不動産売却

住宅ローン返済中の家を売る手順と注意点

2020年10月11日

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もしローンの支払いが厳しいなどの理由で緊急に売却が必要な場合は、下のリンクをクリックして、当該の章にジャンプしてください。

参考経済的な理由で売却が必要な場合


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さて、ここからが本編です!

住宅ローンの残債務がある住宅を売却することは可能です。そして、かなり多くの人が住宅ローン残債務のある物件を売却しています。

とはいえ、ケースごとに注意しておきたいポイントがあります

  1. 住み替えの場合はタイトな時間的制限の中で「売る」「買う」の両方をこなさないといけません。
  2. 単純売却であっても、ローンの支払いが厳しいといった事情があると、金融機関との交渉と平行して売却活動を行う必要がでてきます。

①と②いずれも、通常めったに経験しない事ですし、難易度もかなり高めです。

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不動産業者など専門家の意見も一致しておらず、さまざまななアドバイスが混在しています。私はこの記事で、多様な意見の中でも一番リスクが少ない、石橋を叩いて渡るスタイルをオススメしています。不動産で失敗する人は、リスクを甘く見た人なのです。確実にいきましょう!

買い換えの場合の考え方とタイミング

不動産の買い換え、住宅の住み替えの場合は人生において多くても数回しか経験しない「住宅の売買」という作業をふたつ同時にこなす、という難しさがあります。

下の図は国土交通省の資料を基に作成した、一般的な不動産売買の流れです。売るだけでも大変ですし、買うだけでも大変なことがわかると思います。

「住宅の住み替えには、かなり面倒な作業を行う必要があるな」と考えておいてください。

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しかも、購入物件を安く買い、売却物件を高く売るという目標もあります。

そこで、まず最初に考えないといけないのが「売るのが先か、買うのが先か?」という問題です。

買い先行か売り先行か?

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個人的には「売り先行」以外、あり得ないと考えています。

いろいろな不動産会社のホームページでは「買い先行、売り先行のどちらにもメリット、デメリットがある」という風に解説されています。多くの不動産会社の解説は、だいたい次のような内容です。

 メリットデメリット
売り先行①売却により手元資金が確定し、間違いなく予算が組める
②売却を急ぐ必要がないので、高く売れるチャンスが広がる
売却が決まったら早めに住み替え先を探すか、一時賃貸に入居する必要がある
買い先行自宅の引き渡し期限を気にせず、住み替え先の物件を探せる資金計画が不安定。買ったはいいが、自宅が売れない危険性も

買い先行のデメリットとして、あっさりと書かれている「資金計画が不安定になる」という点。だいたいの不動産屋はあっさり書いてすませていますが、資金計画が不安定になるというのは致命的な事態です。

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大事なところなので強調しておきますが、買い先行の場合「資金計画が不安定になる可能性」があります。致命的です。

もうひとつ懸念するのは「万が一にも囲い込み行為にあわないか?」という問題。囲い込み行為というのは、一部不動産屋がいまだに行っている業界の悪しき習慣。

両手仲介で仲介手数料を満額にしたいために、仲介依頼を受けた不動産を他社に紹介せず、自社で囲い込むことを指します。結果としてその物件は売れにくくなり、売却に時間がかかる傾向が強くなります。

参考不動産の囲い込み行為と防止方法【対策できます】

買い先行で囲い込み行為にあったら、かなり悲惨な事態になります。一度媒介契約を結んでしまうと、一般的には3か月間その業者との契約を継続する必要があります。

もし「囲い込まれているのでは?」と疑わしい場合は、以下の記事を参考にして、すぐに対策を打ってください。知識があれば対策できるので、まずは正しい知識を身につけてください。

参考【不動産の囲い込み行為】ケースごとの回避方法

時には撤退する勇気も必要

売却を先行する、という姿勢を絶対に崩さず、売却活動中にどんなに魅力的な物件に出会っても「今はまだ買わない」という大人の判断を下してください。

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すべては手持ち物件が売れてからです。いくらで売却できるか確定できなければ、住み替え先物件に申し込むのはおすすめしません。

そして、手持ち物件が希望額で売却できない場合は「計画を見直す」あるいは、勇気を持って撤退の決断をする、という判断も視野に入れておいてください。

不動産購入において、熱くなると失敗する確率が増えます。私はそうやって失敗するお客さんを、何人も見てきました。

売り先行のメリットは?

