
その答は状況によって違います。
物件を売る時 | 多少は嫌われてもOK。煙たがられるくらいでちょうどいい |
---|---|
物件を買う時 | 嫌われるとソン。不動産屋と無難に付き合ってうまく利用 |
物件を借りる時 | 不動産屋を「絶対信用しない」のが正解 |
いずれにしても「不動産屋をうまく使うにはどうすべきか?」を考えましょう。

では、不動産屋が知られたくないこととは何なのでしょうか?
タップできる目次
不動産を売る時は不動産屋が嫌がるくらいでちょうどいい

不動産を売る時は、原理的に、不動産屋が嫌がることをしたほうがうまくいきます。
「嫌われる」のではなく「嫌がられる」ほどの、しっかりした知識を身につけましょう。
理由は3つあります。
- 売却査定の段階から不動産屋の情報戦がはじまっている
- 売却時には不動産屋の利益と売主の利益が相反するポイントが多い
- 売却時は購入時に比べて悪徳不動産屋に捕まりやすい。またダメージも大きい
詳しい背景については少し後で解説しますが、まず具体的に何をすればいいかをまとめておきます。
不動産を売る時のポイント- 不動産屋の査定をうのみにしない(自己査定必須!)
- 仲介は一般媒介契約にして2~3社の不動産屋と媒介契約を結ぶ
- 不動産屋の広告を必ずチェックし、内容に問題があれば指摘する
- なかなか連絡してこない業者には、定期的にこちらから連絡をとる
これらは全て不動産屋に嫌われる行為ですが、それをすることによって売却の成功につながります。

では、ここからは各項目を詳しく掘り下げていきます。
不動産屋の売却査定を信じてはいけない理由

こんなイラストが入った広告を見かけたことがあると思います。でもこれは、お客さんをあえてミスリードさせようという、あまり良くない広告です。
こういった広告をクリックすると、不動産査定サイトに誘導される広告ページになっています。

不動産一括査定のデメリットは、ズバリ「不動産屋の過当競争」。一括査定サイトに登録している不動産屋はだいたい1案件15,000円くらいの情報料を課金されるので、それを必死で取り返しに来ます。

そこで、実際よりバカ高い「ウソの査定書」を送ってくる業者が増えてしまいました。

そういう背景があり、不動産屋の売却査定は昔に比べて信じられなくなっています。

人間誰しも「あなたの不動産は高い」と言われる方がうれしいので、相場よりバカ高いウソ査定書を信じてしまう傾向にあります。これはもう人間心理の問題なので、本当に心の底から気をつけてください。
複数査定を取ると、いい査定書を出す会社から無茶な価格を出すところまでバラバラなことがわかります。冷静に選ぶのはけっこう難しいです。
不動産屋に嫌われるくらいかしこい消費者になるには?
残念ながらバカ高いウソ査定書に惑わされて、質の悪い不動産屋に仲介依頼をしてしまう人はたくさんいます。

不動産を売却する以上、不動産屋の査定書をもらわないわけにはいきませんが、消費者には、その査定書を判断できる知識が求められます。
特に見ておきたいのは、査定書の数字にしっかりした根拠があるかどうか。その上でより高く売る提案をしてくれているかどうか。
査定書の金額に一喜一憂するのではなく、「その査定書は信じられるのか?」という視点で読んでみてください。
もう1点補足しておくと、査定書を受け取る前に自分で物件価格を概算しておくのがベストです。
最低でも路線価だけは見ておいたほうがいいと思います。
査定額と実際に売れた額の差(価格乖離率)の小ささに定評のある、三井のリハウスで、セカンドオピニオン的に査定してもらう手もあります。
専任媒介を避けて一般媒介を選ぶべき理由

