不動産を売る

初めての不動産売却で心配な「流れ」を図解。必要書類や不動産屋の選び方も解説しました

2021年5月3日

不動産売却は以下の流れで進めていきます。

Step.1 あらかじめ価格相場を調べておく
Step.2 不動産会社に査定を依頼する
Step.3 不動産会社を決めて媒介契約
Step.4 不動産会社による売却活動期間
Step.5 条件交渉と契約内容の確認
Step.6 不動産売買契約と手付金の受領
Step.7 残代金決済と物件の引き渡し
Step.8 譲渡所得税に注意して確定申告

そのほか、初めての不動産売却で気をつけたいポイントも解説していきます。

  • 不動産売却の流れと必要な書類・手続き
  • 不動産売却に適したタイミング
  • 不動産売却で失敗しないための知識
  • 失敗しない不動産屋の選び方

不動産売却の「流れ」を中心に、必要な知識を解説していきます。これから「不動産を売ろう」という場合はぜひブックマークしておいてください。

不動産売却に失敗する5つの理由と対策

不動産仲介業務を通じて「不動産売却に失敗する人にはいくつかのパターンがある」と感じます。

ここでは特に代表的な失敗例をあげておきます。こういった事例を参考に失敗しやすいポイントを押さえるだけでも、売却活動がスムーズに行えます。

失敗1 売却に必要な時間がない(売り急ぎ)
失敗2 自分で相場を把握する努力をしていない
失敗3 不動産会社の選択を間違えている
失敗4 内覧時に室内が汚いと長期化する
失敗5 税金や諸費用を考えていなかった……

失敗1:その物件を売却するのに必要な時間がない(売り急ぎ)

不動産をはやく、しかも高く売りたい、というのは誰しも考えることです。しかし、一般に不動産をはやく売ることと、不動産を高く売ることは両立しません

不動産をはやく売る 魅力的な価格で多くの人に短期間でアピールする
不動産を高く売る 時間をかけてじっくり買い手を探す

不動産売却については高く売りたい時と、はやく売りたい時とで戦略が変わってきます。はやく売る時は、どうしても魅力的な価格でグイグイ押す必要が出てきます。

たとえば住み替えの時など、新居を先に購入する「買い先行」というプランにしてしまうと、自宅を期限内に売り切ってしまう必要に迫られます。

あるいは資金が足りないので不動産を売却して不足資金に充当したい場合、どうしても資金繰りの都合ではやく売却したいというケースが出てきます。

いずれの場合も短期の融資でつなぐという方法はあります。もし手元資金を用意しつつ、高く売却したいということであれば、最悪はそのような方法で時間を稼ぐ必要があります。

急いで売却しないといけないのに何の手も打たない、ということは不可能です。急ぐ場合はどうしても、低価格で切り抜ける必要がでてきます。

失敗2:自分で相場を把握する努力をしていない

最近増えている事例です。不動産一括査定サイトなどを利用して、複数の価格査定書をとると、中には実際より高いウソ査定書を出してくる業者があります。

不動産査定サイトの乱立などにより競争が激化しているため、どうしても仲介を取りたい業者が実際よりも高い値段で査定書を出してきます。

図のような広告はウソ査定書のサイン。不動産の相場からかけ離れた査定額は、売主をダマすためのウソ査定書の可能性があるのです。

ウソ査定書のデメリットは、売却に時間ばかりがかかってしまい、最終的には価格を値下げして成約すること。適正価格であればすぐに売却できたのに、長い時間かかって結局相場以下になってしまった……ということもよくあります。

そこで売却の仲介を任せる場合は、値段の高い業者を選ぶのではなく、適切な価格を出してきた業者を選ぶ必要があります。

その前提知識として、自分で自分の物件のおおまかな相場を把握しておく必要があるのです。

土地価格は相続税路線価から割り出すのが簡単

初心者におすすめなのは、相続税路線価から価格相場を出す方法。

路線価図ではこのように、道路に数字が振られています。相場を知りたい土地の前面道路に書かれた数字を読み取り、そこからその土地の価格を推定します。

相続税路線価は一般に市価の8割程度といわれています。そこで路線価の価格を0.8で割り戻します(路線価から出した価格を0.8で割る、ということ)。

路線価は1,000円単位で表示されているので、上の図であれば赤丸で囲んだ「230D」の数字部分を読み取り、1,000を掛けます。それを0.8で割り戻すと、1平米あたりの価格相場を出すことができます。

