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シロアリにやられた家は倒壊するのか? 阪神大震災の教訓に学ぶ

2020年11月19日

私は沖縄県で不動産会社を経営していたため、シロアリの被害にあった建物をたくさん見てきました。沖縄は南方系のシロアリを含め、多くのシロアリが活発に活動する地域だからです。

「シロアリに食べられた家は壊れてしまうんですか?」とお客様に聞かれることも多く、返答に困りましたが、結論から言うと、シロアリの被害だけで倒壊した事例を見たことはありません。

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しかし、ひとたび地震がくるとシロアリに食われた家は倒壊してしまい、人命を奪っていきます。

たとえば阪神淡路大震災で亡くなった方は約6千人ですが、その80%以上が住宅倒壊による圧死でした(兵庫県警発表)。

シロアリで地震時の倒壊リスクが4倍に

「三宮・神戸経理コンピューター専門学校近く」松岡明芳撮影

阪神淡路大震災の後、専門家チームが被災地に入って被害状況を調査しました。その結果、倒壊した建物のほとんどがシロアリ・廃朽による被害を受けていたことが確認されています。

神戸市東灘区で倒壊した建物の調査報告

グラフは神戸市東灘区で倒壊した建物の調査結果ですが、シロアリ被害や廃朽が見られた建物のうち8割が全壊したことがわかります。一方、シロアリ被害がなかった住宅は2割しか全壊しておらず、6割弱が軽微な損傷ですんでいます。

つまりシロアリの被害にあった住宅は地震を引き金として、そのほとんどが倒壊するといえます。もし現在、住宅にシロアリ被害の兆候があるのであれば、次の地震までに必ず対応が必要だといえます。

参考情報ですが、耐震改修については以下の記事をご参照ください。自治体の補助も解説しています。

参考耐震補強を安くする工法が充実。0円で施工できる可能性も

シロアリ被害の危険性が高くなるのは築10年から

では、そんな恐ろしいシロアリの被害はどんな家に多いのでしょうか? 日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合が国土交通省の補助を受けて作成した資料では「築10年を過ぎると被害発生率が4~6%に上昇する」とされています。

築10年頃から増え始めるシロアリの被害は、築年が増えるに従って増加していきます。ネット上では「築年と相関しない」とするサイトが見られますが、それは誤りで、建物が古くなるとシロアリ被害が増加しています。

グラフのA区分、B区分の違いは、A区分が新築時の防蟻処理保証切れの住宅で、B区分が再度防蟻処理をするなど保証期間内の住宅です。また築30年あたりでいったんシロアリ被害が減少しているのは、このあたりで駆除処理をしているからと考えられます。

一般に「日本の家の5軒に1軒はシロアリがいる」といわれますが、このグラフを見る限り、それ以上の確率でシロアリの被害がある可能性も考えられます。

そして、もっとも恐ろしいのはシロアリ被害に気づかなかったり、気づいても放置していた場合です。

シロアリにやられても家が立っている。むしろそれが危険

人気の琉球古民家。しかし柱は蟻害でスカスカに……

古民家ブームということもあって、私も雰囲気のある古い建物を買い取り、リフォームをして販売するという事業を行っていました。

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そんな物件探しの中で出会った琉球古民家が印象に残っています。

畳をあげてみると至る所にシロアリの食害があり、耳をすますと驚いたことにシロアリが木をかじる小さな音が聞こえてきました。何十万匹ものイエシロアリが一斉に根太や柱をかじっていたのです。

しかし、それほどの被害でも建物は崩れずに立っていました。つまり、柱がスカスカであっても、何もなければ家は建っているのです。そして、地震が来たときに崩壊し、中にいた人が圧死するいたましい事態につながります。

阪神淡路大震災で倒壊した建物の多くは、まさにこのような状態にありました。

ポイント

シロアリにやられた家でも地震が来なければ倒れずに立っています。ですから、一見大丈夫そうな家でも専門家のチェックを受けておいた方が安心といえます。

すぐに駆除をおこなわなくても、本当にウチは大丈夫なんだろうか? という確認は必要です。一般的にシロアリの調査だけなら無料のことも多いですから、まずは信頼できる業者に相談してみたほうがよいと思います。

参考シロアリ110番 ……無料のシロアリ調査も依頼できます

シロアリ被害を見つけるポイント

専門家を呼ぶまでもないな……という場合は、少なくともセルフチェックだけはしておいてください。ここでは代表的なシロアリ被害の兆候をお知らせしますので、その点だけでも確認しておくとよいでしょう。