実は専任媒介は、消費者にとってあまりメリットがありません。よく言われる専任媒介の「メリット」と、それに対する反論を表にしてみます。
専任媒介のメリット? | 反論 |
---|---|
専任媒介では広告費を潤沢に使ってもらえる | 今の主流はネットの広告なので費用を抑えて広告できます |
不動産会社からの定期報告が義務付けられている | その報告が真実と担保する仕組みがありません |
専任媒介はレインズへの登録義務がある | 一般媒介でもレインズに登録してくれる業者はたくさんあります |
専任媒介のデメリットについて、より詳しい情報は以下の記事で読めます。
専任媒介のメリット」を全て論破。基本はデメリットだらけです|関連記事
上記の記事で、より詳しく専任媒介のデメリットについて解説しています。また、例外的に専任媒介をおすすめするケースも紹介しました。
不動産屋が連絡してこない理由のトップは「反響がない」から
一般媒介の場合、売却活動中なのに、不動産業者からの連絡がなかなか来ないことがあります。その理由はだいたい「反響がない」からです。
一般媒介であっても反響が出ていれば、不動産業者は「売れる!」と思って積極的に動いてくれます。
専任媒介だったら?
専任媒介では、法律で14日に1回の報告が義務付けられているので、反響がなくても報告は来ます。ただしその報告の内容が事実だと担保する仕組みはありません。
結局、一般媒介であれ、専任媒介であれ、問い合わせがこない状況であれば改善策は3つしかありません。
- 価格を下げる
- 長期で粘る覚悟をする
- 仲介業者を変えてみる
専任媒介だから値段が高くても売れる、というのは論理的に無理があります。
売却時に「不動産屋に嫌がられてもOK」な理由とは?

売却だからといって、本当に不動産屋に嫌がられても大丈夫?

ここまで読んでそんな疑問を持つ人もいると思いますので、少し深掘りして考えてみましょう。当然ですが、嫌がられること自体が目的ではありません。

実は、売主の利益と不動産屋の利益とは相反することが多いのです。なので、よっぽどいい不動産屋でなければ、売主の利益を最大限に優先してくれることはありません。
売主(顧客)と業者の利益が相反するとは?

上の図では、物件を買いたいと思っているお客さんは2人います。
- 最高値は不動産屋Bの顧客、買主Bの2700万円
- 買主Aは不動産屋A直接の顧客だが、買い希望額は2500万円
売主は当然、2700万円で買ってくれる買主Bに売りたいはずです。しかし不動産屋Aは、売り・買い双方から仲介手数料をもらえる、買主Aに売りたいと考えます。
成約価格 | 仲介手数料 | |
---|---|---|
買主Aで成約した場合 | 2500万円 | 1,782,000円 |
買主Bで成約した場合 | 2700万円 | 957,000円 |
仲介手数料に大きな差があるので、不動産業者は、できれば安い買主Aに売りたいと考えるでしょう。

このように売主と不動産屋の利益は対立するため、ある程度厳しく対応する必要があります。だから多少煙たがられたり嫌われることは覚悟したほうがいいわけです。
売却時は「囲い込み行為」「物件を干す」など危険な手口に注意

なかには仲介手数料をたくさんもらいたいために、物件の情報を他社に渡さなかったり、他社から問い合わせが来ても「もう決まりました」とウソをついて、勝手に断ってしまう業者もいます。
このように、情報を隠してしまい、なんとしてでも自社で客付けをして仲介手数料をたくさんもらおうとする事を、囲い込み行為といいます。
不動産の囲い込み行為とは?|関連記事
詳しくは上の記事で解説していますが、囲い込み行為にあうと物件の成約価格は安くなるし、売却に時間もかかります。

記事の最初の方で、一般媒介契約にして2~3社に仲介依頼をする、と解説したのはそのためです。
一般媒介にしておけば、複数社が売却に動く状況を作れるため、物件を囲い込むことができなくなります。
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関連記事一般媒介の強みをいかして不動産売却を成功させる「最強の法則」
不動産の仲介を依頼する契約のことを、専門用語で媒介契約といいます。この媒介契約には専属専任媒介契約と専任媒介契約と一般媒介契約の3種類の類型があります(注1)。 専属専任専任媒介一般媒介複数社へ依頼× ...
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最終的に不動産屋はあなたの家を値切りにくる

