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リビンマッチかイエイか?不動産屋だけが知っている不動産一括査定の裏側と本当の使い方

2020年7月22日

私は約10年間不動産会社を経営してきました。その経験から、不動産屋のみが知る不動産オンライン一括査定サイトの裏側と、おすすめの利用方法をご紹介します。

フドマガ
いきなりガッカリさせてしまいそうですが、査定サイトはどこも似たり寄ったりです。

ものすごくざっくり言ってしまうと、不動産一括査定サイトはどこを選んでも大差はありません。

不動産屋の立場で言うなら、不動産一括査定サイトは「案件を取るためのツール」にすぎないからです。ユーザーはそのことを踏まえた上で、査定サイトを戦略的に使う必要があります。

それに加えて、不動産屋だけが知っている「不動産屋よりユーザーが有利となる仲介契約の結び方」についても解説しています。

この記事の結論

不動産査定サイトの利用方法は難しくありません。基本的には、以下の2点を押さえれば大丈夫です。

  1. オンラインの不動産一括査定サイトを利用するなら大手にする。
  2. 一般媒介契約で2社ないし3社に仲介を依頼する。

これだけで、囲い込み行為にあう心配なく、効率的に不動産を売却することができます。

どうしてそんな事が言えるの?

ウェブ上には、不動産一括査定サイト(オンライン査定サイト)を比較したり、ランキングを発表したりするサイトがたくさんありますが、実際にはあまり意味がありません。というよりまったく意味のない話をしているといえます。

実際に一括査定サイトを利用したランキングではない 机上の空論で意味がない
査定してみないとどんな業者が対応してくれるかわからない エリアごとに登録業者がまったく違います

私は不動産業者の立場で約10年間、不動産一括査定サイトを利用してきました。イエイ、リビンマッチ、イエウール、リガイドの4つのサイトを利用し、その良し悪しも理解しています。

その上で「うーん、どこも変わらないな」というのが本音です。

フドマガ
不動産一括査定の仕組みに注目すると、結局査定書を出しているのはその査定サイトではないからです。実際にユーザーに対応するのは、個々の不動産会社です。

つまり、多くの不動産会社にコンタクトして「仲介業者を選べる」状況が作れれば、どこも大差はありません。むしろ田舎だと「リビンマッチとイエイの両方を使って、やっと4社に査定依頼できた!」という状況は普通にあります。

上の記事は当社保有のマンションをイエイで売却してみた体験レポートですが、結局もうひとつの査定サイト(リガイド)を併用して、ようやく4社の不動産屋に査定依頼を出すことができました。

この記事、どんな業者から連絡が来て、具体的にどうやって不動産屋選びをしたかも書いてあります。ダメ業者を断る方法もわかるので、ぜひ読んでみてください。

その他、この記事でわかること

  1. 不動産一括査定サイトのネガティブなクチコミと理由
  2. クチコミに書かれない「不動産一括査定最悪のデメリット」
  3. 上記を把握した上で、不動産一括査定を上手に利用する方法
  4. 私なら使いたい不動産一括査定サイト

実はクチコミに書かれない、不動産業者だけが知っているデメリットがあります。この点についても、できるだけわかりやすく解説していきます。

急いで査定依頼をしたい場合

以下の記事で解説しているリビンマッチというサイトを利用して、できるだけ多くの不動産業者から査定書をもらってください。その中で不自然に高い査定額を出した業者を選択肢から外します。残りの業者のなかから、2社ないし3社一般媒介契約で売却を依頼してください。

参考不動産一括査定サイト「リビンマッチ」のクチコミと利用のポイント

悪いクチコミや低評価レビューも存在する

オンラインの不動産一括サイトをうまく使えば、効率よく不動産を売却することができます。しかし、悪評や批判的なクチコミもたくさん見かけます。私は、それを過度に気にする必要はないと考えています。