230,000 ÷ 0.8 = 287,500円(平米単価)

相続税路線価は日本中のすべての土地について定められているわけではないので、場合によっては路線価が見つからない場合もあります。

また、実勢価格と必ずしも一致するわけではないため、不動産価値をざっくり知るための目安と考えてください。

建物の価格は再建築したらいくらかかる? から考える

一戸建ての場合は土地の建物土地の価格に建物の価格を加えたものが査定額になります。

一戸建ての価格 = 土地価格 + 建物の価格

土地価格は路線価から出すことができました。あとは、建物価格だけです。

建物の価格をこれ以上ないくらいざっくりと概算で出す場合は、以下の式に当てはめてください(木造の場合)。

概算価格 = 床面積(㎡) × 14.8万円 × ((22-築年数)÷22)

とことん大雑把ですが、一応再調達価格を出して定額法で減価償却した形になっています。ざっくりとは当たっているはずです。

この記事を作るにあたって、木造、軽量鉄骨造、RC造の概算価格を簡易に計算するプログラム(無料)を作りました。以下のボタンからダウンロードしてください(Windows専用)。

上の式よりちょっとだけ複雑な計算をしているので答えはぴったり合いませんが、ほぼ同じ水準になります。

ダウンロードしたらマウスの右メニューから「すべて展開」を選び、出てきたフォルダ内の「このプログラムの使い方」を見てください。

さらにくわしく計算してみたい人は、以下の記事を参照してみてください。

マンションの価格はわりと正確にわかる

マンションの価格査定は取引事例比較法で行います。同じ建物内や近隣の建物で過去に売却された事例を利用できるため、価格はかなり正確です。

比較的簡単に、正確に把握できますから、マンション価格のチェックは絶対に必要といえます。

自分で相場を把握したいという場合も、マンションレビューなどのサイトを利用すると相場が掲載されており、そこそこ正確に把握することができます。

かなり詳しいデータを無料でチェックできる!

マンション名で検索すると、図のように推定相場価格、推定相場単価(㎡および坪単価)を見ることができます。また、安め~高めの5段階で相場を表示してくれているので、不動産業者が作った査定書の精度がすぐ確認できます。

ポイント

ちょっとした努力をおこたったせいで不動産業者選びに失敗することはよくあります。それほどの手間ではありませんので、ぜひ相場を押さえてから売却をはじめてください。

失敗3:不動産会社の選択を間違えている

一括査定サイトなどを利用して、せっかく複数の不動産業者とコンタクトを取ったのに、業者の選択を間違えてしまった、という失敗もよくあります。

実例「リゾート地で売却失敗」

数年前。海が見える高台のリゾート用地を持っているお客さんが全国チェーンの大手業者に専属専任媒介で仲介を任せてしまいました。結局売却することさえできなかったのですが、リゾート系の業者に任せていれば売れていはずですす。

その物件が得意な不動産業者に任せましょう。

当然の戦略ですが簡単ではありません。不動産会社の営業マンはだいたい「うちで売れます」としか言わないからです。その営業トークをうのみにすることなく、客観情報から不動産業者の実力を判断してください。

たとえば、不動産ポータルサイトでその会社がどんな物件を広告しているか? それを見るだけでも、何を得意とする不動産業者なのかを推測できます。

不動産ポータルサイト

不動産業者の広告は紙媒体からネットの不動産情報サイトにシフトしています。有名なところではathome、suumo、LIFULL HOME'Sなどがあります。こういったサイトをチェックして、その不動産屋がどんな物件を広告しているか、チェックしておいてください。