売主の立場で考えると、価格交渉時には必ず「値段を下げにくる交渉」をされることになります。
つまり、価格交渉を仲立ちする営業マンに対して防戦すればよいわけで、別に営業マンを味方につける必要もありません。
一方、買主の立場であれば、価格交渉時には担当営業マンががんばってくれるかどうかで結果が大きく変わってきます。この場合はぜひ営業マンを味方につけたいということになります。

そこで、売主の立場では少しくらい不動産屋に嫌われても問題ないですが、買主の立場であれば「ある程度不動産屋を味方につけたいな」ということになります。
ここからは、買主の立場での、不動産業者との関わり方を考えていきましょう。
不動産を買うときは不動産屋をうまく利用する必要がある

不動産を売る時は不動産屋に嫌がられるくらいでちょうどいい、と説明しました。しかし不動産を買うときは、不動産屋とはある程度仲よくしておいた方が有利です。
その理由は以下の通りです。
- 不動産屋は一般ユーザが使えないレインズという巨大物件データベースを見ている
- 同じ物件の申込みが被った時、優先してもらえるかもしれないい
- 売主がどれくらい値下げしてくれそうか感触を教えてもらう必要がある
不動産の売却時にはたった1つの売り物件について考えればよかったのですが、不動産を買う場合にはできる限り間口を広げ、たくさんの候補を見たほうが有利です。
そこで情報源としての不動産屋を上手に使いこなすことが必要になります。

不動産屋から情報をもらう
アパートを複数所有する大家さんが、よく不動産業者の若手営業マンを集めてごちそうしていますよね。これは情報源として、不動産屋との付き合いを強化しようとしているからです。
不動産の売り手は唯一無二の存在ですが、不動産の買い手は「たくさんいる購入候補の1人」にすぎない場合も多々あります。その意味でも不動産屋に嫌われない方が有利といえるでしょう。
以下詳しく見ていきましょう。
不動産の広告は不動産屋の心理を考えて読む

「不動産屋に気に入られることが目的」ではありません。不動産屋をうまく使うことを考え、そのために優良な業者を選ぶ視点も持ちましょう。
購入時には不動産屋と仲よく……といっても、不動産屋任せにすると、納得のいくマイホームを手に入れることはできません。
たとえば、物件広告を見る時も、不動産屋の心理のウラ側を考えながら読んでいってください。

物件広告を見る時、大きな文字から読んでいく人がいますが、プロは逆に小さな文字に注目します。
上の図は実際のマンションの物件チラシですが、左下の、赤で囲んだところに重要なポイントが書かれています(図では小さすぎて読めません)。
こういう小さい文字で書いてあるところには、一戸建てなら都市計画や用途地域、建ぺい率、容積率、建築構造などの重要事項が書いてあります。
マンションであれば月々の修繕積立金や管理費の額も書かれています。
小さい文字で書いてある事項の中には、不動産屋が「できれば気づかないでほしい」と思うことが紛れ込んでいる可能性があります。
一方大きな文字で書かれているのは、不動産屋がプッシュしたい事です。
不動産屋が何を大きく表示して、何を小さく書いているのか? そしてその理由は何かを考えながら資料を読み込んでください。

元付業者か客付業者かを確認しておく

元付業者か客付業者かの違いは、上の図を見てください。売主から物件の売却依頼を直接受けている業者を元付業者(物元業者)といいます。
一方、元付業者が仲介依頼を受けている物件に、買い手を付ける業者のことを客付業者といいます。