ここでは、代表的なクチコミについて背景を解説します。

「個人情報を売り払っている」というレビュー

これは低評価のクチコミとして、けっこう多いパターンです。たしかにユーザーが一括査定サイトに情報を入力すると、その情報は最大6社程度の不動産会社に送られます。見方によっては「個人情報を販売して収益を得ている」ということになります。

不動産会社の人間ですが、査定する方に知って頂きたいですが、この会社に査定依頼すると最低5社に入力した個人情報を1万5千円で売り飛ばされます。

Googleマップのクチコミ

上記はGoogleマップに掲載されたクチコミのひとつです。このように「個人情報が売られている」説をとなえるのは、オンライン査定サイトに登録したものの「仲介契約を獲得できなかった」営業力がない不動産屋が多いです。

でも「最大6社の不動産会社に査定を依頼する」というオンライン査定のビジネスモデルを考えると、これは仕方のないことです。そこで、査定サイト運営業者はPマークを取得するなどの対応を行っています。

また、情報を受け取る不動産業者には宅地建物取引業法第45条により守秘義務が課せられています。業務上知りえた秘密を他に漏らすと、業務停止などの処分を受ける可能性があります。

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そこから、個人情報漏洩については、過度に心配する必要はないと考えています。

「営業電話が迷惑」というレビューは本当?

営業電話は確かにかかってきます

不動産一括査定は一見スマートな不動産テックに見えますが、実際にはユーザーが送信したデータをもとに、不動産屋が現地を確認したり、登記簿を取得したり、パソコンの価格査定ソフトに数字を打ち込んで査定額を出しています。

多くの不動産会社の営業手法はアナログなままなので、普通に営業電話をかけてきます。

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単に値段を知りたい。一切電話してほしくない。という場合は、以下の記事を参照してみてください。地価公示など公開されているデータから、自分の不動産の価格をざっくりと出してみることができます。

参考自分でできる不動産査定。自宅や土地の大まかな値段を出す方法

この方法であれば、不動産屋の電話営業に一切悩まされることなく不動産の価格を概算することができます。

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では「不動産屋は不動産査定サイトをどう見ているのか?」。その点を説明しておきます。

不動産屋だけが知っている不動産一括査定サイトの問題点

不動産屋は不動産一括査定サイトに高額な料金を支払っています。

一括査定サイトから、査定依頼情報(案件)が送られてきたら、不動産屋はお金を払わないといけません。その金額は1案件15,000円くらいのことが多いです。これまでの経験では安くて7,500円、高くて20,000円弱でした。

不動産屋は査定依頼1案件につき、一括査定サイトに対してざっくり15,000円くらいのお金を支払っている。

ユーザーが入力した情報を購入するためにそれだけのお金を払っているのですから、不動産屋としては回収する必要があります。しかも都市部では最大6社の不動産会社に査定依頼の情報(案件)が送信されるため、ライバルが多い環境です(注1)。

ライバルが最大で5社存在する状況で、不動産屋は営業攻勢をかける必要がある。

そんな風に高い情報料を払って厳しいマーケットで営業する不動産屋目線で見ると、次のような行動を取る必要が出てきます。

  1. かけた資金を何としてでも回収する圧の強い営業。
  2. 売れそうにない物件はパスして業務効率を上げる。

かけた資金を回収できない(営業力がない)不動産業者はガンガン脱落していきます。なので、業者はかなり入れ替わっています。

イエイ、イエウール、リビンマッチなどは比較的古くからあり、大手といえます。それだけに登録業者も多く、不動産業者間の競争も熾烈。ここで勝負しようという業者は営業力が高めでやる気ありという感じがします。

その結果実態より高い査定額を出す業者が増えた

悪徳不動産業者がかんたんに仲介依頼をとるために、実際より高い査定額を提示するケースが増えています。

そして年々「実態より高い査定額を出す」という行為が増加しています。これは不動産一括査定最悪の問題点といえます。おそらく、多くのユーザーがバカ高い査定額に惑わされて「そんなに高く売れるなら」と仲介契約を結んだはずです。

