この記事では、まず最初に、賃貸物件を借りようとする人が絶対に知っておくべき知識を解説しています。
以下の記事にも書いてあるように、賃貸管理業者は、入居者からあの手この手でお金を取ろうとします。その手口を知っておかないとソンをしてしまいます。
参考賃貸住宅入居者はカモ? 都合よくお金を取る賃貸管理業者の手法
次に、それを前提として、利用すべき不動産会社を解説します。
この記事でわかること
- 賃貸不動産業のウラ事情
- 悪徳業者を避ける「不動産屋選び」
- 実際に物件を見つける手順

まず最初に不動産賃貸管理ビジネスのウラ側を押さえておいてください。
そもそも論として、賃貸と持ち家のメリット・デメリットをトータルに考えた別記事もおすすめです。
-
-
関連記事持ち家か賃貸か?本当に考えるべき条件とタイミング
一般論として40代からは持ち家有利 まだまだ人生に挑戦していく20代、30代は身軽な賃貸で暮らすのが合理的。 そして、ある程度落ち着く40代からは持ち家にシフトするのが合理的です。 つまり最終的には持 ...
続きを見る
不動産の賃貸管理会社が入居者をカモと考えている理由
賃貸管理会社のビジネスモデルを考えると、大家がもっとも大切で、入居者は重要度が低い顧客だということがわかります。

大家と入居者は、毎月不動産屋にいくらお金を落としているのでしょうか?
28室のアパートを例に計算してみましょう。単純化するために家賃は全室10万円(共益費込)とします。

家賃 | 月額管理料 | |
---|---|---|
大家 | 100,000円×28室 | 140,000円 |
入居者 | 100,000円 | 0円 |
賃貸住宅の入居者は、なんとなく「不動産屋にとって自分は客だ」と思っているはずですが、毎月の支払いを考えると、不動産屋には1円も支払っていません。
入居者が支払う家賃(ここでは10万円)は、すべて大家に対して支払っているのです。
月々の管理費を払っているのは大家です。家賃が10万円であれば、多くの場合その5%にあたる5千円が管理費として賃貸管理会社に支払われます。
5,000円×28室=140,000円
そこで、大家さんが毎月払っている管理料は14万円ということになります。
それに対して、入居者は月々の管理料を支払いませんから0円です。

よくよく考えると入居者が家賃を払っているから、大家さんはそのうちの一部を不動産屋に払えるわけです。でも、不動産屋の頭の中にはそういうことは思い浮かびません。
そこで生み出された「入居者からお金をとる仕組み」
もともと賃貸不動産会社は、入居者から定期的にお金を吸い上げる仕組みを持っていませんでした。
そこで次のような仕組みを取り入れて、入居者から少しでもお金を吸い取るビジネスモデルを構築しています。
- 家賃保証会社への強制加入
- 保険の契約手数料
- あんしん管理パックなどの謎のサービス
- 浄水器など不要なサービスの強制化
この後、賃貸管理業者が入居者からお金を吸い上げるために採用してきた仕組みについて、詳しく見ていきます。
家賃保証制度は法規制が望まれている
現在、有志が国土交通省などに申し入れをして、法的に規制しようという動きがあるのが「家賃保証会社」です。
賃貸の二重保証(「賃貸借契約の保証人+保証会社」又は「保証会社+保証会社の保証人」あるいは両方)について国交省が調査をはじめました。皆さんが声あげた成果!苦情もこの1、2年、増えているそうです。消費者センターは何もしませんが(法律ないから)今後、法規制させるために言ってくの大事! https://t.co/7yNEQtkRCK
— 無果汁0パーセント (@mukajyuu0) February 5, 2021
家賃保証会社は次のような仕組みで仕事をしています。大家には「家賃保証」を、賃貸管理会社(不動産屋)にはリベート(キックバック)を支払うことで、家賃保証を利用してもらうという仕組みです。

簡単にまとめると、
- 家賃保証会社は入居者が家賃を滞納したら取り立てるのが仕事
- 家賃保証会社に保証人を立てさせられる謎の対応
- 家賃保証会社の取り立ては金融業のように法規制がない!
- しかも自分に取り立て行為をする費用(保証料)を入居者が支払わされている
という、入居者が一方的に不利な仕組みです。