元付業者か客付業者かを判断するには、物件資料の「取引態様」という箇所をチェックします。絶対とはいえませんが、以下の表のように考えるとおおむね当たっています。
専属専任媒介 |
元付業者 |
仲介 | 客付業者 |
不動産を買う時は、原則として元付業者を狙ってください。元付業者なら売主とダイレクトに話ができますから、価格交渉がしやすいですし、売主の売却理由や本当の希望価格などを詳しく聞くことができます。
ただし、物元業者の評判が悪い場合は、あえて客付業者をかませる手もあります。過去に問い合わせたことがある業者の中に「感じがいいし信用できるな」という所があれば、評判の悪い物元の物件案内を依頼してみるのもいい手です。
評判の悪い業者の見分け方は、以下の記事で解説しています。
国土交通省が作った悪徳不動産業社リスト|関連記事
同じ物件で複数業者に当たるのはめちゃめちゃ嫌われる!

同じ物件をいくつかの不動産業者に案内させるのは、最悪に近い行動です。
たとえば客付業者にコンタクトを取っていたが、元付業者がいることを知って直接元付に話をする……というのはめちゃくちゃ嫌われるので、これだけはやめておきましょう。
元付業者の立場では「客付業者の客を取った」形になるので、そういうお客さんは断るケースもあります。もちろん一度飛ばされた客付業者も話を聞いてくれないでしょう。そうなると、どの業者にも相手をしてもらえなくなります。

仲介手数料を値切ると不動産屋に嫌われる?
不動産の仲介手数料は上限が約3%と定められています。この3%、かなり微妙な数字です。
住宅仲介一筋の業者 | 3%だと楽ではない |
何らかの副収入がある業者・都心部の業者 | 儲かっているから大丈夫 |
ざっくり解説すると上の表のようなイメージです。
ただし、大型案件中心の業者であれば3%で超余裕です。地方都市の一般住宅の仲介だけだと、ちょっと苦しい感じです。
もちろんエリアや扱う物件の価格帯によって全然違ってきますが、仲介手数料を値引きすると経営的に苦しい業者がたくさんいることは事実です。
仲介手数料半額などを打ち出している業者は都市部が多いです。都市部は物件価格も高いので、そういうことができるのです。
というわけで、仲介手数料を値切るとかなり嫌がられるケースがある、という点は押さえておきましょう。

また、契約直前に仲介手数料を値切ってくる人がいますが、それが最も嫌われるパターンです。
希望条件があいまいだと不動産屋の対応が悪くなる
「なんかいい物件ないですか?」と、あいまいな問い合わせをする人がいます。
こういう風に不動産屋任せにしてしまうと、良物件に巡り会うことができません。自分の中でまだ条件が固まっていないうちは、不動産屋に連絡を取るタイミングではないといえます。
ある程度具体的に、
- 土地の広さ
- 家の広さや間取り
- 具体的予算
- 許容できる駅からの距離
- 希望する築年数や建物コンディション
といった点をまとめておいてください。
具体的な希望が決まる前なら、ネットの広告を見ながら家族会議を重ね、時には外から物件を見学してみるという作業がおすすめです。

自分の中で、ある程度の基準を作っておきましょう。
えっ? 予算なんかは不動産屋に相談するんじゃないの?

と思った方は要注意。予算やローン付けは不動産屋の専門ジャンルではなく、相談しても役に立つ回答は返ってきません。
ローンはスマホがあれば自分で確認できる

不動産業者に「どこの銀行がいいですか?」と尋ねると、一応何か答えてはくれます。しかし、それは単にちょっと知ってる銀行にすぎません。
銀行と深い関係があるわけでもありませんから、不動産屋としては「別にこの銀行を使わなくてもぜんぜんいいけど」と考えています。

そこで、ローンについてはローン専門のサービスを使った方が確実です(絶対そのほうがちゃんとした銀行選びができます)。
自分の借り入れ枠をAIが判断してくれるたとえば、株式会社MFSが運営するモゲチェックであれば、ベストな銀行と金利を提案してくれます。また、自分はいくら借り入れできるかもわかります。
モゲチェック|借入可能額を高精度なAIが判定してくれる
こういったサービスを使っても、不動産屋的には「むしろ助かる!」と考えています。

モゲチェックについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
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また、家を買う時のおすすめ手順については、以下の記事で解説しています。
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くれぐれも「予算を決めてないけど物件を見る」といった手順は避けてください。予算からスタートするのがセオリーです。
価格交渉のタイミングが悪いと不動産屋に嫌われる
結論からいうと、価格交渉のタイミングは1つしかありません。
価格交渉は購入申込み時に行うのが鉄則!
価格について不動産屋に感触を尋ねるのは、まったく問題ありません。「どれくらい下げてもらえそうですかね?」とか、「○○万円くらいの交渉はあり得ますかね?」と尋ねて、営業マンの意見を聞いてみましょう。
ただし、価格交渉は購入申込時に行います。それ以外のタイミングはあり得ません。以下のような価格交渉はNGです。
嫌われる価格交渉- 買うかどうかわからないのに最初から値切る
- 1度値切ったうえで、再度値切る(刻んでくる交渉)
- 指し値をしておいて、通っても買わない
これらは不動産屋に嫌われるというより、人として嫌われる行為。次回からまともに取り次いでもらえなくなるため、その不動産屋との縁は切れてしまいます。
それ以前に、交渉としてもヘタで効率が悪いため、いい所がひとつもありません。
価格交渉は、物件の確認も終えて、しっかりと検討したうえで「この価格なら買いたい」とズバリ提示するのがベストです。

買付証明書で購入意思を見せたうえで、「この値段になりますか?」と尋ねることで、売主に究極の選択を迫るわけです。

不動産を賃貸するときは、そもそも不動産屋を「信用しない」

この記事の前半で不動産を売却するときにはユーザーと不動産屋の利益が相反しやすいという事を説明しました。
しかし不動産賃貸においては、それよりはるかに重大な利益相反が発生します。
不動産屋にとっては大家と入居者という2種類の顧客がいますが、重要なのは明らかに大家です。
以下の記事は当サイトの人気記事ですが、賃貸不動産管理のウラ側を解説しています。ぜひ読んでみてください。
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入居前には必ず室内の写真を撮っておいてください。退去の時、過剰な原状回復費用を請求されることもあるので、その時に証拠として役立ちます。また、不動産業者がいつ、何と言ったかはメモしておき、入居時の契約書類といっしょに保管してください。

家賃保証会社に関するウソを見抜く
現在「賃貸住宅の家賃保証会社を法規制すべきだ」という声があがっています。

この図を見ればわかるのですが、入居者が一方的に損をして、大家と賃貸管理会社が儲かる仕組みを作ったために、家賃保証会社は急速に市場を拡大しました。
入居者 | お金を払う |
---|---|
大家 | 補償してもらう |
管理会社(不動産屋) | リベート(キックバック)をもらう |
この表のように、入居者は一方的に損をしています。「家賃を保証してもらいたい」というのであれば、本来は大家が保証料を支払うべきなのに、入居者が支払わされているのは不公平だといえるでしょう。
しかも、今のところ家賃保証会社を規制する法律がないため、入居者が一定期間家賃を滞納すると保証会社が「追い出し」までやっています。昔のサラ金の取り立て並みだ、ともいわれています。
入居者は、もしかしたら将来自分を追い出しに来る家賃保証会社のお金を払わされているということになります。
現在やりたい放題の家賃保証会社。今後は国土交通省による何らかの規制が入る可能性があります。
法律が変わって家賃保証会社が必要になった……のウソ
最近「法律が変わって家賃保証が必要になった」とウソの説明をする不動産業者があるようです。
たしかに2020年に民法が改正されましたが、それは重すぎる連帯保証人の負担を軽減するために、保証債務には必ず極度額を定めないといけないと決まっただけです。家賃保証会社とは、まったく関係ありません。