適当に高い金額を書いて、お客を喜ばすか! それで仲介がとれるならチョロいよね!
不動産業者A

バカ高い査定書を出す悪徳業者は、不動産一括査定サイトの増加にともなって激増しています。妙に高い査定書は「仲介契約を取るためのウソ査定書かも?」と疑い、その査定額に根拠があるかを読み解いてください。

たとえば「俺の不動産がこんなに高く!」といったコピーと一緒によく見かける、上の図のような広告グラフィック。もし実際こんな分布の査定額だった場合、プロは次のように推測します。

A社3850万円相場内やや高めの査定額
B社4180万円媒介ノルマが足りずに無理のある額を出した
C社3700万円相場内やや低めの査定額
D社3980万円チャレンジ価格(提案価格)

おそらくB社の営業マンは「今月の媒介ノルマが足りずに無理のある数字を出している」という可能性が高いです(注3)。本当の相場は3700万円から3850万円の間にあります。3980万円のD社が提示しているチャレンジ価格というのは、お客様に「売れたらラッキーだから限界ギリギリの高め価格で売り出してみましょうか? それでダメなら値下げしましょう」という提案価格です。査定額を少しでも高めに見せるための苦肉の策ですが、良心的な不動産屋はやりません。

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もしプロが上記の数字「だけ」を見たら、そのように判断します。ちなみに、数字は実在の広告から引用しました。

こういった事情を理解したうえで、不動産一括査定サイトを利用すると失敗が減ります。また、あらかじめ自分の不動産の価値を把握しておくことも必ず役に立ちます。

参考自分でできる不動産査定。自宅や土地の大まかな値段を出す方法

自分で不動産の価値を確認する努力を惜しむと悪徳不動産屋にだまされる傾向があるといえます。最低でも路線価くらいは見ておいたほうがいいと思います。

ユーザーにとって、その他のデメリットは?

不動産屋は資金回収のため営業をかけてきます

めんどくさいことが嫌いな方には、ちょっとつらいかもしれません。特に都市部では売れ筋物件に不動産屋が多数集合する構図となります。どの会社も自社で仲介契約を取りたいため、かなり必死で営業してくるはずです。もしあなたの物件が都市部にある売れ筋物件だとしたら、営業の電話がバンバンくることは覚悟した方がよいでしょう。

とはいえ電話には出た方がいいです。不動産屋から電話が来たら「忙しいんで(ガチャ)」と切ってしまう人も多いのですが、あまりおすすめできません。

ガンガン営業してくる業者こそ、うまく使えば頼れる戦力になります

デメリットは、裏を返せばメリットになる

あなたにガツガツ営業をしかけてくる会社・営業マンであれば、買い手探しもガツガツいってくれる可能性大です。この後で解説するように、一般媒介で複数の会社に仲介を依頼することを前提とすれば、ガツガツ系営業マンを自分の戦力に加えておくことはメリットです。

とにかく、売主であるあなたのためにガッツリ営業してくれる業者を選びましょう。私は不動産会社社長として、あえてガッツリ系の営業会社と協力体制を組み、売却チャンスを広げてきました。その経験から、ガッツリ系営業会社は、うまく使えば役に立つと断言できます。

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しかしガツガツ系営業マンは必ず一般媒介と組み合わせてください。囲い込み行為を防止するためです。

それでも不動産一括査定サイトを利用すべき理由

私は不動産業者として、たった1社の同業者に仲介を任せたために、大切な自宅を安く手放した事例をいくつも見てきました。

それを防止するには、

  1. できるだけ多くの仲介業者とコンタクトする。
  2. そのために不動産一括査定サイトをうまく利用する。

その必要が出てきます。

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特に「うまく利用する」というところがポイントです。漫然と利用するとメリットが半減します。

参考悪徳不動産業者を一覧できるブラックリスト(国交省作成)とクチコミの見方

参考【悲報】おすすめ不動産会社ランキングが作れない理由

結局、不動産一括査定サイトを利用して、実際にコンタクトした不動産業者から選別していく必要があります。

不動産売却で一般媒介をおすすめする理由

不動産の仲介(媒介)契約の形態は主に3種類。その中でも、原則として「一般媒介」を選んでください。一般媒介であれば複数社に仲介を依頼できます。

詳しくは下記の記事で解説していますが、これは「囲い込みをされない」という観点から重要なポイントです。

参考【防止策あり】不動産の囲い込み行為とは?

