不動産活用

【接道義務】土地がどんな道路に接していれば建築できるかまとめ

2020年8月17日

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建築基準法は、第43条で次のように定めています。

建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。

ではどんな道路でもいいのかというと、そうではありません。第42条には「建築基準法上、これしか道路と認めません」という要件が書かれています。

上記をまとめると……。

第42条道路と認める道を列挙
第43条「上記の道路に接していないと建築できない」と規定

上の表が原則です。

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ただし「例外的に建築を認めましょう」という条件がいくつかあり、それを知っていると建築や再建築ができるようになります。

今回はこの「例外」を中心に、深掘りして解説します。道路の話ばかりで全部読むのは大変だと思います。ご自分の物件に当てはまりそうなものを目次の内容からピックアップしてみてください。

参考このページをブックマークしておき、役所調査で担当者から言われた道路の種類をその場でチェックすると便利です。

建築基準法の道路といえば1項の道路

参考建築基準法42条1項に基本的な「道路」が列挙されています。

建築基準法では、図のように「幅員が4m以上の道路に、間口2m以上で接していないと建築できない」と規定されています。

その「道路」を法律は、次の5パターンに分類しています。

  1. 道路法による道路(国道、県道、市町村道等の公道)。
  2. 都市計画法、土地区画整理法、旧・住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法等によって築造された道路。
  3. 建築基準法の施行日にすでに存在していた「既存道路」。
  4. 2年以内に事業が執行される予定の都市計画道路等で、特定行政庁が指定したもの。
  5. 特定行政庁がその位置を指定した「位置指定道路」。
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接道義務が課されるのは、都市計画区域や準都市計画区域についてで、都市計画区域外はその対象となりません。ものすごくざっくりというと、すごい田舎のエリアは対象とならず、すこし緩い規定が適用されるということです。

建築基準法42条第1項にあげられている道路に該当すれば、通常問題なく建築することが可能です。住宅地図や公図を持って市町村役場(県によっては県の担当部署)に出向き、道路の種類を尋ねると教えてくれます。

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役場の担当者に「建築基準法の道路ですね」と言われた場合、42条1項の道路である場合が多いです。

また42条の道路の中でも、42条1項1号の道路ならいちばん安心できます。都道府県道や市町村道だからです。

それに対して2~5項の道路は少し解説が必要になります。

1項1号道路に準じる「法42条1項2号道路」

都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律などに基づき許認可等を受けて築造した道路のことです。これらの道路は工事完了後に市町村に移管され、市町村道(認定道路)となる場合が多いため、42条1項1号の道路にほぼ準じる道路といえます。

区画整理事業は住宅地を大規模に作り直す的な事業。こういった事業により建設された道路が該当します。

昔から道だった「法42条1項3号道路」

既存道路と呼ばれています。その場所が都市計画区域になった時点で、すでに幅員4m以上の道として存在した道路の中で、特定行政庁が指定したものが3号道路(既存道路)です。

その場所が都市計画区域になった時点というのは、都市計画法が施行された時(昭和25年11月23日)と、その場所が都市計画区域に編入されたとき(地域により時間差あり)の2種類があります。

たとえば沖縄県では、日本本土復帰後に都市計画区域に編入された土地なども該当します。

都市計画法が施行された時点である程度ちゃんとした道だった場合、「既存道路」に指定されます。

道路完成前でも建築可能?「法42条1項4号道路」

道路がまだできていなくても、将来その道路ができることが確実であれば、その道路に接している土地に建築が可能になるケースがあります。

道路法や都市計画法、土地区画整理法によって道路を建設する事業計画があり、2年以内にその事業が執行されるケースで、なおかつ特定行政庁の指定があれば4号道路として扱われるます。

道路法などの法律に基づいた道路計画があり、2年以内に事業執行される場合、まだできていない道路を接道として建築が許可されることがあります。

自分で道路を作ってしまう「法42条1項5号道路」

いわゆる「位置指定道路」です。ここまでみてきた1~4号の道路は主として公共工事などによる公道が中心でしたが、これは私道です。私道でありながら、特定行政庁の指定を受けて建築基準法の道路とするものです。