失敗4:内覧時に室内が汚いと長期化する

実際に早期売却できた事例
実際に早期売却できた事例

売出し中の家の室内が片付いておらず、汚れていると売却に時間がかかります。しかも、自分で気づいていないとしたら厄介です。

買主は第一印象に左右されます。

部屋が汚いと第一印象が悪くなり、売却チャンスを逃してしまう……という事は意外とよくあります。

不動産仲介業者の立場で「お客さん、部屋が汚いので片付けてもらえますか?」とはなかなか言えません。

そのため部屋が汚すぎるという事に気づかないまま、売却に失敗する人もいます。

部屋のキレイさと売却のしやすさには間違いなく関連性がありますので、できる限り室内をキレイに片付けておいてください。

失敗5:不動産売却時の税金や諸費用を考えていなかった……

売却計画を立てるときに、あらかじめ諸費用や税金を計算に入れておらず、思ったような手取り額が残らなかったという失敗もよくあります。

諸費用に関してはそれほど大きな額ではありませんが、不動産を売却して儲かった時にかかる譲渡所得税は高額になる場合があります。

詳しくは以下の記事で解説していますが、もし不動産を売って1000万円儲かったとすると、譲渡所得税は200万円~400万円にのぼります(その不動産を所有していた期間により異なります)。

また、仲介手数料に関して最近法令が改められています。400万円未満の物件について売主から受領できる金額が、最大18万円になりました(2018年より)。

こういった点にも注意してください。

取引価格仲介手数料の上限
400万円超取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
200万円~400万円以下取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
200万円以下取引物件価格(税抜)×5%+消費税

不動産売却の流れと注意点、必要書類

はじめての不動産売却で不安な場合でも、売却の流れが見えてくると、やるべきことや必要書類が理解できます。

Step.1 あらかじめ価格相場を調べておく
Step.2 不動産会社に査定を依頼する
Step.3 不動産会社を決めて媒介契約
Step.4 不動産会社による売却活動期間
Step.5 条件交渉と契約内容の確認
Step.6 不動産売買契約と手付金の受領
Step.7 残代金決済と物件の引き渡し
Step.8 譲渡所得税に注意して確定申告

Step.1 あらかじめ価格相場を調べておく

まず最初に自分の不動産の価格相場を把握しておくようにしてください。査定書を見て不動産の価格を知ろうとする人が多いですが、それではウソ査定書にダマされてしまうことになります。

具体的な相場の出し方は、この記事の少し上のほうで解説しました。

Step.2 不動産会社に査定を依頼する

相場が把握できたら、不動産会社に価格査定の依頼をします。

昔はコツコツと足で業者を回っていましたが、今はインターネットの査定サイトを利用する方が効率的です。また昔に比べて情報がオープンになっているので、ポイントさえ押さえれば物件売却で失敗しにくくなっています。

一括査定サイトは規模が大きく有名なところを使う方が有利ですが、注意点があります。不動産業者同士の競争が激しいので、ウソ査定書を出す確率が高いですし、しつこい営業を受ける危険性もあります。

詳しくは以下の記事を参照して、対策をしておいてください。

Step.3 不動産会社を決めて媒介契約

査定書を比較して、実際に担当者に会ってみてから仲介を依頼する不動産会社を決定します。

価格査定書を見るときは、値段が常識的な相場の範囲に収まっていることを確認してください。あらかじめ相場を調べているので、バカ高いウソ査定書にダマされる事はないと思いますが、どうしても高い査定書に目が行きがちです。

しかし査定書は成約価格とは全く違います。

不動産会社を選ぶときはある程度まともな査定額を出してくるところを選び、なおかつ担当者の知識と人柄を見極めてください。

不動産業はうまくすれば儲かる業種ですから、単に儲けたいために不動産会社をやっている人もいます。一方建築が好きだったり、そのエリアの土地や建物が好きでやっている人もいます。

できれば後者のように不動産に興味を持っていて、不動産に関する知識が深い担当者を選ぶようにしてください。

Step.4 不動産会社(仲介業者)による売却活動期間

一般的には、不動産会社に仲介を依頼したら(媒介契約)、売主は少し暇になります。

ただしこの間はいつ購入希望者が内覧に来るか分からないので、できるだけ室内をきれいにして印象をよくしておいてください。

また、仲介を依頼した不動産業者がしっかり仕事をしているかどうかもチェックしておきましょう。

ぜひ見ておきたいのは、レインズの売主閲覧画面。詳しくは以下の記事に解説していますが、レインズに登録された自分の物件を確認することができます。これを見ておくと不動産業者がしっかりレインズに登録しているかが分かります。