参考プロが自分の不動産を売るなら「一般媒介」を選ぶ。その理由は?

結局どの不動産一括査定サイトを選ぶべきか?

複数の査定書をもらい、その中から2~3社を厳選する、という利用方法から考えれば「大手オンライン査定ならどこでもよい」といえます。

その中でも私がおすすめしたいのは、実際に長年利用したリビンマッチと、インターネット上でオンライン一括査定をメジャーにしたイエイの2サイトです。

いずれも実際に利用した上で、ユーザーにとっても問題がないサービスだと判断しています。

2006年スタートの老舗「リビンマッチ」

リビンマッチは最古参、最大手のひとつ。エリアにもよりますが、確実に複数社からの価格査定を送ってもらえます。

また、営業所を全国展開しているので、サポート体制もよいと感じました。

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私が最も長く利用した不動産一括査定サイトで、約10年間お世話になってきました。

参考不動産売却査定サイト「リビンマッチ」……運営歴が長く安心して利用できる(無料)

2008年スタートの「イエイ」も十分な規模

昔、男性がギターを弾きながら「家が高く売れた~」と歌うCMで知名度を上げました。それから長らく事業を続けているサイトです。

私はイエイも実際に利用したことがありますが、問題のある同業者が登録している事もなく、安心して利用できるサービスだと感じました。

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逆に私が微妙かなと思うのはすまいValueです。ここは大手6社にしか査定依頼できないため「多様な仲介会社にコンタクトする」という目的を達成できません。

大手だけでいいなら、普通に電話すれば喜んできてくれます。でも、大手仲介業者ほど囲い込み行為をしやすいというデータがあります。なので、大手と中小もしくは地場業者を混ぜた一般媒介にするほうが有利です。

リビンマッチとイエイ、どちらをおすすめする?

正直お好きな方を利用してもらってもよい……とは思うのですが、強いていえば、私だったらリビンマッチを選ぶと思います。

不動産会社の立場で利用していたとき、リビンマッチの業務連絡はしっかりしていると感じました。担当者が変わったときもきちんと通知がきますし、こちらから連絡を取ったときにも返信が早く、結果的に10年間利用させてもらったのかなと思います。

また、農地など、あまり利益になりにくい物件も査定できます。ほとんど何でも査定依頼できるサイトとして、かなり便利でもあると思います。

ただし、イエイがだめというわけではなく「この査定サイトを選んだから失敗した!」というようなものではありません。査定サイトで失敗する原因は、何も考えずに受け身で利用していることにあります。なので、どこを選んでも自分次第、という点は意識しておいた方がよいと思います。

【提案】不動産一括査定の使い方

さてここからは「自分だったらこのように利用する」という前提で、一括査定サイトの利用方法を考えてみます。

一括査定サイト利用の法則
  • 査定書は信じず、価格に気を取られない。
  • 営業マンと話をして、人柄を見る。
  • 一般媒介で3社(または2社)と契約する。

査定書は金額でなく、そこに論理があるかが問題

プロといえども変化し続ける不動産相場全てを把握し、完璧な査定額を出すことは不可能です。というより、完璧な査定額は存在しません

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不動産屋が開発して分譲した土地が売れ残っていたりするのが、その証拠です。プロでも値段を付け間違えることはよくあります

