不動産活用

レオパレスに学ぶ、サブリース契約(一括借上げ)の落とし穴とは?

2020年6月6日

6月5日付けの朝日新聞によると、レオパレスが1千人規模の希望退職を募り、人員を削減するそうです。2018年に界壁の未設置という施工不良が指摘され、そのほかにも不備の指摘があったレオパレスは、相当な規模で施工不良の物件を抱えているようです。

実はレオパレスの施工不備は界壁の未設置だけではなく、いくつも指摘されています。レオパレスの公式サイトで施工不備について出されたリリースは少なくとも4件。界壁の施工不備(2018年4月)、天井部施工不良(2019年2月)、界壁内部充填剤の相違および外壁構成における大臣認定との不適合(2019年2月)、界壁の耐火構造使用の不適合(2019年5月)について、公式に認めています。

レオパレスの赤字は803億円に拡大しているようですが、これについて朝日新聞の報道の要点は次の通りです。

  1. 施工不備物件の改修が進まず2割程度の部屋が空きの状況
  2. 新型コロナの影響で繁忙期に思うような営業ができなかった
  3. 新型コロナの影響等で改修工事が進まなかった

ではなぜ、レオパレスは多数の物件で問題のある建築工事を行ったのでしょうか? その理由を考える前に、レオパレスがどのように不正な工事を行っていたのかを見てみましょう。楽待の以下の記事が参考になります。

楽待「レオパレス施工不備問題、報告書で描かれた『ワンマン創業者』」

調査委員会は会社ぐるみと判断

上記の楽待の記事は、2019年5月に発表された弁護士からなる外部調査委員会の報告書をもとに、創業社長がワンマンであり遵法意識も薄かった上、業績拡大を優先したことが原因だったと述べています。

実際のところレオパレスが施工した建物の大半に不備があることから、不備を前提とした事業計画であったと判断されてもしかたがない状況です。

ただし、サブリース事業を行う会社の中で、レオパレスはまだマシな方だったと思います。なぜなら、スマートデイズなどはさらにひどかったからです。

サブリース事業の問題点

人はなぜサブリース物件に投資するのか? サブリース物件に投資するのは、不動産投資のプロではありません。素人がターゲットなのですが、なぜ素人投資家がサブリース物件に手を出すのかは明白です。

「家賃を保証します」と言われるからです。

アパートを建築する際、場合によっては億単位の融資を受けることになり、普通の人は不安で踏み切れません。そこで、アパート建築から利益を生みたい会社は「20年一括で借上げるので安心できます」「30年一括で借上げるので安心できます」といった営業トークで素人投資家を安心させます。

ちょっと古い記事ですが、2018年8月15日にMy News Japanに掲載された「大和ハウスよお前もか 20年一括借り上げで『大丈夫』だったはずのアパート経営、築7年で一方的に契約解除の無責任」と題する記事を見てみましょう。次のように書かれています。

 管理戸数54万戸という、大東建託に次ぐ規模のアパート建設管理業部門を持つ大和ハウス工業(樋口武男会長、芳井敬一同社長・本社大阪市)が、「大丈夫」と安心させて販売したアパートの20年一括借り上げ契約を、経営が苦しくなったとみるや、わずか7年目にして、オーナーとろくに話し合いをすることもなく一方的に解除していた事実が判明した。男性は、契約解除の無効を訴えて裁判を起こし、一審・釧路地裁は、オーナーの一部勝訴を言い渡した。大和ハウス側は控訴し、なおも争っている。「建てるときは“大丈夫です”と繰り返した営業マンは、苦境に陥ったとたんに手の平を返したように冷淡になりました。建築費用も割高だった、と後から知りました」と男性は憤る。借金をさせて建てさせ、利益を出したら、あとは野となれ山となれ、借金返済に窮したオーナーなど見捨ててしまえばよい――そういわんばかりの冷酷な企業体質が浮き彫りになった。

My News Japan

つまり、一括借り上げは暫定的な約束でしかなく、契約書を読み込めば建築業者(管理業者)が後から都合よく条件を変更できるようになっているのです。ただ、小さな文字で書かれた契約書を隅々まで読み込む時間や気力のある人は少数派。多くの人は口頭の説明だけで契約書に記名押印してしまいます。

サブリース契約では前提と思われた「20年一括借上げ」「30年一括借上げ」が、実はお題目だという点が問題なのです。しかも、アパートオーナーが自分で賃貸経営をした場合よりも家賃は安く設定されているため、メリットがほとんど存在しません。

サブリース契約(長期一括借上げ)とは、オーナーを安心させてアパートを建てさせるためのツールだった、と考えた方がよいでしょう。業者としては、オーナーが安心して何も考えずにいてくれるおかげで、手抜き工事もやりやすくなるわけです。

レオパレスが建築基準法に合致しない建築物を大量に建築した背景には、そういった事情があると考えられます。


2020年9月29日追記

朝日新聞朝刊に『レオパレス 債務超過118億円 施工不備後 入居率回復せず』という記事が掲載されました。

記事によるとレパレス21が「2020年6月末時点で118億円の債務超過になっていたとみられる」と発表したそうです。理由としては施工不備が発覚していこう、アパートの改修作業が進んでおらず、入居率が回復しないことを挙げています。報道では、新型コロナウィルスの影響によって工事が遅れたことなどがその理由とされています。

ただ、実は建設業は本来、新型コロナウィルスの影響をあまり受けていないといわれています。私の周りの建設関係会社でも「コロナウィルス流行下でも仕事が忙しい」「大手はしばらく自粛したが、その自粛期間は2週間程度で、建築工事は通常と変わらず進めていた」といった話が多く聞かれます。

そこから「新型コロナウィルスの影響によって工事が遅れた」というのは本当の理由ではない可能性もあると考えています。

また朝日新聞の記事によると、レオパレス21の現状は次の通りです。

アパートの施工不備問題後に低迷した賃貸事業の回復が十分に進まないなかで会社の資産よりも借金などの負債が多い超過に陥り、財務状況が一層深刻になった。

朝日新聞

4~6月期の決算が発表される明日、さらに詳しい事情が明らかになりそうです。

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