不動産活用

【不動産】登記簿謄本の読み方。危険箇所(差押、抵当権等)と注意点

2020年9月17日

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はじめての不動産購入に際して、物件の登記簿謄本の見方がわからない

そんな悩みがある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

ポイント

もし不動産売買を前にして「登記簿の見方を知りたい」ということでしたら、権利部乙区に記載される事項を確認してみてください。あわせて、権利部甲区に入る差押登記も念のため見ておいてください。

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私は約15年前未経験からいきなり不動産会社を設立しました。登記簿謄本の読み方にも最初は悩みましたが、経験を通して重要なポイントがわかってきました。この記事では、特に重要と思われるポイントを中心に、不動産の登記簿等の見方を紹介します。

登記簿の構成と注意点

上記は実在する建物登記簿の例です。①の表題部、②の権利部甲区、③の権利部乙区にわかれています。

表題部

建物を新築すると表示登記を行う必要があります。表示登記を行うと登記簿の表題部が作られます。表題部には建物の所在や家屋番号、種類、構造、床面積等が記載されています。土地の場合も表題部が設けられています。所在や地目、地積などが記載されています。

表題部は登記する義務があります。また、表題部がないと、所有権の登記や抵当権設定登記ができません。

権利部甲区・乙区

権利部には所有権(所有者に関する事項)や、所有権を制限する権利(抵当権など)が記載されます。

権利部甲区

権利部甲区には所有権に関する事項が記載されます。不動産を購入して自分の名義に変更した場合、権利部甲区に所有権が移転した理由(売買や相続など)と、新しい所有者の指名、住所が登記されます。

権利部乙区

権利部乙区には所有権以外の権利に関する事項が登記されます。抵当権、根抵当権、地役権などはここに記載されます。

これ以降、権利部の甲区・乙区に記載される事項について見ていきます。

甲区に入る差押登記

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差押とは、金銭債権を保全するために、不動産の所有者が自由にその不動産を処分することができないように不動産を差押ることをいいます。

差押の原因としては①税金の滞納、②抵当権の実行の2つがよくあるケースです。

①税金の滞納

国税や県税市町村税いずれの場合も、の滞納を続けるとその人の財産に対して強制執行できるように差押されることがあります。

②抵当権の実行

住宅等ローン利用して購入した場合、通常抵当権を設定します。ローンの支払いが滞った場合、金融機関(債権者)は抵当権を実行することができます。不動産が競売にかけられる手続きの中でその物件が差押られることになります。

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差押物件を購入する場合は必ず差押の登記を抹消できることを確認してから契約をすることが重要です。

差押をされた不動産の持ち主は、その不動産を売却したお金で債務を全額返済します。それによって差押登記を抹消する、というのがよくある流れです。

差押登記が入った不動産を購入するとき、決済の朝まではまだ差押登記が入った状態の場合が多いと思います。そこで、これから支払う売買代金で差押登記が抹消できるかどうかを、司法書士および仲介業者に確認することが大切です。

乙区に入る抵当権・根抵当権

お金を借りた人を債務者といいます。抵当権は債務者が債務の担保として不動産に設定するものです。場合によっては人の債務を担保するために抵当権を設定することもありますが、それを物上保証といいます。担保提供した人は物上保証人と呼ばれます。

抵当権を設定してもその不動産を従来通り使用収益できますし、売却することもできます。しかし、もし債務者が債務の弁済をしないときは、債権者(お金を貸した人)はその不動産を競売して、その代金の中から優先的に弁済を受けることができます。

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つまり、抵当権が設定されたままの不動産を購入すると、場合によってはその不動産が競売にかけられて、自分のものでなくなる可能性があるのです。

抵当権の設定は一般的に行われているので、不動産の売買をする場合に、購入したい物件に抵当権が設定されている事はよくあります。

この場合も抵当権をきちんと抹消したうえで自分の名義に変更できるかどうかは、司法書士さんにかかっています。司法書士さんはこういった取引の安全を担保する役割を担っているので、もし購入したい物件に抵当権が付着している場合は、司法書士さんの意見を聞いてみてください。

また仲介に入る不動産業者も、必ず抵当権が抹消できるかどうかを確認しています。

甲区に入る買戻権

日常生活で出会う機会は少ないのですが、登記簿に買戻権の登記が入っていることがあります。自治体が分譲した土地や旧住宅・都市整備公団が販売した分譲マンション等の登記簿でよく見かける登記です。

買戻権が登記されていると、不動産のもともとの売主は当時の代金と売買契約にかかった費用を返還して、その不動産を取り戻すことができます(民法579条)。せっかく不動産を購入しても強制的に買い戻されてしまう可能性があるため、これも注意しておきたい登記のひとつです。

自治体等が分譲した土地に買戻権が設定されているのは、売買契約に付された条件に対する違反があった場合、それを是正するために買い戻すことが目的です。

買い戻しの期間は10年と定められています。これは不動産の権利関係を長期間不安定な状態に置いておく事は好ましくないからです。期間を定めなかった場合は5年以内に買い戻さなければ、買戻権が消滅します。

甲区に入る譲渡担保

譲渡担保というのは抵当権のように債権を担保するものですが、所有権自体をいったん債権者に移してしまうという担保形態です。所有権を債権者に移しても、もともとの所有者はその不動産を使用することができます。

一概には言えませんが、実務上お金を貸す代わりに不動産に譲渡担保を設定することを要求してくる人や会社は、どちらかと言うと抜け目なく手強い印象です。

譲渡担保はトラブルになりやすいので、売買をする場合は必ず本来の所有者に所有権を戻した後に売買契約を締結するのが望ましいといえます。

所有権移転請求権の仮登記とは?