詳しくは以下の記事を参照してください。

Step.5 買いたい人が現れたら条件交渉と契約内容の確認

購入を検討する人が現れたら、価格交渉になることがほとんどです。

真剣ではない人は相手にしない

時々内覧もしていないのに「安くなりませんか」と聞いてくる人がいますが、そういう場合は、真剣に対応する必要はありません。「内覧していただいて、具体的にご相談いただければ検討します」と回答しておくのがベストです。

真剣に購入を検討している人との価格交渉では、価格だけではなくその他条件面を含めて考えるようにしましょう。

強めの価格交渉であれば、契約不適合責任を負わなくてもいいか? 引き渡し前の土地境界測量を省いてもいいか? 手付金の額を多めにしてもらえないか? など、こちらが有利になる条件も出しながら交渉していくのがいいでしょう。

ポイント

不動産業者は契約を成立させれば仲介手数料もらえるので、何とか仲介を契約を成立させたいという方向に思考が働きがちです。そのため上記のような細かい交渉テクニックを知っていても、契約成立のジャマになると思うと、教えてくれないことがあります。

Step.6 不動産売買契約と手付金の受領

不動産の売買契約を締結する時には、まだお金を全額受け取らずに「手付金」だけを預かります

日用品など普通の商品売買と不動産の売買が大きく異なるのは、この、支払いと物件引き渡しの手順です。

普段の買い物ではお金を払う「支払い」と品物の「引き渡し」が同時履行です。

ところが不動産の場合は単純に物件を引き渡すだけではなく、所有権移転登記を行う必要があります。

登記申請には様々な準備が必要ですから、一般に、まずは契約をして手付金を支払い、その後にいろいろな準備をした上で残金の支払いと所有権移転登記の申請を同日に行います。

そこで不動産の取引では、

  1. まず契約をして物件を押さえる
  2. 次に残代金を全て支払い、所有権移転登記と物件の引き渡しをする

……という、2段階に分けて契約を進めていきます。

必要な書類等

売主の場合は、印鑑は実印が必要になります。印鑑証明書、固定資産税効果証明書または固定資産税評価証明書、身分証明書(運転免許証など)を決済時までに用意しておきます。

買主はこの間に、銀行ローンの相談をまとめたり、購入に必要な書類(住民票など)を揃えたり…という準備を行っています。

Step.7 残代金決済と物件の引き渡し

一般に鍵の引き渡しをもって物件引き渡しとする
一般に鍵の引き渡しをもって物件引き渡しとする

取引の最終段階では、手付金を差し引いた残代金の支払いと、物件の引き渡し(所有権移転登記を含む)を同日に行います。

買主が住宅ローンを利用する場合、一般的には、融資申し込み先の銀行支店で個室を用意してもらい、そこに集まって残金決済を行います。

この時、固定資産税の買主負担分を受け取ったり、その他諸費用の精算も行います。

Step.8 譲渡所得税に注意して確定申告

不動産を売却した人は、翌年に確定申告を行う必要があります。売却して利益が出なければ申請するだけで簡単に終わります。

不動産を売却して利益が出た場合は注意が必要です。

特に注意したいのは相続をした不動産の場合。もし購入したときの契約書がなく購入金額を証明できない場合は、基礎控除を除く売却代金の全てが課税対象になります。

このケースではかなり税額が大きくなるので注意してください。

不動産の譲渡所得税に関しては気をつけておきたいので、以下の2つの記事を参照して、準備をしておくことをおすすめします。

不動産売却にはどれくらいの期間が必要?

