リフォームとメンテ

鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造の建物はシロアリ対策が必要? 不要? シロアリはコンクリートに穴をあける!

2021年3月5日

https://realestate-mag.com

古い木造住宅だけがシロアリの被害にあっているイメージがありますが、実際には鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造の住宅でも、場合によってはマンションでもシロアリの被害は発生しています。どんな住宅であっても、木材を使用している以上シロアリの被害は避けられません。

チェックポイント

  • 構造にかかわらずどこかしらに木は使われていることがほとんど
  • シロアリはコンクリートに穴をあける場合がある
  • マンションもシロアリの被害にあう

ここでは鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造の住宅やマンションではどこが被害にあいやすいか、シロアリ被害にあいやすい場所と理由を解説します。

鉄筋コンクリート造以外の建物については以下の記事で解説しています。木造住宅の方はそちらを参照してみてください。

参考シロアリ駆除が必要ない家vs必要な家の違いとは? 住宅の種類別に危険度を解説します

非木造建築でもシロアリ被害発生!

フドマガ
私は住宅の9割以上が鉄筋コンクリート造という沖縄県で不動産会社を経営していましたが、シロアリ被害は日常的に発生していました。

木造と違って建物を支えている構造部分は無事なことがほとんどですが、意外と深刻な被害を受けている住宅が多かったことを覚えています。

  • 鉄筋コンクリート住宅は湿気がこもりやすいケースが多い
  • 「RCだから大丈夫」と油断している人が多い
  • RCだと長持ちするので古い住宅が多く設備も古い

以上のような理由で、鉄筋コンクリート住宅でも大きな被害が発生しています。

鉄骨造(S造)でも同じ事がいえます。

蟻害により内部造作を撤去したRCB造の住宅

この写真のような状態になると、鉄筋コンクリートの住宅でも、内部はすべて作り直しになってしまうことも。リフォームには百万円単位の費用がかかってしまいます。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家でもシロアリ被害にあう

鉄筋コンクリート造や鉄骨造、軽量鉄骨造だからシロアリの被害にはあわないと思ってしまいがちです。ところがそれは大間違い、木造でない住宅も油断はできません

データ出典:住宅産業研究所(H25年)
フドマガ
沖縄の住宅は9割以上が鉄筋コンクリート造なのは、台風が多い地域なので、頑丈に造る必要があるからです。

かつては赤瓦の木造住宅が中心でしたが、米軍が占領したことで、アメリカ風のRCB造住宅が増えていきました。

鉄筋コンクリート造の住宅は、実は木造建築に比べて湿気がこもりやすい特徴があります。湿気がこもってしまうため、一度シロアリが入ると木部を荒らされてしまうことが多いといえます。

また、木造建築では法律によって防虫処理が義務づけられていますが、鉄筋コンクリート造の住宅では義務化されていません。

メモ

建築基準法施行令で、木造住宅の場合は「地面から1メートル以内の部分にシロアリその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。」と定められています。しかし、鉄筋コンクリート住宅の場合にはそのような規定がなく、建築時に防虫処理が行われていない可能性があります。防虫処理が行われていない点も鉄筋コンクリート住宅でシロアリの被害にあう理由のひとつとなっています。

特に古い鉄筋コンクリート住宅の場合は床下にコンクリートを打設せず、土がむき出しになっているケースがよくあります。こういった住宅ではシロアリ被害をよく見かけます。いわゆる布基礎の状態で施工されています。

布基礎とは、地面に逆T字型のコンクリートを打ち込んで建物の基礎とする工法です。ベタ基礎と違い、一本のレール状の基礎で建物を支えます。また、床下が土のままなので、シロアリが侵入しやすいというデメリットがあります。

布基礎(左)と非木造建築の布基礎床下(右)

シロアリはコンクリートに穴を開ける

シロアリの侵入経路として多いのは、床下を経由して入ってくるというパターンです。土の中に巣を作っているシロアリが蟻道を伸ばして床下に侵入し、根太や梁などの木部を食べてしまいます。

ほとんどの場合シロアリは硬いコンクリートを迂回するように蟻道を伸ばし、地窓や基礎パッキンの間から床下に侵入します。

しかし、コンクリート部分を迂回する以外にも侵入方法があります。実はシロアリはコンクリートに穴を開けることがあるのです。

インターネット上の記述では「コンクリートを溶かす能力がある」と書かれていることがありますが、それは間違いです。実際にはシロアリはコンクリートの砂粒一つ一つを強力なアゴで外していき、最終的にコンクリートに穴を開けてしまいます。

(ポイント)「シロアリが酸性物質を分泌してコンクリートを溶かす」はウソ。

フドマガ
シロアリのアゴは非常に強く、自分の体をアゴで持ち上げることもできます。

シロアリの体は柔らかいですが、アゴだけが角質化して著しく硬くなっています。

コンクリートだけでなく電線など何でも穴を開けてしまうシロアリ

シロアリは蟻道を作って目的の場所へ進んで行きます。目的の場所への途中に障害物があれば、強いアゴの力でその障害物に穴を開けて掘り進んでいきます。

室内に電気を供給する引込線などの電線も被害にあうことも知られています。一般的な電線のビニール製の被覆の場合、シロアリに対抗することができず表面に穴をあけられてしまいます。ビニール製被覆の電線に穴があき、火災につながる事故が起きたことも報告されています。