よくあるケースは、不動産業者や建築業者が小規模な開発をして上図のような道路をつけるケース。奥の建物は接道しないことになってしまうので、業者が作った道路に位置指定を受けている事例はよく見かけます。

他にも接道していない土地を接道させる方法として、道路位置指定はよく利用されます。ただし、要件は結構厳しく、公共工事並みのしっかりした工事を行う必要があります。予算も期間もけっこうかかる点は注意が必要です。

私道に指定を受けて建築基準法上の道路とする「道路位置指定」。道路位置指定を受けた道路を「位置指定道路」と呼びます。

セットバックが必要な細い道「2項道路」

参考建築基準法が施行された昭和25年11月23日と当該市町村が都市計画区域に指定された時点とのいずれか遅い時点を「基準時」といいます。

基準時にすでに存在していた幅4m未満の道で、そのとき建築物が建ち並んでいたもののうち、指定を受けた道路が2項道路です。指定をするのは特定行政庁と呼ばれる行政庁で、都道府県の場合と、市町村の場合とがあります。

不動産に詳しくない人でも「セットバック」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。「建物を建てるときにセットバックが必要」とわれたら、多くはこの2項道路のケースで、図のように道路中心線から2mの位置まで敷地を後退して建築する必要があります。

多くは里道で、役所窓口で道路の種類は「里道」といわれた場合、その里道が2項道路か、2項道路以外かを調べるのが調査の基本です。

里道であっても2項道路であれば、セットバックさえすれば建築が可能です。

時々、幅員4m以上の2項道路を見かけますが、この場合はセットバック不要です。また2項道路は「みなし道路」とも呼ばれます。

里道については、以下の記事が参考になります。

参考「里道」とは何? 買い取れる? 里道に接している土地に建築できる?

セットバックできない場合の救済策「3項道路」

上記の2項道路は幅員4mを確保することが要件となっています。しかし、土地の利用状況などにより、どうしても4m確保することが困難な場合に、特定行政庁は2.7mから4m未満の道路を指定することができます。ただし、この指定には建築審査会の同意が必要とされており、2項道路よりもワンランクハードルが高いものとなっています。

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3項道路は斜面に形成された市街地など、特殊ケースで指定されます。エリアによっては不動産業者でも、実務上一切お目にかからないこともあります。

代表例としては長崎市の斜面市街地や、京都市祇園町南側地区、神奈川県藤沢市江の島地区などがあげられます。どちらかというと要件が緩和される傾向があるといわれており、今後再建築不可の土地を救済するひとつの手段となるかもしれません。

事例は少ないですが、4m確保できない特殊な2項道路として、3項道路指定される場合があります。

道路に認定されていない場合の救済措置(43条2項)

建築基準法上の道路と認められない道に接している土地について、救済策が建築基準法第43条2項に規定されています。

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最近まで「43条但し書きの許可」と呼ばれていたものです。法改正により、若干ですが使いやすい制度となっています。

もし役所窓口で「この土地は建築基準法の道路に接していません」と言われた場合、実務上真っ先に調査するのがこの第43条2項関係です。

ここがこの記事のメインコンテンツかもしれません。非道路の救済措置として、非常によく見かけるものなので、ぜひ覚えておいてください!

認定・許可の内容とは?

非道路(建築基準法上の道路でない道)道には、農道などさまざまなパターンがあります。一部の私道を含めて、こういった非道路に接している土地であっても、問題がないようであれば建築を許可しようという制度です。

43条2項1号認定

これまでの制度(43条但し書きの許可)では、建築許可を出すために、必ず建築審査会の同意が必要でした。法律の条文は、次のような要件をあげています。

  1. 敷地が幅員4メートル以上の道に2m以上接すること。
  2. 用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合すること。
  3. 特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めること。

②の基準をざっくりいうと、人がたくさん利用する建物はダメで、住宅など利用者が少なく小規模なものはOKということです。これらにつき、建築審査会の同意を不要として、手続きを簡略化したのが43条2項1号認定です。都道府県か市町村の認定で建築が可能になります。

43条2項2号許可

以前の制度(43条但し書きの許可)とほぼ同等の制度です。法律の条文からは読み取りにくいのですが、43条2項1号認定と同じようなケースで、さらに条件が難しい場合には、建築審査会の同意を得た上で許可されるというイメージです。