2015年に不動産ポータル大手のathomeが実施したアンケート調査では、マンションや一戸建ての売却にかかった期間は平均して約8か月でした。

これは首都圏(一都三県)で自宅を売却した人についての調査です。

 サンプル数平均居住年数売却期間
全体295人13年8か月
マンション184人12年6か月
一戸建て111人15年11か月

上の表にあるようにマンションは比較的早く売却でき、売却までの期間は平均で6か月。一戸建ては売却期間が長くなる傾向があり、平均11か月かかったという結果になっています。

これはあくまでも平均なので、1年以上かかっている事例もたくさん含まれているはずです。

この調査から、不動産売却には意外と時間がかかるということがわかります。最初から余裕を持ってスケジュールをたててください。

パターン別:不動産売却の流れと注意点

このように、マンションや一戸建てで不動産売却にかかる期間が異なります。土地の場合はさらに長い時間が必要です。

また不動産の種類や特徴によって、注意したいポイントや必要な手順も変わってきます。

CASE1 マンションは価格や売却期間が読みやすい
CASE2 土地は時間がかかりやすく戦略が必要
CASE3 一戸建ては条件により違いが大きい
CASE4 相続した不動産を売却する時の注意点
CASE5 ローンが残っている不動産を売る時
CASE6 住み替えの場合は「売り先行」が基本

CASE1:マンションは価格や売却期間が読みやすいが……

仲介業務の中でもマンション売却の仲介は比較的手順がわかりやすく、新人営業マンが担当させられるケースもよくあります。

同じ建物内に売却事例がある場合は、かなり正確に査定額を出すことができます。

今の時代は買主も価格をしっかり調べています。そこで、マンションを適正価格で売り出した場合には、買主も納得感を持って早めに購入を決断してくれます。

そのためマンションは売却期間も短めとなっているのです。

ただし分譲マンションの場合、自分が住むのではなく投資として購入し、賃貸で貸している場合があります。こういったケースでは価格の評価方法が変わってきます。

投資物件として考えた場合、どうしても「利回りがつくか」が基準になってしまいます。

たとえ相場の価格であっても利回りがつかない場合には売却しにくいので、その点は注意してください。

CASE2:土地は最も時間がかかりやすく戦略が必要

土地の場合は売却に最も時間がかかると解説しました。

土地の場合は、建築メーカーさんに相談することも多く、検討に時間がかかるからです。

それでも都心部や人気エリアでは、それほど苦労せずに売却することができます。問題は地方で需要が少ない土地や、駅から遠く不便な土地の場合。

こういったケースでは、仲介を依頼する業者の選定も非常に大切になってきます。

一般に有名な大手仲介業者の営業マンはノルマが重く非常に多忙ですから、不人気物件にコツコツと対応するような息の長い営業は苦手です。

有名どころの大手仲介業者だけでなく、その物件に近い地場業者を含めた2~3社に仲介依頼をするのがよいでしょう。

一括査定サイトの中にも、農地を含む売りづらい土地に対応しているところと、首都圏など都市部中心にエリアを開拓しているところがあります。

そこで、土地の場合はネットの査定サイトを選ぶところから戦略を立てる必要が出てきます。

農地や地方の土地に強い一括査定サイトとしては、農地にも対応しているリビンマッチやイエイなどがあげられます。

土地を更地のまま持っていると、住宅用の土地の軽減税率が適用されません。固定資産税が負担になる場合もあると思います。

固定資産税を払いたくないので「早く処分したい」と思うかもしれませんが、この記事で説明したように、早く売ることと高く売ることは、相反する目標です。

少しの固定資産税を節約するよりも、なるべく高く売った方が有利なケースもあります。土地の相場などを出してみた上で、じっくりシミュレーションしておいてください。

CASE3:一戸建ては条件により違いが大きく注意が必要

一戸建ての売却は、マンションや土地に比べて悩むポイントがたくさんあります。

築年数とコンディションによって、上物の価格が0円から新築時に近い評価となるものまで幅広いことも、売却を難しくするポイントです。

木造で30年以上経過して上物の価値がないと考えられるような場合は、一戸建てで売り出すのか、上もの(古家)ありの土地として売り出すのか? どちらが有利なのかも考えておく必要があります。

仲介業者は売りやすい方を勧めてきます。結果として上物ありの土地として売り出すことがよくあります。しかしその中にも、一戸建てと考えた方が高く売れる物件もあるので、安易に「上物ありの土地」として売るのはもったいない場合も。

