不動産トピック

『これだけは知っておきたい 空き家対策の法律・税金と活用法』

2020年5月8日

「相続した実家が空き家になっているが大丈夫だろうか?」「高齢の親が住む家について、どんな対策をしておけばいいのだろうか?」といった悩みを抱える人は多いはず。全く知識がない人にとって、本書は広く浅く、概観的な知識を身につけさせてくれる一冊といえます。

相続や税金関係については、公認会計士の先生が監修しているだけあって、
読む価値あり。一方、空き家の活用についてはあっさりしており、この点は別の資料で補強した方がよいでしょう。

空き家を放置するとどうなるのか?

写真はイメージです

本書でも冒頭付近で「空き家対策特別措置法とはどんな法律なのか」という節をもうけ、特定空き家にしていされた場合のデメリットについて解説しています。

空き家対策特別措置法では、「空き家等」のうち、倒壊のおそれのある危険な状態、著しく衛生上有害な状態、著しく景観を損なっている状態などにあるものを特定空き家等と定義しています。 特定空き家等については、その所有者に対し、取り壊しや修繕などの必要な措置をとるよう市町村長が助言・指導し、助言・指導に従わないときは勧告をすることができます。市町村長が特定空き家等の所有者に対して、この勧告を行い、周辺の生活環境を保全するための必要な措置を要求した場合には、この特定空き家等に関する敷地について、それ以前に適用されていた固定資産税の住宅地特例の対象から除外されます。

この時点でデメリットとして大きいのは、「固定資産税の住宅地特例の対象から除外」されるという点です。ざっくりいうと、敷地の規模により固定資産税が3倍ないし6倍に跳ね上がります(注1)。

また、市町村長の勧告に従わないと改善命令が出され、改善命令に従わない場合は罰金が課される可能性があります。最終的には市町村が強制的に取り壊してその費用を所有者に負担させる行政代執行も認められます。

空き家対策特別措置法施行前と比べて、空き家を放置した場合のリスクは格段に大きくなっているといえます。

その他本書の目次から

とくに一読をおすすめしたいのは「第6章 実家の相続と対策」「第7章 空き家をめぐる税金対策や相続税・贈与税の知識」。頭に入れておきたい重要な項目をしっかり解説しています。2018年に法律で定められた「配偶者居住権」などは、まだ知らない人も多いと思われますので、ぜひ押さえておきたいところ。

一方で、空き家の活用法や売却・賃貸に関しては、ボリュームの割に内容が薄く、別の資料で補強しておきたい部分です。当サイトで関連するエントリーを拾い読みするだけでも、役に立つと思います。

とはいえ、空き家にまつわる問題を網羅的に扱っており、本書を手に取れば対策すべきポイントを漏れなくつかめるというメリットは評価できると思います。なお、網羅的な本なので、不動産の専門家が勉強するのには向いていません。あなたが宅建士資格を持っているようなら、テーマごとに掘り下げた本をおすすめします。



これだけは知っておきたい 空き家対策の法律・税金と活用法 (すぐに役立つ)

注1……住宅が立っている土地は、その200平米以下の部分について固定資産税が6分の1に、200平米を超える部分については3分の1に軽減されています。この軽減措置を受けられなくなるということです。

-不動産トピック
-

© 2020 fudomaga | 不動産マガジン