不動産売却

「専任返し」には普通のとワルいのがあるという話

2020年9月5日

https://realestate-mag.com

不動産業界には「専任返し」という言葉があります。

HIDE
ざっくりいうと、物件買取り時に仲介してもらった業者に、物件売出の専任媒介を任せることをいいます。でもなぜ「普通」と「ワルい」ものがあるのでしょうか?

この記事ではその理由を説明するために、専任返しにおけるふたつの代表パターンをご紹介します。

新築分譲メーカーによる、普通の専任返し

新築分譲を行う建売メーカーは、常に商品化するのによい土地を探しています。土地の仕入れには特別の担当者がいることも多く、仕入れ担当者は不動産仲介業者を回ったり、密に連絡を取って、分譲住宅を建てたらすぐに売れて、儲かりそうな土地を探しています。

不動産業者A
○○建築産業さん、4区画にわけて分譲したらすぐ売れそうな、めっちゃいい土地が出ましたよ。

不動産業者から土地仕入れ担当者には、そんな電話がかかってきます。そのおかげで、仕入れは円滑に進み、分譲住宅の商品化が着々と進んでいきます。

建売住宅が完成したら専任返しでお返し

建売住宅のメーカーは、よい土地を紹介してくれた不動産仲介業者にお礼の意味を込めて専任返しをするわけです。

建売住宅メーカーの専任返しは3か月間で、その間に売れなければ一般媒介に移行します。ほとんどの建売住宅メーカーでは、専任返しを含めた不動産仲介業者への対応を行っています。

HIDE
こういった専任返しは、特に誰も損をしないし被害も与えない、普通の専任返しといえます。

不動産買取業者による専任返し

不動産買取業者も、良物件を紹介してくれた不動産仲介業者に専任返しで報いることがあります。これも、普通に仲介している分には問題がありません。

お客さん
めちゃくちゃ急いで不動産を売却したいんだけど、なんとかなるかな?
安くはなるんですけど、買ってくれる買取業者さんいますよ。査定額の6掛くらいになりますが、それでよければ。
不動産業者A
お客さん
いいよ、今回は急ぎだから。それでも助かるよ。

こういうケースで買取り業者に紹介し、現金で即買取ってもらった場合。これは誰も損をしていない、問題のない買取りですし、それに対して買い取り業者が仲介業者Aに専任返しでお礼をしても、誰も責める人はいません。

囲い込み+買取り業者+専任返しはワルい組合せ

囲い込み行為についてはいくつかの観点から記事を書いています。アウトラインを理解していただくとしたら、次の記事が参考になると思います。

参考不動産の囲い込み行為とは? 囲い込みを防止する方法も紹介

囲い込み行為をざっくり解説すると、専任媒介などで物件を預かった業者が情報を囲い込んでしまい、他社に紹介せず売らせないという行為。売り手のみならず、買い手も自社でみつけることで、売・買双方からの仲介手数料をもらおうという、自己中心的な行為です。

宅建業法に違反しているので悪質な行為なのですが、仲介手数料を2倍にできるという魅力が大きいため、今でもよく見かけます。

この囲い込み行為の中でも悪質なのが、自社で売ることさえせず抱え込み、物件を干す行為。売りさえしない、というのは一見すると無駄な行為のようにも思えますが、そうではありません。

ウラにはちゃんと意図があるのです。

その意図は、売主を弱らせて「誰でもいい、安くてもいいから早く買ってほしい」という状況を作ることにあります。このあたり、以下の記事を参照してみてください。

参考【不動産囲い込み】買取り業者が登場したら警戒レベルを上げる

囲い込み行為は、仲介手数料を2倍にしようという違法な行為でした。

ところが、専任返しを狙う悪質な囲い込み行為では、仲介手数料を4倍にすることを目的としています

買取り業者に激安で物件を流すために売主を干す。そのための囲い込み行為は、考えられる中でも最悪の囲い込みです。その結果、一種のキックバックとして返される専任返しは、ワルい専任返しだといえます。

というわけで、物件売却中の方は買取り業者が登場した時点で警戒度を上げてください。買取り業者が「高く買い取る」ということはビジネスモデル上ありえませんので、そういう点を正直に言ってくれる場合を除いては、あまり信用すべきではありません。

ひとつのツイートが記事を書くきっかけに

宅建業者(不動産業者)の方のツイート。

この意味は不動産業者なら全員分かるのですが、一般の人には伝わりにくいかもしれません。

よくある一括査定サイトの広告に対して、不動産のプロであるツイート主さんが論評しています。つまり、こういうケースでは、いちばんまともなのは、一番安い額を提示しているB社です(査定額2980万円)。

それに対してA社は相場上限のぎりぎりを査定額としました(チャレンジ価格)。査定額は相場の中央値を出すべきですが、これはまぁ許されるギリギリの行為かと思います。

そして、C社の提示額(3480万円)は媒介ノルマ(仲介依頼件数のノルマで、通常営業マン等に課された数字)を達成するための無茶な査定額です。

HIDE
本来2980万円での成約を目指すべき物件を、3480万円で売り出しても、ずっと売れ残るだけです。そのまま干されて買取り業者に安く買われ、専任返しでまたレインズに載る……という意味です。

一括査定サイトは乱立気味です。とくにアフィリエイターはこういう無茶な広告で、不動産業界を知らない消費者を引っかけようとする傾向があります。査定サイトには利用価値もあるのですが、高い査定額がよい査定額ではないことを理解して利用してください。

不動産一括査定サイトについてさらに深く知りたい方は、以下の記事を参照してみてください。

参考【不動産一括査定】デメリットと、それを回避する利用方法

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