売りやすさだけではなくどちらが高く売れるのかも考えてみてください。

「時間がかかっても高く売れるのはどっち?」という視点も必要です。

駅から近い物件であれば、多少古くても上物ありの土地ではなく、一戸建てとして売り出した方が高く成約するケースもあります。

一般媒介にしておけば複数の仲介業者と相談することができますので、できるだけ一般媒介にしておき、相談相手を増やしてみるというのもコツです。

CASE4:相続した不動産を売却する時の流れとポイント

相続した不動産は、亡くなった人の名義のままでは売却できません。必ず相続登記をして相続人に所有権を移転してから売却する必要がありますが、相続人が多い場合など、時間がかかるケースがよくあります。

不動産会社に相続人の1人が「連絡が取れない相続人もいるが自分の権限で売却したい」と相談してくることがあります。しかしそれはできません。

相続した物件の場合は不動産の種類に関係なく、時間がかかる可能性があるという点に注意してください。

もう1点、押さえておきたいのは空き家譲渡の3000万円控除の特例です。

一定の要件を満たせば、相続人の居住用家屋とその敷地を売却したとき、居住用財産を譲渡した場合に該当するとみなして3000万円の特別控除が適用できると定められています。

自宅を売った場合の3000万円控除はよく知られていますが、その制度の空き家版です。ただし、建築時期や耐震要件などの制限が多く、非常にわかりにくい制度となっています。

そこで、該当しそうな人は以下の記事で要件を確認しておいてください。

CASE5:ローンが残っている不動産を売る時の流れとポイント

住宅ローンが残っている物件を売るときは、原則として売却した代金で住宅ローンを完済できることが前提となります。

もし売却代金で住宅ローンを完済できない場合、今借りている金融機関の抵当権を抹消できません。

抵当権がついたままの物件を買う人はいないので、結局その物件を売却することはできなくなります。

住宅ローンを完済できる場合でも、用意しておくべき書類があります。

この記事で説明した売買契約(手付授受)から残金決済までの間に、借り入れ先の金融機関と相談をしておき、抵当権を抹消するための抹消書類を用意してもらう必要があります。

抹消書類は申し込んでから発行してもらうまでに、数日から数週間かかってしまいます。

そこで残金決済の日までに抹消書類を用意してもらわないと、所有権の移転登記ができなくなってしまい、売買が成立しなくなってしまいます。

抹消書類の手配のような事務的な案件は、通常、仲介業者が手配をしてくれます。場合によっては仲介業者が「この銀行に行ってこういった書類を依頼してきてください」といった指示をしてくれるので、それに従って書類を用意することになります。

CASE6:住み替えの場合は「売り先行」を基本とする

自宅を売却し、新たに引っ越し先を購入するいわゆる「住み替え」。

住み替えの場合は人生でめったに経験しない不動産の購入と、同じくめったに経験しない不動産の売却という2つの難しい契約を、同時並行的に行うことになります。

そのため、不動産の住み替えでは、売買の流れを整理しておかないと深刻な事態に陥ることがあります。

1番怖いのは先に引っ越し先を決める(売り先行)で、購入物件を決めて契約したものの、今住んでいる自宅が売れないという状況。

つなぎ融資を利用すれば何とかなるケースも多いのですが、ここで思い出して欲しいのは最初に説明した、不動産売却のよくある失敗例。「売り急ぎすぎる」というパターンでは、高値で売却できないと解説しました。

買い先行にすると、どうしても厳しい局面が出てしまうので、住み替えの場合は必ず売り先行で計画してください。

私は自宅を3度売却しましたが、、すべて「売り先行」でした。いったん賃貸アパートに引っ越して、じっくり売却・購入したこともあります。

不動産売却にタイミイングってある? いつ売却するのがベスト?

たとえば賃貸不動産なら繁忙期は2月・3月。この時期は不動産業者が忙しくなります。

しかし、不動産売却の場合はそこまでわかりやすい繁忙期はありません。確かに3月は企業の決算に関連して物件が動きますが、一般住宅にはそれほど関係ありません。

しかし「こんな時は売らない方がいい」「こういった時期には売却を検討しよう」という指標は存在します。

購入から5年は売らない方がいいかも?

