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【お宝物件探し】市街化調整区域で建築可能にする要件は?

2020年7月12日

動産活用 再建築不可を建築可能にする(2)市街化調整区域編

動産活用 再建築不可を建築可能にする(2)市街化調整区域編

市街化調整区域とは、都市計画上市街化を抑制する地域で、原則として建築は認められません。ですが、「市街化調整区域好き」といわれる不動産屋もいることからわかるように、例外があり、化ける物件が多い地域でもあります。

この記事では、「都市計画」が問題で再建築できないケースについて検討します。一般的に「市街化調整区域」では建築できませんが、「建築できる」ように緩和される要件があり、実務ではまずその要件に該当するかどうかを調べます。

ただし市街化区域と比べて物件数が少ないため、取り扱いをしたことがない不動産屋もいます。経験のない不動産屋であれば「市街化調整区域には建築できない」と単純に判断してしまうかもしれません。宅地建物取引士試験レベルでは「市街化調整区域は無秩序な市街化を防止するために、市街化を抑制する地域だ」という事は出題されますが、それ以上に突っ込んだ物件調査テクニックには触れられません。したがって、宅建士であっても、市街化調整区域の物件に詳しくない人はたくさんいます。

今回は市街化調整区域の物件を数多く扱ってきた経験に基づき、市街化調整区域の物件調査について、基本的なポイントを紹介します。

そもそも市街化調整区域とは何か?

そもそも市街化調整区域とは何か?

都市計画法の第7条に区域区分が定められています。条文を見ると、次のように規定されています。

第七条 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる。(中略)

3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

ここだけ見ると「やっぱり市街化調整区域には建築できないのか」と思ってしまいがちですが、そうとは言い切れません。

HIDE
私が宅建業(不動産屋)をスタートした時期に主要な商圏としていた沖縄県糸満市のケースを見てみましょう。MapExpartのサイトで、糸満市の用途地域を見ると図のようになっています。

色がついているところが市街化区域で、この部分は用途地域ごとに色分けされています。地方圏ではありがちですが、市役所が存する中心地に市街化区域が固まっており、それ以外はほとんどが白色の区域(注1)。

ではこの白色の区域は建築ができず、人は住んでいないのでしょうか? そんなことはありません。実は白色の区域(市街化調整区域)には、糸満市の人口の3分の1くらいが住んでいますし、住宅もアパートもたくさん建っています。つまり、市街化調整区域にまったく建築ができなわけではないのです。

HIDE
建築できないエリアに、何で立ってるの? と思いますよね。その秘密は法律の立て付けにあります。

ここですべての法律を追いかけるのは不可能ですが、よくあるパターンとしてふたつのポイントを挙げておきます。市街化調整区域には原則として建築はできないものの、メジャーな救済策がふたつあるということです。

緩和区域に該当する場合

緩和区域に該当する場合

都市計画法は第34条で、市街化調整区域に建築できる要件を定めています(厳密に言うとちょっと違いますが、大まかにはそのような理解で通じます)。たとえば、周辺に居住している人にとって公益上必要な建物や日常生活のために必要な物品の販売等の店舗などは建築が認められます(要件は細かく具体的に決まっています)。

第34条はそのほかにも、市街化調整区域内で建築可能な用途を列挙する構成になっています。

その第34条第11項で、住宅等を例外的に建築できる要件を定めています。

市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

HIDE
ざっくりいうと「街にぎりぎりくっついてるエリア」とか「昔から家がたくさんあって現在も50件くらいが集まっているエリア」には建築を認めてもいいかな、という条文です。

これを受けて各自治体で開発許可基準を設けており(設けていない自治体もあります)、その基準に合致すれば、開発許可申請をしたうえで建築が可能になると考えられます。たとえば、沖縄県糸満市であれば、11号区域として竹富や座波を含む11地域(の一部)が指定されており、自己用住宅を建てる場合、以下のような条件で開発許可されます。

①自己の居住の用に供する住宅を所有していないものが行う開発行為等であること。
②開発行為を行おうとする土地が当該区域内に存していること。
③予定建築物の用途が自己の居住の用に供する一戸建ての住宅(建築基準法別表第2(い)項第2号に掲げるものを含む)であること。
④予定建築物の敷地面積が150㎡以上であること。

上の要件をまとめると「市街化調整区域内であっても緩和区域であれば、150㎡以上の土地になら、自分の家を持っていない人が自宅等を建てることができる」ということです。

こういった要件を、調査したい物件がある地域の役所で調べます(インターネット上に公開されていることも多いです)。該当する場合は建築許可される可能性があるので、役所の窓口に行き、再度詳しく確認をするとよいでしょう。窓口で「わからない」と言われた場合は、「ではどこで聞けばよいのか」を尋ねて粘り強く調査してください。