不動産屋の多くは「買い先行でもいいから、とにかく買ってくれて、仲介手数料を払ってくれればいい」と考えています。

買ってくれれば、自分らとしては、後のことはどうでもいいですからね。
不動産業者A

ですから、買い先行を勧めてくるケースも多いと思いますが、買い先行のメリット「スケジュールを気にせず住み替え先の物件を探せる」という点については、気にしないのが正解です。

私自身がここ5年の間に買い換えをしたケース(2回)は、すべて売り先行です。参考までに売却したのは以下の2回です。

 種類購入時売却時備考
事例1中古一戸建て700万円1400万円リフォーム代別途300万円
事例2新築一戸建て2450万円2650万円 

特に事例2のケースでは、いったん賃貸アパートに引っ越して売却物件を空き家状態にして「売りやすくする」という方法をとりました。アパートに収まりきらない荷物は、数か月間レンタル倉庫に預けて対処しました。

余分な費用が100万円くらい出ましたが、それでも売却益(譲渡益)で十分吸収できます。

この写真は上記物件売却時のものです。生活感がある雑然とした状態よりも、このように空き家になって掃除もされている状態のほうが絶対に売りやすいといえます。

ポイント

高く売るには空き家にするのがベスト! それが無理でも可能な限り掃除をしてきれいに見せてください。

買い換えの場合の手順

すでに述べたとおり「買う」と「売る」というふたつの不動産取引を、同時並行的に進める必要があります。場合によっては、売りと買いで、異なる不動産業者に仲介依頼をすることになります。面倒だから同じ業者に頼もう、というのはラクですがおすすめしません。

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不動産は「物件」が基準です。業者中心に考えると失敗する可能性が高まるので、物件中心で考えてください。そして、物件中心で判断すると、業者は物件ごとに変わってくるでしょう。

価格査定

不動産売却は、価格査定からスタートします。

特に理由がない限り、不動産一括査定サイトを利用するのが合理的な査定依頼の方法です。ただし、一括査定にはデメリットもありますので、それを押さえた上で利用してください。

一括査定サイトのデメリット

一括査定は無料で利用できますが、その分のお金を払っているのは不動産会社です。しかも1件の査定依頼について15000円くらいを査定サイトに支払います。その資金を回収するために、ガンガン営業をかけてくる……という点は理解して利用してください。ただし、ガンガン営業をかけてくる業者こそ、ガンガン物件を売ってくれる業者です。「本気で売りたい」と思う場合は、ガンガン営業してくる業者をしっかり利用するという意識も大切です。

一括査定サイトを利用するなら、大手で登録不動産業者が多いところを利用してください。

参考不動産一括査定サイト「リビンマッチ」のクチコミと利用のポイント

不動産一括サイトを利用するにあたって、知識を整理しておくなら、以下の記事がおすすめです。

参考【不動産一括査定】デメリットと、それを回避する利用方法

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不動産一括査定サイトは役に立ちますが、注意点もあります。戦略を持って利用するようにしてください。

売却計画を立てる

査定書を何通か送ってもらえたら、その平均的な価格を「売却価格」と想定しておきましょう。他の記事でも繰り返し述べていますが、不動産の価格査定書は「市場で売れる価格はこれくらいだろう」という推測にすぎません。

高い査定額市場で売れる最高値を書いている可能性あり。実際には売れないとみておく
平均的な査定額このあたりで売却できたらいいな、と想定しておくライン
低い査定額条件次第ではこれくらい安くなる可能性も……と想定しておくべきライン

たとえば6社程度の不動産業者から査定書をもらえたとします。価格はバラバラです。その査定額については、上の表のように理解しておくとよいでしょう。

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高い査定額はカンタンにねつ造できます。本当に正直な査定額はどれか? という視点を持ちましょう。

複数の査定書がもらえる、というのが不動産一括査定最大の魅力です。そして、複数の査定書を受け取ったら、その中の平均的な価格を「売却できそうな価格」と考えてください。

この「複数の査定額から平均を考えることができる」というのが、不動産一括査定サイトを利用する一番のメリットではないかと思っています。一番高い価格を見て一喜一憂する……というのはダメな使い方ですから、注意してください。