メモ
不動産屋にはリベート(キックバック)あり!
あなたが賃貸契約の時に強制的に家賃保証会社に加入させられ、しかも家賃の1か月分近くを支払わされたとして、そのお金はどう流れるかご存知でしょうか? あなたが払ったお金のうち、2~4割程度は不動産屋にリベートとしてキックバックされています。だからこそ、この仕組みが普及したのです。
家賃保証会社は一切入居者のためにならないのですが、それでも業界では強制加入があたりまえとなっています。
しかも、家賃保証会社は家賃滞納時の「追い出し」まで請け負う場合があります。私自身が直接経験したケースでは、大家の費用まで負担して裁判をして、入居者を追い出していました(私は保証人の無償サポートで対応)。

火災保険なども不動産屋へのリベートが大きい
賃貸契約の時に、ほぼ必ず強制的に加入させられる、不動産屋指定の火災保険(借家人保険)。これも本来は入居者が自由に選べるべきものですが、不動産屋がリベートを手にするために、保険会社を指定してきます。
もしあなたが保険料を1万円支払ったら、2千円~4千円くらいが不動産屋にキックバックされているはずです。
メモ
家賃保証会社も火災保険も、不動産屋が指定してくる会社を使わないと「契約できない」と言われるかもしれません。無駄なお金を払っても契約したいくらい良物件か、そこまで指定されるならほかの物件を探すか? そのあたりを考慮して物件を選んでください。
あんしんナントカパックや浄水器は本来不必要では?

賃貸不動産の契約時に「24時間対応」などとうたった正体不明のサービスに加入させられ、お金を取られることもあります。
しかし、たいていの場合その謎のサービスは「24時間電話に出て、伝言を受け付けてくれる」だけが仕事です。
24時間すぐに駆け付けてもらえるのかな? と思うかもしれませんが、24時間電話に出てくれるだけです。
翌朝、管理会社に伝言を伝えてくれるだけのためにお金を取られているわけです。そんなものは入居者にとってためになるサービスではありません
浄水器など無駄な費用も半強制的に追加されることが多く、こういう無駄なお金はどんどん増えていく傾向にあります。

「管理会社」と「仲介会社」の違いと選び方

賃貸不動産業界には、管理会社と仲介会社が存在しています。
役割 | |
---|---|
管理会社 | 大家さんから物件管理を任されている。入居者探しもする |
仲介会社 | 入居者を募集して様々な会社が管理する物件にお客さんを入居させる |
管理会社が広く入居者を募集して、他社が管理する物件に入居者をつけることがあります。この場合は管理会社でありながら仲介会社でもあるということになります。

不動産会社を選ぶなら、管理会社と仲介会社どっち?
賃貸不動産を探している立場で、管理会社と仲介会社のどちらがいいのか考えてみると、いずれも一長一短があり断言できません。
管理会社 | 自社の管理物件を強めに紹介する傾向あり。ただし、管理物件については交渉もしやすく物件を確実におさえる権限もある |
仲介会社 | 仲介主体の会社であれば幅広い物件を見せてくれる。逆に管理をしていないので、物件について本当に詳しいわけではない |
どうしても契約したい物件がある、というピンポイントな問い合わせであれば、どちらかというと管理会社に直接尋ねてみることをおすすめします。
管理会社はその物件に詳しく、直接管理しているので確実に契約を進められます。
一方、エリア内の賃貸物件をたくさん見たいという場合は、仲介に力を入れている会社(仲介会社)に相談してください。
仲介会社は自社の管理物件を強引に勧めたりする必要がないため、どちらかというと公平な立場で多くの物件を案内してくれます。
とはいえAD物件などは注意が必要……
この業界にはADと呼ばれるものがあります。それは、仲介手数料以外に大家が負担するおカネ。
長期で空室が続いている物件などは、管理会社が大家さんに「AD2カ月出しましょう」などと提案して、成約した時にもらえる金額を吊り上げることがあります。
他社物件に客付けする仲介会社であっても、せっかく客付けしても仲介手数料が少ししかもらえない物件より、ADがたくさんついている物件を勧めたいのがホンネでしょう。
ですから、取り柄がない物件を不動産屋が妙に進めてくる場合は、ADにつられているだけじゃないかな? と疑ってみてください。
お客さんの目から見てAD物件を見分ける方法はありません。ですから「なぜこんな物件を強く勧めてくるんだ?」と疑問を持つことが大切です。
メモ
仲介手数料の上限は、法令により家賃の1月分と定められています。ADとは、それ以上の報酬を別だて(広告費として)で支払うことで、空室を早く埋めてもらうための報酬をさします。
不動産屋まかせでなくネットの情報から「自分で判断する」ことが大切
ここまで見てきたように、不動産屋にはキックバックやリベートの多い物件を紹介したがる傾向があります。