ではどこを見るのかというと、査定額以外の部分。査定書にはその数字を出した根拠も書かれていますが、そこが最重要です。もし根拠が書かれていなければ、その査定書は落第です。別の業者と契約してください。

そして数字以外の根拠部分で大事なのは、どんな取引事例(過去にあった実際の事例)を使ったのかというところ。一戸建ての場合でも土地部分の査定に「取引事例比較法」という方法を用いるので、そこを見てみてください。マンションの場合も、どのマンションのどの部屋と比較したのか、その理由は何か、という点を考えてみてください。取引事例を恣意的に選んでいる査定書は、見る価値がありません

もし根拠がないのにやたらと高い価格査定書を受け取った場合、囲い込み行為にあう心配も出てきます。以下の記事も参照してみてください。

大事なのは結局「どの不動産屋に査定依頼が届いたか」

ほとんどの一括査定サイトでは、情報を入力していくと「これで最後です」と書かれたページにたどり着きます。

そこでは送信内容の確認のほか、情報を送信する不動産業者を選べるようになっています。ここを全然見ないで送っている人も多いようですが、絶対に見ておいてください。

ポイントは、以下の2点です。

  1. 何社に情報を送信できるか
  2. 大手系に偏っていないか
フドマガ
たくさんの会社に情報を送信できる場合は問題ありません。しかし、エリアによっては1社とか2社しか登録していないケースがあります。郊外ではけっこうあるケースだと思います。

エリアによっては登録業者が1社か2社しかなくて、しかも大手系しか選べないこともあります。その場合はどこの不動産会社だったかをメモしておき、他の一括査定サイトも利用して網羅的に査定依頼を出しましょう。大手系と地場業者の両方から査定書をもらいたいからです。地場業者の査定額はシブめのことがありますが、そういう業者は案外信用できると思います。

大手一括査定サイトの営業担当者は、定期的に地方を回って、自社のサイトと契約してくれる地場の不動産屋を開拓しています。なので、地方の物件の査定依頼であれば、中小規模の査定サイトよりも、大手一括査定サイトを利用した方がいいと思います。その方が登録している不動産業者が多く、依頼する業者の選択肢が増えるからです。

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大手不動産業者なら安心、と思っている人もいますが、そうとは限りません。大手のほうが囲い込み行為をしやすいというデータもあります。ですから、大手系と地場業者をまんべんなく配してください。

このように、複数の一括査定サイトを利用してでも、ある程度の件数の不動産屋から査定書をもらい、コンタクトできる体制を作りましょう。

営業マンと電話で話す(人柄や知識を見る)

めんどうだとは思うのですが、営業の電話がかかってきたら話をしてみてください。聞いておきたいのは、査定書の金額を出した根拠。その際、どのような取引事例を使用して査定したかです。査定書の査定額は、取引事例しだいで大幅に上下します。

営業マンが査定書の根拠をしっかり話せれば合格ですが、話に詰まるようでは落第です。落第の会社と仲介契約をすると、おそらく業務報告書なども適当だと思われますので、仲介依頼をするのはやめておきましょう。

あとは営業マンの人柄を見て、利用する不動産会社を決めていきます。

仲介を依頼する業者は3社選ぶ

仲介を依頼する業者を1社に限定する必要はありません。契約の形態によりますが、実は何社とでも仲介契約(媒介契約)を結ぶことができます。

とはいえ、多すぎるとマイナスなので、おすすめは3社です。そして、その選び方には法則があります。

都市部大手業者2社+地場業者1社
郊外地場業者2社+大手業者1社
田舎大手業者1社+地場業者1社+リゾート系1社

上記のような組合せがおすすめです。

要するに、個性が違う業者を組み合わせて客層を広げることが狙いです。都市部であれば大手業者3社を並べてしまうのも手ですが、地場業者を組み合わせておくと思わぬお客さんを連れてきてくれることがあります。

郊外に行くと物件価格が安くなるため(仲介手数料も下がります)、大手系のやる気がダウンします。そこで、安い手数料でも頑張ってくれる地場業者をメインに、念のため大手系をひとつ加える布陣がよいでしょう。