法律の条文に「その敷地の周囲に広い空地を有する」場合は許可対象とあるとおり、公園や市町村が管理する空地を経て道路に接続する建物などで許可される例もあります。

これらの認定・許可基準は、市町村や都道府県によってかなり違いがあります。そこで、お住まいの地域に関する情報を検索するか、役所窓口で確認してください。

「お住まいの地域名 + 43条2項1号認定」などで検索してみてください。認定基準や許可基準をまとめている自治体が多いので(PDFでダウンロードできたりします)、それを読み込んで、ご自分の土地が該当するかどうかをチェックする必要があります。

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建築基準法43条関係は、再建築不可を建築可能にする場合の切り札的な条文です。要件も若干緩和される傾向にありますので、調査漏れのないようにうまく利用してください。

道路の条件により建築物の規模が変わる?

ここまでは、道路の種類を「建築可能か、不可能か?」という観点だけで解説してきました。もうちょっと深掘りするなら、道路の種類によって、建設できる建物の規模に差が出る場合があり、ここも知っておいたほうがよいといえます。

道路幅員による容積率制限

容積率というのは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を指します。

図のような建物の場合、延べ床面積は110㎡。土地が200㎡ですから、次のような計算になります。

110 ÷ 200 × 100 = 55%

図の建物の容積率は55%ということになります。

この容積率は法律で指定されています(指定容積率)。しかし前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅員によって求められる基準容積率が適用され、指定容積率より低い水準となることがあります。

基準容積率は以下の式で求めます。

式の中に水色で示した係数は、おおむね次のようのように決まっています。

地域・区域前面道路幅員に乗じる数値
1号第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
田園住居地域
40
2号第1種中高層住宅専用地域
第2種中高層住宅専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
40
(特定行政庁が指定する区域では60)
3号その他60
(特定行政庁が指定する区域では40または80)

道路幅員による基準容積率制限は、役所調査の時に都市計画関連の担当窓口で、担当者の意見を聞いておきましょう。

特定道路による容積率の緩和

幅員15m以上の道路を特定道路といいます。この特定道路から枝分かれした道路に接している土地の場合、容積率を緩和しようという制度です。

不動産業者から不動産を購入したり、仲介してもらって購入する場合、重要事項説明書をもらい説明を受けます。その重要事項説明書に基準容積率や特定道路による容積率の緩和は明記されています。

まとめ

実際の調査で役所の窓口に行くと、42条1項1号や2号あたりの道路はざっくりと「建築基準法の道路ですね」と言われます。なので、このあたりはおぼろげに把握していてもなんとかなります。しかし、基準法の道路はそれだけではなく、窓口で「基準法の道路じゃない」と言われても粘ってください

42条1項5号道路(位置指定道路)などは別部署を回らないとわからないことがあります。

43条2項は要注意ポイントなので、記事内容をちゃんと把握しておいたほうがよいと思います。建築主事のいない小さな自治体では、窓口担当者がこういう制度を把握していないケースもあります。役場の窓口で「建築基準法の道路じゃないですね」と言われても、道路を管理する部署などを回ってさらに調査を続けてください。

ちょっと細かい説明をすると、建築主事のいない行政庁では43条の認定や許可が出るか出ないか判断できないのです。小さい市町村などでは建築主事がいませんので、そういった地域での物件調査の場合、都道府県庁に確認しに行く必要があります。ただし、建築主事のいない自治体でも、過去に43条の許可が出た道路を把握しているケースがあり、そういった情報を教えてくれることもあります。

再建築可能か不可か? という調査の場合、43条関係を調べることはよくありますので、建築基準法の道路に接していない物件をお持ちだったり、購入を検討されている場合は注意してください。また、再建築不可を再建築可能にする物件調査は、以下の記事も参考になります。

参考再建築不可を建築可能にする(1)道路調査・接道編

参考再建築不可を建築可能にする(2)市街化調整区域編

また今回は、附則5項道路(建築線)などについては、残念ながら長くなりすぎるので割愛しました。いずれ接道マニアック編のような記事で触れることができればと考えています。

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