  • 庭にシロアリがいないか。
  • 蟻道がないか(特に玄関に注意)。
  • これまでスムーズに動いたドアや開き戸が動かしにくくなっていないか。
  • 壁や柱をたたくとポコポコと虚ろな音がしないか。
  • フローリングのスキマなどに細かい木くずがないか。
  • 床が浮いてきたら末期症状なので要注意。

蟻道というのは、シロアリが作る通り道です。写真のようにシロアリがかみ砕いた木くずやフンなどを固めて作られていて、床下の土や基礎から柱を伝って立ち上がっているのが一般的。玄関付近では土間からカマチにかけて蟻道が作られていることもあります。

基礎の入隅を立ち上がっている蟻道

またシロアリは土中に生息するため、庭の木にシロアリがいる場合、土の中を伝って家の中に侵入してきます。基礎に設けられた通風口(地窓)から侵入することもあるので、そのあたりに蟻道がないかもチェックしてみてください。

ポイント

症状に思い当たったら急いで対応する必要があります。シロアリ被害は再発しやすく、また保証切れ直後から増加するというデータもあります。できれば長期保証付きのシロアリ駆除を検討するべきだといえます。

シロアリ被害が出やすい住宅の特徴は?

シロアリの被害にあった柱

シロアリ被害については建築学会や防虫業者の団体がさまざまな調査研究をおこなっています。シロアリ被害にあいやすい条件も、いろいろと指摘されています。

一例をあげると、以下のようなポイントに注意が必要です。

防蟻工事の保証が切れてから2年め以降で被害が急増

保証期間が満了する頃、シロアリ予防工事の薬剤効果も切れてしまいます。グラフは日本長期住宅メンテナンスの発表資料ですが、保証期間満了と同時にシロアリの被害が発生し始めます。10年経過時には被害発生率が20%に達し、20年経過時には30%近くになります

日本長期住宅メンテナンスによる調査

新築であっても5~10年で建築時に散布した薬剤の効果はなくなりますから、これ以降シロアリ被害にあいやすくなります。

ユニットバスで少なく、在来工法の浴室で多発

日本長期住宅メンテナンスの調査でも、特に気になるのがお風呂の工法。現在主流のユニットバスであれば蟻害の発生率は低いのですが、在来工法の場合は高い確率でシロアリの被害にあっています。

ユニットでなくモルタルやタイルで作った浴室の場合、長期にわたって防水性を確保することはできないといわれています。そのため周辺の木材が湿った環境となり、シロアリが好むためだと考えられます。

スラブ基礎やベタ基礎で少なく、布基礎で多く発生

スラブ基礎やベタ基礎といった、コンクリートで地面をしっかり覆う工法では、シロアリの被害は比較的少なめです。しかし布基礎の場合は高い確率で蟻害が発生しています。

ベタ基礎に比べて被害にあいやすい布基礎

布基礎とは、写真のように床下は土のままでコンクリートを打設していない基礎です。昭和の後期までは普通に見られた工法なので、1980年以前の建物であれば注意してください。

調査によるとツーバイフォーの住宅で意外とシロアリ被害が多いという報告もあります。パネル工法のため機密性が高いのがツーバイフォーのメリットですが、湿気を閉じ込めてしまうことで、シロアリに好まれる……という可能性も否定できません。ただし、厳密な調査はされておらず、今後の研究を待つ必要があります。

そもそもシロアリとは何か? 生態は? 画像で説明

シロアリは名前に「アリ」とつきますが、実は蟻とはまったく違う昆虫です。蟻がハチ目なのに対して、シロアリはシロアリ目に属し、どちらかというとゴキブリに近い仲間です。

その証拠に、オーストラリアに生息するムカシシロアリは名前の通り原始的で、ゴキブリに少し似ています。

日本に住むのは主にヤマトシロアリとイエシロアリ

日本の住宅に被害を与えているのは、主にヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。ヤマトシロアリの分布北限は北海道中部といわれており、ほぼ全国にみられます。

ヤマトシロアリ「巣の内部・脱出前の有翅虫が見える」(撮影:Keisotyo)

ヤマトシロアリはそれほど大きな巣を作らず、加害された木材をみると、その中に巣を作って女王蟻がいる場合が多く見られます。

それに対してイエシロアリは数十万頭から数百万頭のコロニーを作り、巣の大きさが直径1mになることもあります。行動範囲も広く2階の木材まで食べてしまうこともあります。

Photo by Scott Bauer.