専任媒介を避け、一般媒介を選ぶ

ここでは3社と契約するための契約類型について解説します。

仲介のことを宅地建物取引業法の用語で「媒介」といいます。そして、媒介契約には以下の3類型があるのはご存じかもしれません。

契約類型複数社との契約自己発見取引(注2)
専属専任媒介不可不可
専任媒介不可
一般媒介

結論から言うと「一般媒介契約」を選んでください。そうでないと1社だけにしか仲介を依頼できません。

専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合は、1社にしか依頼できないため、囲い込み行為を防ぐことが困難です。その点一般媒介契約だと、悪徳不動産屋が混じってしまったとしても、その悪徳業者は物件を囲い込むことができないので安心です。

ただし、何か問題を解決しないと売却ができないなど、条件によっては専任媒介をチョイスすべきケースもあります。一般媒介契約か専任媒介で迷った時は、以下の記事も参考にしてみてください。

【まとめ】不動産一括査定サイトの使い方をおさらい

一括査定サイトを利用するなら最大手で、確実に複数社からの査定を送ってもらえるところを選んでください。その上で原則として一般媒介契約で、2社ないし3社の仲介会社に売却を依頼します。

それだけで、不動産の囲い込み行為にあう心配がなくなり、売却効率も高くなります。

具体的なサイトとしてはリビンマッチをおすすめします。私は不動産会社を創業してから事業譲渡する時まで、ずっとリビンマッチを利用してきました。10年近いお付き合いがあったので、まず最初におすすめしておきます。事業所も全国にあるので、サポート的に安心できたのも大きいです。

もし物件が地方にあり、対応している不動産業者が少ない、あるいはない場合は、ダメ押し的にイエイを試してください。リビンマッチとイエイをあわせて、5~6社くらいに査定依頼を送っておくほうが安心できます。査定依頼を受け取っても、条件によっては査定書を出してくれない会社も存在するからです。

この2サイトをためしてみても対応不動産業者が見つからない場合、売却はかなり難しそうです。物件からいちばん近い業者に足を運んでみて、そこに依頼するという方法になると思います。ただし、田舎の業者さんだと「うちは専任しかやらないよ」といったりする場合もありますが、そういう業者は絶対パスしてください

補足・売却がスタートしてからのヒント

その後不動産業者は買いたいお客さんに物件を案内し、契約がまとまれば重要事項説明書や契約書を作成してクロージングに持ち込みます。

契約から決済、物件引き渡しまでの流れは以下の記事で別途解説しますのでそちらをご覧ください。

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注1……一括査定サイトによっては、売買の仲介業者6社と賃貸の仲介業者3社の合計9社に情報を送信するところもあります。こうなると不動産屋にとってはライバルが8社ある状態で査定書を出すことになりますので、良心的な査定書を出せるかどうかはかなり微妙。

注2……「自己発見取引」とは、仲介依頼をした不動産屋を通さずに自分で買主を見つける取引です。専属専任媒介契約の場合、自己発見取引もできないので、選択する理由がほとんどありません。

注3……媒介ノルマ、媒介契約ノルマとは「今月(または今クォーター)この件数の仲介依頼をもらいなさい」という営業ノルマです。ある程度規模の大きな不動産仲介会社では、媒介ノルマがあります。小規模な会社では社長が媒介契約を担当していたりして、そういうノルマがなかったりします。また、チャレンジ価格というのは、査定書に書いてはいけない数字です。正常価格に基づいた査定額を示した上で、「お客様の物件にはこのような特長がありますから、チャレンジしてみましょう。ついては査定額に300万円乗せて売り出してみませんか?」と、論理立てて説明すべきです。いきなり査定書にチャレンジ価格を書いてしまう業者は、仲介契約が取れなくて困っている可能性あり! 実力が疑わしいので、売却依頼は避けた方が無難です。

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