不動産を売却して儲かる場合には譲渡所得税が課されます。これがかなり重税なので、注意が必要です。

とくに短期譲渡といって、購入してから5年(注1)以内に売却する場合は、儲かった金額に対して約4割の税金を取られてしまいます。

5年を超えると長期譲渡所得になり、儲かったお金の約2割になります。

明らかに5年超の長期譲渡が有利なので、売却益が出そうな場合「購入して4年で売ろうかな」というのはおすすめしません。この場合の売り時は5年を過ぎてからです。

注1……厳密には、不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年を超える場合を「長期譲渡」といいます。

譲渡所得税などの税金については、以下の記事で詳しく解説しています。

近隣に新築マンションの売出しがあったら注意

中古マンションの売却で、新築マンションの売出しとかぶった時は要注意です。近隣で新築マンションが売られていると、どうしても比べられてしまいます。

そのため価格を下げざるを得なくなったり、売却に時間がかかるということもよくあります。こういう時期は売り時ではないといえるでしょう。

低金利の時期は2つの意味で売り時

2021年現在も低金利が続いていますが、こういう時期は売り時といえます。

  1. 買主も前向きに購入を検討してくれる
  2. 住み替え物件を買うという点でも有利

購入してくれる買主にとっても、物件を購入しやすい条件ですから、積極的に検討してもらえます。

また、住み替え先を購入するにあたっても、低金利であれば有利です。

まとめ:不動産売却の流れの中で必要な書類は?

ここまで駆け足で不動産売却の流れや注意点をみてきました。

ここでは「必要書類」に注目して、この記事をまとめていきます。

契約成立までに必要な書類は固定資産税公課(評価)証明書

不動産売却で必要な書類は、残金決済までに用意します。売却をスタートする時点で必ず要求される書類というのはありません。

ただし、査定依頼をする時には、できれば不動産の詳細がわかる書類を用意しましょう。

  1. 権利証(登記原因証明情報)
  2. 登記簿(登記事項証明情報)

上の、どちらかがあると査定依頼の入力がスムーズに行えます。

また、残金決済のしばらく前までに用意したいのは、

  1. 固定資産税評価証明書
  2. 固定資産税公課証明書

のいずれかの書類。司法書士さんが所有権移転登記に必要な税額(登録免許税の額)を計算するために必要です。

自治体により使えない場合がありますが、どちらかというと固定資産税公課証明書のほうが便利です。税額が確認できるからです。

決済時に必要な書類

残金決済の時は、主に所有権移転に必要な書類を用意します。

権利証(登記原因証明情報) 必須(ない場合は早めに司法書士に相談)
金融機関の抵当権抹消書類 ローンで購入して抵当権を抹消していない場合
印鑑証明書 売主は必ず必要(実印も用意してください)
固定資産税公課証明書等 その年の固定資産税を按分するので計算に必要

建物(一戸建てやマンション)であれば鍵の引き渡しも同時に行います。

必要書類としては、主としてこういったものを用意すればOKです。

他に必要な物があれば、仲介業者または司法書士から連絡があります。

その他おすすめの記事

【用語解説】「共同仲介」「片手」「両手」「専任」「一般媒介」など不動産売却の基礎知識

この記事では前半で売買の仲介について解説し、後半で賃貸の仲介を解説します。 もくじ1 共同仲介と単独仲介2 仲介(媒介)の種類3 専任媒介を選ぶのはどんなとき?4 片手仲介と両手仲介5 仲介依頼の際に ...

続きを見る

不動産の査定方法。「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?

もっと高い査定額を出してもらいたい! そう思う人ほどダマされています。 ウソ査定書がまん延していますが、なぜでしょうか? 最近はネットの不動産一括査定が増えすぎてしまいました。一度入力すると6~9社に ...

続きを見る

不動産を「売る」「買う」時にRENOSYと不動産DXのメリットを活用

不動産業者は様々な法律で規制されていますが、それでも不祥事や詐欺事件はなくなりません。 ここ2~3年でも、不動産をめぐる詐欺事件や不祥事は多発しています。 2020年3月 賃料減額取消訴訟 レオパレス ...

続きを見る

自分でできる不動産査定。自宅や土地の大まかな値段を出す方法

2021年6月1日追記。自分で不動産価格(特に土地価格に強いです)を出せる無料のソフトウエアを公開しました。どなたでもダウンロードして利用していただけます。 上記ソフトはWindows用なので、Win ...

続きを見る

-不動産を売る
-