ただしイエシロアリは寒さに弱いため、西日本を中心に分布しています。

羽アリが飛ぶ時期と注意点

室内で大量の羽アリが飛んでいる

シロアリに気づくのは、家の中や周辺で羽アリが飛んでいるのを見たときだと思います。羽アリは1年に1度、群飛といって集団で飛び立ち、古い巣とは別に新しいコロニーを作ります

ヤマトシロアリの羽アリは、4月から5月の暖かい日によく飛びます。色は黒っぽく、飛ぶ範囲は200~300mほどです。

イエシロアリの羽アリは6月から7月ごろの湿度が高い夕方に飛び、身体の色は黄褐色です。

羽アリが家の中に数匹入ってくる程度であれば心配ありませんが、家の中で群飛していたり、家の中から飛び立っていたら要注意です。家のどこかにシロアリの巣があるかもしれません。

シロアリ駆除は自分でできるの?

『シロアリ業者が書いたシロアリの話』という本(Kindle版)によると、シロアリ駆除を自分でおこなうことも不可能ではないとされています。ただし「薬剤を施工する際は1mmの隙間も無いように」施工する必要があり、難易度はかなり高いといえます。シロアリは、薬剤が1ミリでも切れていれば、その部分を伝って侵入できるからです。

その点を考慮のうえ、用具のレンタルや薬剤の購入はテクニカルトランスミット・テクノ株式会社で注文できます。

参考テクニカルトランスミット・テクノ株式会社

作業工程そのものは難しくありません。まず使い捨てのカッパなどを着て、ビニール手袋、マスクなどで保護したら、床下に潜ります。あとは束柱や大引きといった材木部分と基礎全体に、まんべんなく薬剤を散布します。

ヤマトシロアリならコロニーも小さく、巣を発見しやすいといわれています。そのため、こういった方法で駆除できる可能性はあります。

しかし、イエシロアリの場合はプロに任せた方が無難です。『住まいとシロアリ(海青社)』によると、イエシロアリの駆除はかなり難易度があがるからです。

イエシロアリの場合は、発見された食害部位とは別の所に巣がある場合が多く、コロニーが巨大なので発見部位だけを薬剤処理しても効果が上がりません。イエシロアリの駆除では被害の状況から巣を探し出すことが基本となるのですが、巣を捜し当てるには相当の熟練が必要だといわれています。

出典:『住まいとシロアリ』

こうなると、駆除業者にお任せした方が安心です。駆除業者はプロにしかできない、以下のような方法で巣を探索するからです。

  • ファイバースコープによる壁内部の確認。
  • モニター用の餌木を使ってシロアリの分布を探る。
  • 土中でイエシロアリが出すかすかな音を機械で検知する。

イエシロアリを完全に退治するには、これらの手法を駆使して巣の全体像を突き止め、確実に生殖虫(女王アリ)まで駆除する必要があります。

そこで、加害しているのがイエシロアリだと思われる場合やシロアリの種類がわからない場合は、プロにお任せすることを強くおすすめします。

シロアリ駆除のおすすめ業者は「シロアリ110番」

シロアリ駆除といえば多くの人が名前をあげるシロアリ110番。全国展開している大手サービスだから安心できるのに加え、次のようなメリットがあります。

  • 調査だけなら無料
  • 価格が安く追加料金がない
  • しろあり対策協会の手順を遵守して手抜きしない

シロアリの被害があるかないかはっきりしない、という場合は無料の調査を依頼してみるとすっきりします。シロアリがいるかいないかわからない、という状態では、対策を考えることができないからです。

また、シロアリ110番は作業内容がしっかりしているのに、価格を低く設定していることでも知られています。一般財団法人経済調査会の統計によると、シロアリ駆除料金の全国平均は1㎡あたり3,250円ですが、シロアリ110番は1,200円。しかも追加料金はなし、という方針なので、見積り以外のお金を取られる心配もありません。

これだけ安いと作業内容が薄いのではないか、と心配になります。しかし、実際にはむしろ逆で、シロアリ110番はしろあり対策協会の手順を遵守するように徹底しているので安心できるといえます。しろあり防除施工士による施工を依頼できるのもメリットです。

参考シロアリ110番 ……総合的にもっとも信頼できる駆除業者

私が個人のシロアリ駆除業者さんに頼んだ時は、平米あたり800円以下と、さらに価格が安かったこともあります。ですので、シロアリ110番の価格に無理があるということではありません。むしろ、本来はかなり低価格で施工できるはずです。

まとめ

シロアリの被害を受けても、案外家は倒れませんし、気づかない人は気づかないかもしれません。しかし、建築学会などの調査発表を見ても、地震で倒壊する確率が4倍に跳ね上がってしまいます。シロアリの兆候に気づいたら、ぜひ専門業者に調査だけでも依頼してみてください

また万が一シロアリの被害があった場合、リフォームが必要となります。リフォームを安くするヒントは、以下の記事を参照してみてください。

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