こういうウソまがいの説明にはダマされないようにしましょう。
物件探しの段階から保証会社不要などの条件をチェックしておく
とはいえ、賃貸管理会社が「家賃保証必須」などの条件を付けている場合は、外せないことが大半です。
そこで、物件探しの段階から、家賃や共益費だけでなく、以下の条件をチェックするようにしてください。
- 保険の指定はあるか? 価格は?
- カギ交換代などを取られるか? 価格は?
- 家賃保証会社必須か? 価格は?
どうせ外せない条件なら、その中で最もマシなものを選んでおきましょう。今の時代、家賃と共益費だけを見てもトータルの価格がわからないからです。
また、少し不便な場所でもよければ、家賃保証会社が不要な物件が見つかるかもしれません。そのように選択肢を広げておいた方がよい場合もあります。
ただし、現在は家賃保証不要な物件は非常に少ないです。「少しでも保証料が安い所を選ぶ」というのが現実的な対策になるでしょう。
他にもある入居者に不利な条件を押しつける習慣
たとえば、賃貸住宅を契約する時の仲介手数料は、本来家賃の1か月分ではありません。
法令の定めでは月額家賃の0.5か月分。ただし、当事者の了解があれば家賃の1月分を受領してもよい、ということになっています。
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【不都合な真実】不動産賃貸の手数料は本来家賃の0.5カ月分
1月中旬、東急リバブルが上告を棄却されたと報じられました(東京高等裁判所)。不動産業界では「ヤバいんじゃないか」と大きな話題になりました。 不動産賃貸の仲介手数料は、本来賃料の1カ月分ではなく0.5カ ...
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このように、賃貸の管理業者は「なんとかして入居者からお金を取ろうとしている」という点をあらかじめ押さえておき、その前提で対応策を考えましょう。
実は入退去時にプロのサポートを頼むこともできるのですが、予算もそれなりにかかってしまいます。入退去サポートを行っている管理会社が一般向けに作成したマニュアルであれば、3,000円で購入できます。
見た感じ怪しさ満点の手作りマニュアルですが、現役業者が解説しているので、かなり参考になります。
プロが教える賃貸物件の入居・退去マニュアル|豊田マンション管理事務所株式会社
結局不動産屋が一番嫌がるのは「消費者がかしこくなる」事
不動産は業者と消費者の知識・情報格差が非常に大きいジャンルです。不動産屋はその知識差、情報差を利用して儲けています。
そこで、
- 売却時は不動産屋に嫌われるくらい知識を身につける
- 購入時は不動産屋をうまく利用する意識を持つ
- 賃貸物件を探す時は不動産屋を信じずに対策を打っておく
こういったスタンスで身につけた知識を活用しながら売却・購入活動や、物件探しを行ってください。
危険度でいえば、不動産を売る時の「囲い込み行為」などはダメージが大きく気になるポイントです。囲い込み行為の実態と効果的な対処方法は、以下の記事で解説しています。
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関連記事不動産の囲い込み行為とは? 対策方法を含めて徹底解説しています
不動産の囲い込み行為は今でも普通に行われています。 不動産業者が仲介手数料をたくさんもらいたいために、他社に売らせないというのが「囲い込み行為」です。 不動産の売主にとってはたいへんなデメリットですが ...
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また、不動産屋を信用できない度合いでいうと、不動産を賃貸する時が危険です。賃貸管理業者の実態については、以下の記事で解説しています。
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関連記事賃貸物件の探し方を間違えると超キケン。不動産屋によっては入居者をカモと考えている!
この記事では、まず最初に、賃貸物件を借りようとする人が絶対に知っておくべき知識を解説しています。 以下の記事にも書いてあるように、賃貸管理業者は、入居者からあの手この手でお金を取ろうとします。その手口 ...
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悪質な賃貸管理業者に対抗するために、「プロが教える賃貸物件の入居・退去マニュアル」などを読んでおくのもおすすめです。