所有権移転請求権の仮登記は、農地の登記簿などでよく見かけます。

  1. 売買等の契約はされており実態上権利は移転しているけれども、手続き上の条件が管理していない場合。
  2. 上記のような実態上の権利変動は生じていないが請求権を保全したい場合

ここでは①について解説します。農地の売買には買い受け適格(農業従事者であること等)が必要です。農地を買ったけれど買い受け適格を証明する書類が用意できない場合に①の仮登記を設定することがあります。つまり農地を買ったものの農家ではない場合、とりあえず仮登記で押さえておこうか、という事はよく行われています。

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よく行われてはいるのですが、結局トラブルになっていることが多いです。

また、所有権移転請求権の仮登記が付いた物件をそのまま購入することはおすすめできません。万が一仮登記権利者と所有権を争うことになった場合、登記順位で遅れをとってしまうことになるからです。

もしこれから仮登記を設定しようとするなら?
実務上、所有権移転請求権仮登記はよく目にします。不動産会社や関連業界の会社が登記しているケースもよく見ます。しかし、結局本登記に進むことができず長年放置されてしまいトラブルの元となっている事例も散見されます。そこで、例えば買い受け適格がないので仮登記をしておこう、というような場合は、あわせて売買代金と同額の抵当権を設定しておく方がよいと思います。

土地付き建物(一戸建て)の場合

日本の法律上土地と建物は別個の不動産とされているので、一戸建て住宅の場合土地と建物それぞれの登記簿が作成されることになります。

共同担保目録

ひとつの債権を担保するために2つ以上の不動産に担保権を設定する場合があります。それらの不動産は、共同担保の関係にあるといいます。共同担保目録は登記簿の一部として記録されています。

土地を購入し建物を土地上に新築した場合、まず土地に抵当権を設定します。建物が完成して表題部登記が完了したら、金融機関は建物にも抵当権を設定するように要求します。この時ひとつの債権を土地、建物の2つの不動産で担保することになるので共同担保目録が作成されます。

そこで一戸建て住宅の登記簿取得するときは共同担保目録付きで登記簿を請求します。今日の担保目録には、その債権を担保している不動産全てが掲載されるため、例えば土地が2筆以上ある場合なども、両方の土地が記載されています。共同担保目録を取得しておくことで、不動産の調査漏れを防ぐことができます。

一戸建て住宅の場合に限らず、ひとつの債権を担保するためにたくさんの土地を担保提供した場合などにも共同担保目録が作成されます。

法定地上権

法定地上権は土地建物が競売により別々の所有者になったときに、当該建物に、法律上当然に成立する地上権のことを指します。ただし要件は次のように決まっています。

  1. 抵当権設定時に、土地の上に建物が存在していた
  2. 抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一だった
  3. 土地または建物に抵当権が設定された
  4. 抵当権の実行によって土地と建物がの所有者が異なることになった

法定地上権も第三者対抗要件として登記をすることが必要とされています。例えば競売で法定地上権が成立する建物を購入した場合、地主に対して法定地上権の登記を請求することができます。地主が応じない場合には訴訟を提起して、勝訴判決を得れば単独登記も可能とされています。

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法定地上権は必ずしも登記簿搭載事項というわけではありませんが、抵当権が設定されている住宅の場合に成立する可能性があるので、ここで解説しました。

マンションの場合

マンションのことを法律上「区分建物」、「区分所有建物」といいます。そして建物の一部を目的とする所有権を区分所有権といいます。

マンション(区分所有建物)はその性質上、他の登記簿にはない記載があります。登記簿の表題部に1棟の建物の表題部があり、その下に専有部分の建物の表題部があります。つまり建物全体の表題があり、その建物全体の中で専有部分がどこなのかを表示する表題部があるということです。

敷地権登記

マンションの敷地権の目的となっている土地には敷地権の登記がされています。これは、この土地が建物と分離して処分することができないということを表しています。

特に古いマンションを除き、マンションの立っている土地の登記簿をとると所有権敷地権の登記がされているはずです。

結局登記簿って何?

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登記簿には公信力がない、と言われます。この辺の概念は結構難しいのですが、少しだけ考察してみます。

ここでいう公信力とは不動産登記簿に搭載されていることが公的には信用できないということを指しています。つまり行政は登記簿の内容を保障することができないということです。行政が保証できるくらい内容を確認しようとすると、膨大な費用がかかり無理があるからだとされています。

しかし登記には次のような効力が認められています。

  1. 対抗力
  2. 権利推定力
  3. 形式的確定力

①の対抗力というのは、所有権を争う事態になった場合、自分のほうが優先するということを主張できることです。

②の権利推定力というのは、公信力ほどではありませんが登記されていれば本当の所有者だと推定される能力があるということです。例えば判例上登記を信頼して取引をしたものは無過失であると推定されているので、これを覆すためには登記簿上の名義人が権利者ではないという反対の証拠を示す必要があります。

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ちょっと話が難しくなってきました。ざっくりいうと「登記簿上の名義人であれば、法的にとりあえず所有者と考えます。違うという人は証拠を出してね」という感じです。

③の形式的確定力とは、一旦登記がされていればその登記は真実の登記であるとみなして、登記上の手続きはこれを無視して進められないということです。登記官はすでにされた登記が真実かどうかを判断せずすでに、すでにされた登記は正しいものとして、次の登記を進めます。これを、形式的確定力といいます。

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登記簿を信用しても法務局(登記所)は責任を取らないということではありますが、それでも登記簿はかなり確実に、不動産に関する権利を表しています(権利推定力)。

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