それが賃貸不動産業界の仕組みです。
ですから、とりあえず不動産屋に行ってみて、
「どんな物件がありますか?」
と尋ねるのは、あまりよくない物件の探し方です。
そういうアバウトな聞き方をすると、不動産屋は自分の都合で管理物件を勧めたり、AD物件を勧めてくるものだからです。

不動産会社はダメな物件を勧めてくるということを前提として、そのハードルを越えられるような物件探しを心がけてください。
ベストなのは、ネットで公開されている情報をじっくりと分析し、自分なりの相場観を持っておくことです。
対象エリアの価格構造を把握してしまおう
不動産屋に連絡する前に、必ず事前勉強をしておいてください。そうしないと、不動産屋のいいように丸め込まれる可能性があるからです。
不動産の価格は、
- どの駅にあるか
- 駅からの距離
- 築年数や広さ
- 物件周辺の環境
などによって決まります。
消費者としてはそれら「物件価格が決まっていく条件」を知っておく必要があります。

step
1スマイティで相場を把握
不動産屋に行く前に、情報を整理しておき「この物件なら借りてもいいかな」という候補を見つけておいてください。
自分の中にそういう「基準」があれば、不動産屋にだまされることが少なくなります。
簡単でおすすめなのは、スマイティというポータルサイトで狙っている駅周辺の情報をみておくこと。

上のグラフは、スマイティで京浜急行線の鶴見市場を選択した時表示される情報。間取り別に家賃相場が表示されるので、こういう情報をしっかりチェックしておきます。
step
2具体的な候補を選び出す
次に「借りてもいいかな」と思える間取り、価格帯で物件情報を見ていきます。この段階では3~5件ほどピックアップして、できれば資料をプリントアウトしてください。
step
3現地に足を運ぶ
その資料をもって、現地を見学に行きます。外観だけ見ればOK。この時見ておきたいのは、駅からの距離や周辺環境と、建物自体の状況。外観から見て「住みたくないな」と思う物件はパスしましょう。
step
4不動産屋に連絡
ステップ3で物件を絞り切れない場合は、何度かステップ2~ステップ3を繰り返します。そうやって候補となる物件が集まったら、不動産屋に連絡を取り、物件内覧の段取りをしてもらいましょう。
ここまでのステップで「相場観」「周辺環境」などが理解できています。不動産屋が微妙な物件を推してきても、その物件の良しあしがある程度わかっているはずです。
より多くの選択肢から比較したい場合
アットホームやsuumoなど、様々なポータルサイトがありますが、おすすめはニフティ不動産です。
ニフティ不動産はアットホーム、suumo、LIFULL HOME’S、CHINTAIなど13の有名不動産サイトを一発検索できるサービス。ここで検索しておけば、漏れなく幅広い物件を見ることができます。
おすすめの手順は…
- スマイティで相場を把握
- ニフティ不動産で多数の物件を見る
- 気になった物件を外から見ておく
- 不動産屋に連絡する
という流れになります。
ニフティ不動産……有名不動産サイトをまとめて検索
賃貸物件探しで悪徳不動産業者を避ける方法
賃貸不動産業者で「悪徳」「良心経営」の境目はあいまいです。たとえばほとんどすべての業者は、入居者から仲介手数料を1か月分徴収します。
でも、本来の法令の定めは0.5カ月分です。デフォルトで法令の定めの2倍取られているということになります。
ですから、賃貸不動産に関しては、ある程度悪徳業者もしくはがめつい業者とうまく付き合っていく必要があると考えるべきでしょう。
少しでも悪徳度の低い業者を利用するために、以下の点に注意してみてください。
- 不人気エリアや不人気物件を狙い、しっかり価格交渉をする
- 駅前の得体のしれない零細業者を避けて、知名度のある業者を選ぶ
ただし、結局は自分でしっかりしたリサーチができていることが前提条件です。
まとめ:この記事で紹介したおすすめサービス
スマイティ……役に立つ賃貸不動産情報を掲載
ニフティ不動産……有名不動産サイトをまとめて検索