出典:北九州市消防局「シロアリが引き起こす電気火災」

「消防防災の科学」に北九州市消防局が寄稿した報告によると、平成28年6月にシロアリの被害が原因となった建物火災が発生しました。

フドマガ
これはシロアリが直接の原因というよりも、シロアリが火事って穴をあけた電線に薬剤が入り込み、トラッキング現象を起こして発火したという事件です。

この建物火災は木造住宅の事例ですが、トイレ付近に長年シロアリが住み着いて大きな巣を作り、電線がその巣の中に取り込まれてしまったということです。電線の表面はシロアリによって穴を開けられており、たまたまシロアリ駆除をしたときの薬剤が穴の開いた電線に付着したことでトラッキング現象を起こし、火災が発生したそうです。

こうした事例に対応するために、電線メーカーは比較的低価格でありながらシロアリにかじられても強い電線を開発したりしています。

最近は新防蟻材料を被覆に用いたシロアリ対策ケーブル『ありタフ!』などが販売されています。『ありタフ!』は①ナイロンと同等以上の防蟻性能をもち、②ナイロンほど材料価格は高くなく、③低摩擦性を有した、シロアリに強い製品となっています。

木造以外の建物で被害にあいやすい場所

鉄筋コンクリート造の住宅であっても、意外と多くの木材が使われています。

床や床下、柱、壁、天井にも木材は使われている

特に木材がたくさん使われているのは床と床下です。鉄筋コンクリート造の住宅は通常は木材の根太の上に捨て貼りの板を貼り、その上に仕上げの床材を貼っています。

壁式RCB造建物の床下

またその他にも柱や壁、天井の材料にも木材が使われています。

無垢の木材に比べて、パーティクルボードなど最新の住宅用建材は若干シロアリに強いと考えられます。それでも結局は木質系の材料なので、最新の住宅用建材であってもシロアリの被害にあいます。木材にスチレン樹脂などのプラスチック系素材を注入した複合材は、シロアリはあまり好きではないようですが、それでも被害にあっている事例が報告されています。

パーティクルボードとは、木材の小片に接着剤を噴霧して堆積したマットに熱と圧力を加えて成型した板状の材料です。JIS規格(日本工業規格)

湿気がこもりやすい場所は被害にあいやすい

鉄筋コンクリート造住宅でよく被害にあっているのは、台所や洗面所などの水回り付近の床下です。また、日の当たらない北側部分の床下なども被害にあいやすい場所です。どちらも湿気がこもりやすく、シロアリが好む場所となります。

木材が使われている場所はシロアリに注意が必要

木造住宅と同じく、玄関周りもシロアリの被害にあいやすいと言えます。

鉄筋コンクリート造の住宅は木造住宅に比べてシロアリのエサとなる木材が少ないせいか、床上の家具や作り付けの下駄箱なども被害にあっている例をよく見かけます。

断熱材にもシロアリの被害を受けやすいものと受けにくいものがある

床や壁の断熱材の種類によりシロアリの被害を受けやすいものと受けにくいものがあります。グラスウールの断熱材はシロアリの食害に強いのですが、発泡型の断熱材は比較的簡単にシロアリに貫通されてしまいます。

木造でも鉄筋コンクリート造でも同じですが、基礎断熱を施行している場合、スタイロフォーム等発砲型の断熱材の中をシロアリが通って蟻道を作り、木材に到達して被害を与える例が増えているそうです。

スタイロフォーム (カネライトフォーム)

発泡系の断熱材の場合、断熱材そのものがシロアリにとって暖かくて住みやすい巣になってしまうという問題点も指摘されています。

鉄筋コンクリート造でシロアリの被害にあった場合、木造より軽微ですむ?

ケースバイケースで何ともいえませんが、鉄筋コンクリート造の住宅の場合、確かに構造を支える躯体部分に壊滅的なダメージはありません。

しかしシロアリに内部の造作を大幅に加害されてしまった場合、修繕には相当な費用がかかってきます。例えば内部の造作全てが被害にあって、フルリフォームをするとしたら、1,000万円単位の予算がかかってくる可能性もあります。

鉄筋コンクリート造だから安心、と考えるのは間違いで、鉄筋コンクリート造や鉄骨造であってもシロアリへの対策は必要であるといえます。

場合によっては、鉄筋コンクリート住宅であってもシロアリ被害のために建て替えをするケースもあります。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合は早期発見をすることで木造に比べると被害を軽微に抑えられる可能性があります。シロアリが気になったら、無料の調査を依頼してみることをおすすめします。

参考シロアリ110番……全国対応。調査は完全無料でOKです

シロアリの駆除・予防の費用相場については、下記の記事で解説しています。

参考シロアリ駆除の方法と費用は?料金と相場&おすすめ発注方法


参考文献

今村祐嗣、角田邦夫、吉村剛(2000)『住まいとシロアリ』(青海社)
「消防防災の科学」「シロアリが引き起こす電気火災」北九州市消防局

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