沖縄県ではこれら要件が緩和されている地域を「自己用住宅の立地緩和区域」と呼んでいます。他の自治体でも、同様の名称で類似の制度を定めているようです。

担当窓口が分からない場合は、役所の受付等で「用途地域を調べたいのですが」と尋ねてみましょう。

既存宅地の場合

都市計画法施行以前には、都市計画の制限を受けることなくさまざまな場所に住宅等が建築されていました。都市計画法が施行された途端に市街化調整区域の宅地等の利用が制限されてしまうと問題がありますので、都市計画法施行以前(線引き以前)に宅地であった場合は、住宅に限らず様々な建築物を建築できるとされました(既存宅地確認制度)。

HIDE
今度はエリアではなく、一軒一軒の土地について、条件に当てはまれば建築を許可しようという制度です。

ただし、この制度は平成12年に廃止され、その後5年間の経過措置をもって利用できなくなっています。

これをもって「既存宅地制度は廃止された」といわれていますが、実は廃止されたというより、「既存宅地制度が許可制に移行した」と考えた方が実態にあっています。

平成12年の改正都市計画法では、旧法では許可不要で認められた既存宅地での建築について、周辺環境の保全等に支障がない用途に限って建築を目的とする開発行為を許可することとしています。

これを受けて都道府県や市町村が条例によって開発可能な地域、用途を定めることができるようになりました。

調査したい物件が存する自治体の定めを確認する必要がありますが、多くの地域で旧既存宅地制度に該当した土地について、開発許可・建築許可がされるケースがあります。この要件については、もれなく調査をしておくと意外な土地でも建築が可能になることがあります。

また、宅建業者の実務では、前述の「自己用住宅の立地緩和区域」に該当していたとしても「既存宅地ではないか?」という点は必ず調べます。「自己用住宅の立地緩和区域」の要件では自己用住宅(または兼用住宅)しか建てることができませんが、既存宅地であればもう少し要件が緩く、たとえばアパートなども建築できるからです。

物件調査をする場合、こちらの担当窓口は税務課や総務課などが多いようです。

登記簿だけではわからない

たとえば私が遭遇したケース。他社で「建築許可は下りないので、農地並みの価格です」と言われた激安物件の再査定依頼がありました。調査すると、市街化調整区域内の土地で、登記簿の地目は農地。ですが、現地を眺める限り、どうも以前建物があったように見受けられます。

そこで市役所に行き「都市計画法施行以前に宅地として課税されていたか?」を調査したところ、宅地課税されていたことがわかりました。

沖縄県の場合、宅地課税されていたことが既存宅地である条件です。そこで、農地であっても既存宅地として開発許可されると判断されました。かなり該当する物件は少ないですが、こういう盲点もあるので、1軒の不動産屋に「建築不可」と言われても、粘り強く調査をするべきだと思います。

そのほかにも建築可能となるケースが

そのほかにも建築可能となるケースが

開発許可や建築許可については、法律の条文が多岐にわたり、また複数の法律の制限を受け、複数の法律に緩和される要件が書かれていることから、そのほかにも再建築不可の条件を再建築可能とする法律上の技術は存在します。

たとえば農振農用地内には、農地法に基づく届け出により、90㎡までの建物を建築できる場合があります(建築確認申請が不要ですが居住はできません)。

他にも大がかりな開発行為を伴うなど、どちらかというと個人で行う開発行為や建築にはあまり縁がない情報が多いと思われます。

そこで、本エントリーではそういった点についての解説は省略しますが、土地活用にどうしても行き詰まってしまった場合には、他にも建築可能となる方法はないのか、さらに調査をしてみる価値はあると思います。

参考までに、市街化調整区域内で地目が農地(畑や田)の場合は以下の記事を参照してみてください。宅地転用可能な場合もあります。

【五条申請】農地を売却するには? 宅地転用可能な条件を整理

HIDE私の不動産屋人生は田舎を舞台にしている時期が長く、農地法五条申請も日常的に経験していました。その知見を生かして「農地を売却するノウハウ」をまとめてみます。 農地を売却するにはふたつのパターンが ...

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注1……都市計画法と農地法をごっちゃにしてしまい、白色の区域を「白地」と呼ぶ人がいますが、これは間違いです。白地とは農地法上の農地であり、農振農用地ではないものを指しています。もともと農振農用地を青で、それ以外の地位には着色しなかった(白色だった)ため、白地と呼ぶようになったようですが、法律上の用語ではありません。

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