できると思います。
少なくとも私が利用してきたサイトは、そこまでひどいウソ手法を使っておらず、ある程度信用してよいと思います。
特に、私が不動産会社を売却して退任するその日まで利用していたリガイドは、運営姿勢がフェアであると考えていました。詳しくは以下の記事で紹介しています。
Re-Guide(リガイド)不動産売却査定を3年利用した口コミ評価まとめ|関連記事
不動産一括査定の口コミ・評判は当たっていた?

この実験をしてみるまで、当サイトでも「やはり登録業者数が多いイエウールなどが有利だ」と書いていました。

書きながら少し違和感はあったのですが、公開データだけで書くとすると、どうしてもそういう方向性になってしまいます。

また、一般ユーザーの方の口コミは、ヤラセっぽいものと本物っぽいものが混在しています。なかなか見分けるのが難しく、正直「見分けるコツ」を簡単に説明する方法はありません。
なので、ユーザーさんの口コミに関しては「参考意見」という形で読むのが無難かなと思います。
ただひとついえるのは、個別の査定サイトについて「イエウールはしつこい営業が多い」「リビンマッチは対応する業者数が多い」と決めつける口コミはあまり参考にしないほうがよいということです。
しつこい営業が多いかどうかはどの一括査定サイトでも同じようなものですし、対応する業者数も査定する地方によって変わってきます。
一括査定サイトを利用してトラブルになる危険性は?
一括査定の仕組みを考えると「一括査定ならではのトラブル」というのは考えられません。一括査定サイトの役目は情報を取り次ぐことだけだからです。
トラブルが発生するとしたら、査定情報を受け取った不動産業者が何か問題のある行動をした時、という事になります。
悪徳不動産業者の見抜き方や注意点は、当サイトの人気記事で解説しています。
国土交通省が作った悪徳不動産業社リスト|関連記事
トラブルを起こしやすい不動産業者の特徴を押さえておき、そういった業者を避けることが、トラブルにあわない最大のコツです
まとめると「不動産一括査定サイトはかなり意外」

もともとこの実験を始める前は「やはりたくさんの業者にコンタクトできるイエウールを利用するのがおすすめ」という記事を書くつもりでした。
ところが、実際に入力していくと、予想とはだいぶ違う結果に驚かされました。
各査定サイトが公表している登録不動産業者数は次のとおりです(2021年12月現在)。
イエウール | 1900社 |
---|---|
イエイ | 1700社 |
リビンマッチ | 1700社 |
リガイド | 800社 |
しかし、北海道から沖縄まで、7つの都市の実在物件で実験してみてリガイドが最も優秀な結果を残しました。今回、公称(自称)の数字はあまりあてにならないとわかりました。

リガイドはおそらく、登録業者数のカウントについても、ある程度誠実に対応しているのだろうと思われます。でないと、リガイドがこれほど優秀な成績を残した理由がわからないからです。
また、マンションナビやリビンマッチは、エリアを変えてさらに実験を続けていけば1位を取る市町村が多いのではないか、という期待感を残してくれました。リガイドにおよばなかったとはいえ、今回は限られた件数の実験でした。
今後とも同様の実験を続けてみて、より精密な記事を目指したいと思います。
RE-Guide(リガイド)不動産売却査定|公式サイト
不動産一括査定マンションナビ|公式サイト
不動産一括査定リビンマッチ|公式サイト