成約

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成約した瞬間から、住み替え物件を本格的に探すのがベストなタイミングです。

動産(お店で買える普通の商品)の売買と、不動産の売買では複雑さがまったく違います。不動産の場合は、契約して即売買が成立するわけではありません。

一般的には、契約書を交わすと同時に手付金を受取り、一応売買を確実なものとします(ただし、一定の条件で売買が解除される可能性は残ります)。

この「一定程度確実に売買が完了しそうだ」と期待できる状況で、はじめて本格的に購入物件を探すことをおすすめします。もちろん、それ以前に探しておいても全く問題ありませんが、売却が未定の段階では、どんなに魅力的な物件でも申込みを入れるべきではありません。

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不動産は縁です。手持ち物件の売却完了後に出会った良物件こそ、縁があった物件と割り切りましょう。

決済と引き渡し

「契約」と「決済」の間に、売主・買主ともにさまざまな準備をしておきます。この時点では、どちらかというと買主のほうにやるべきことがたくさんあります。

買主は銀行・金融機関と準備しておき(住宅ローンの本申込み)、確実に融資が実行されるよう準備します。住民票などの必要書類も用意します。

記事上部の図で「同日に行う」と書いてある、残金決済、物件の引き渡し、登記手続きを完了すればひとまず売却完了。あとは住み替え物件の購入も、同じ手続きで完了できれば、無事住み替えが終わります。

補足・ダブルローンという手もあるけれど……

この記事では「売り先行」を前提に解説していますが、「買い先行」で進めた場合は先に住み替え物件の購入が完了します。

そこで、なかなか手持ち物件が売却できなかったら?

その場合は金融機関の承認が下りればダブルローンを組み、それが難しいようであればつなぎ融資(手持ち物件の売却完了までの一時的な融資)を利用して対処することになります。

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「なーんだ、じゃぁ資金面でも大丈夫じゃないか」と思うかもしれません。しかし、手持ち物件がいくらで売却できるか不透明という問題は残ります。もしこれをビジネスでやっていたら? と考えると、会社の稟議に通りませんよね。

買い先行で住み替えを進めることも、手順の上では可能ですが、予算面では不安が残ります。

単純売却の場合

「買い替えは必要ないが、ローンが残っている家を売りたい」という場合、手順そのものは住み替えよりシンプルになります。しかし、ケースによっては「不動産を売却した価格よりも、ローンの残債務のほうが多かった」ということになってしまいます。

この場合、現在組んでいるローンの抵当権を抹消できないので、売却ができないという可能性があります。これについて、詳しくは後述します。

経済的な理由で売却が必要なケース

不動産屋をやっていると「ローンが支払えないので緊急に売りたい」「ローンの支払いが滞ったので、どうしたらいいか」といった相談が入ることがあります。

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「ローンの支払いが滞る前に対応する」こと、それができなかったとしても「可能な限り早く対応する」ことが大切です。

金融機関の住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)の約款には「ローンの支払いが一度でも滞ったら、金融機関は全額の支払いを請求できる」という規定があります。そこで、ローンの返済が滞ってしまうと、ローンを返済している本人も、その人の不動産を売却する不動産業者も、かなり苦しい対応を迫られます。

オンライン査定サイトの中で、リビンマッチというサービスは任意売却にも対応しています。こういったサービスを利用して、早めに対応していくことをおすすめします。

参考リビンマッチ……無料で複数社に査定依頼。任意売却も対応可能

たとえば私が対応した、以下のふたつの案件。難易度はかなり違っていました。

ご主人が脳出血で倒れて仕事ができなくなった

【事例1】ご主人が脳出血で倒れて半年。ローンの滞納が始まった後に売却依頼をもらい、対応。すでに債権は銀行でなく保証会社に移っており、保証会社との厳しい交渉を迫られました。しかも売却価格では残債務を返済しきれないと予想されました。「言った、言わない」のぎりぎりのやり取りをICレコーダーで録音する緊迫した交渉の末、保証会社からローン残債の減額を勝ち取り、なんとか売主さんが無借金の状態で売却を完了しました。しかし、できればもう経験したくないほど大変な仕事でした。

任意保険が切れた自動車で人身事故を起こしてしまった

【事例2】ローン滞納前に連絡をもらい対応できた事例。売主さんは任意保険がかかっていない自動車で人身事故を起こしたため、賠償のために自宅を売却することに…。緊急に見舞金を支払いたいという要望には、顔見知りの銀行担当者と相談して、フリーローンで100万円融資してもらいました。当座をそれでしのぎながら比較的時間をかけて売却活動を行えたため、住宅は購入時より高く売却できました。

両方不幸な事故で自宅を売却した事例ですが、早めに対応開始できた事例2のほうは、それでも「物件を高く売ろう」「購入時以上の価格を狙おう」という時間も、気持ちの余裕もありました。

それに対して事例1では、すでに債権が保証会社に移っており、その点で厳しい売却活動でした。競売の可能性もあり、時間に追われている状況では、買主との交渉にも余裕がなくなります。このケースではたまたま保証会社にも問題があり、その点をついてローン残債務の減額を勝ち取れたのですが、これはラッキーだったと思います。

 残債務以上で売れなければ売却が困難な理由

上の図はある住宅用土地の登記簿乙区に記載された事項です。平成12年に2700万円借り入れしていることから、現在(2020年10月時点)でも1400万円以上の債務が残っていると推定されます。

この登記簿を抹消するには、1400万円以上のローン残債務を銀行に返す必要があります。つまり、その額以上で物件が売れなければ、抵当権を抹消することができません。そのような物件を買う人はほとんどいませんから、1400万円を下回る金額での売却は困難だということになります(当時の利率で、35年ローンを組んだ場合)。

登記簿の見方について、詳しくは以下の記事も参照してみてください。

参考【不動産】登記簿謄本の読み方。危険箇所(差押、抵当権等)と注意点

どんな不動産屋に相談すべきか?

大手仲介会社の営業マンは忙しいので、こういう場合は親身に対応してもらうことが難しいと思います。地場でコツコツと営業している業者の方が、問題を解決しながら粘り強く対応してもらえる可能性が高いと思います。

もっとも、地場の業者の場合能力が心配なケースもあります。基本的な法令を理解していなかったり、研修をきちんと受けて、最新の制度を学んでいなかったりするかもしれません。

時々「任意売却(任売)専門」という風にうたっている不動産業者もあります。近くにこういった業者があれば、相談してみる価値があると思います。ただ、この場合も担当者次第で知識や意欲に差があります。

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上記のメリット・デメリットを考慮した上で、最終的には信頼できる営業マンかどうか、「人物」を見極めてください。

まずは一括査定サイトなどを利用して、多くの業者と会ってみて、話をするのがよいと思います。他の記事でも主張しているように、不動産一括査定サイトは規模が大きい老舗サイトを利用するのがベターです。リビンマッチは任意売却の依頼もできるため、このケースでは最適なオンライン査定サイトです。

参考リビンマッチ……無料で複数社に査定依頼。任意売却も対応可能

また、以下の記事も参照してみてください。

参考不動産一括査定】デメリットと、それを回避する利用方法

ポイント

ただし、このケースに限っては、上記記事ですすめている「一般媒介」はおすすめしません。本当に信頼できる不動産会社を探して、その1社に売却を依頼してください。ここでは「専任媒介」を強くおすすめします。そうでなければ問題解決ができないからです。

「月々のローンが払えない」という難しい状況も、よい不動産業者に出会えれば解決できる可能性があります。業者探しを慎重に行ってください。

特に問題のない単純売却の場合

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この場合注意点はひとつだけです。

上述したように、売却した金額で抵当権を抹消できるかどうかがポイントです。売却した資金で抵当権を抹消できない場合、売却はきわめて難しくなります。

そうれでもどうしても……という場合は、不足分を貯蓄を切り崩すなどして返済する必要があります。

不足分を工面してでも売却したい場合は仕方がありませんが、この場合他の不動産活用方法も検討した方がよいかもしれません。

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ウチの弟が若い頃買った一戸建てが、まさにこの状態です。売却しても債務が残ってしまうため、結局売却をあきらめて、賃貸で回しています。

こういうケースで「賃貸したら利回りがよくて結果オーライ」となることは希ですが、それでも売却して手出しが出てしまうよりマシかもしれません。以下の記事も参照してみてください。

参考【相場の出し方】一戸建て住宅を賃貸した場合の家賃はいくら?

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