不動産相続

相続した家(土地)を売却する時の税金を大幅に節約できる特例をわかりやすく紹介

2020年4月23日

両親が住んでいた田舎の一戸建てを相続したけど、売ったら税金が高額になりそう。そんな心配をしている方もいるはずですが、税金がゼロになるかもしれない特例措置があります。それが、空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例(空き家特別控除)

一定の要件に当てはまるとき、相続した家(土地)を売った譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる制度です。つまり、3000万円以下で売却した場合非課税。それ以上であった場合、3000万円までの部分について非課税です。

この特例、利用できればかなり効果が大きいのですが、要件が多くてわかりにくいのが問題。要件が多いということは当然に、減税対象者に該当しない人も多いということです。

そこで、田舎の家を相続した! という方向けに、セルフでできるチェック方法をまとめてみました。上から順にイエス・ノーで判定していくと、おおよそ「特例を受けられそう」「ダメそう」という判定ができます。

Check.1 そこに被相続人が住んでいた?

相続または遺贈によって取得した不動産で、そこに被相続人(亡くなった方)が亡くなる直前まで住んでいたことが条件です。しかも相続の直前まで、被相続人のみが住んでいたことが要件。ノーなら脱落。イエスなら次へ

ただし、ノーの場合でも下記注釈の特例措置あり! ノーの人は本ページの一番下を見てみてください

Check.2 昭和56年5月31日以前に建てられた?

ノーなら脱落。イエスなら次へ進みます。

Check.3 マンションではない?

マンションなら脱落。ただし、ちょっと注意したいのは、実際には「区分所有建物登記がされていないこと」という要件なのです。したがって区分登記されているテラスハウスなどであればアウトな可能性あり。区分所有建物に該当しない人は次へ進みます。

Check.4 相続してから3年以内に売る?

正しくは「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。」とされています。「いやー4年以上前だったかな」という場合は脱落。イエスなら次に進みます。

Check.5 令和5年末までに売る?

国税庁によれば「平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売る」とされています。該当しなければ脱落。該当すれば次に進んでください。

Check.6 売却代金は1億円以下?

「以下」ですから1億円はギリギリセーフです。また、分割して売却した場合は「相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により」判断されます。

注意したいのは「他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により」という部分。分割した結果「弟も1億、俺も1億」みたいなのはアウトということになります。

ということで1億円を超えると脱落、それ以下なら次へ

Check.7 事業に使ったり貸していなかった?

これも具体的には「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸し付けの用又は居住の用に供されていなかったこと」が要件とされています。相続してから売却するまでの間に、事業で使ったり、貸したり、自分で住んだりしていたら脱落。そうでなければ次へ

Check.8 耐震基準を満たしている?

これはCheck.2と真っ向から対立しそうな厳しい要件。新耐震基準は1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準なので、ほとんどCheck.2と両立し得ないと思われます。ほとんどの人がここで脱落しそうですが、回避策はふたつあります。①耐震改修する、②建て壊して更地にする、の二択となります。更地にしても、この特例措置は適用されるからです。

被相続人が存命の間であれば行政の補助を受けて、自己負担の少ない耐震改修が可能ですが、亡くなってからでは行政の補助が受けづらいという問題があります。費用対効果の面から「耐震改修して売る」よりは、「更地にして売る」ほうに軍配があがりそう。

というわけで、Check.8で脱落した人は、下の「更地にして売る場合」を参照してください。イエスなら次へ

Check.9 他の特例を受けていない?

売った建物や土地について「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと」が要件とされます。また、同じ相続人から相続等で取得した不動産についてこの特例を受けている場合は、重ねて特例を受けることはできません。

他の特例を受けている場合は脱落、そうでなければ次へ

Check.10 身内に売ってない?

親子や夫婦など、特別の関係がある人に対して売ったものの場合は脱落。特別の関係とは「生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人」なども含まれます。

そういった特別の関係がある人に対して売った場合は脱落

そうでない場合は、適用を受ける可能性あり! かなりの難関を勝ち進んだあなたはラッキーといえます。

とはいえ、各要件にさらに細かい条件があったり、一つの土地に2以上の建物があった場合どうするかという規定があったりするので、専門家に相談した上で最終判断をしてください

更地にして売る場合

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一般的には、更地にしてでも特例を受けた方がおトクな場合が多いです。

実はこの特例、相続をした後に建物を壊して更地にしてしまっても適用を受けることができます。解体費用もけっこうかかるとは思いますが、たとえば「親が長年住んだ一戸建てを3000万円で売却できた」というケースで何もしなければ譲渡所得税は500万円を超える可能性があります(取得費がわからない場合など)。それと比べたら、さすがに解体費用のほうが安いケースが多いはず。

耐震改修をしてから売却しても、もしかしたら譲渡所得税より安くつくので節税効果があるかもしれません。しかし、耐震改修の費用と解体費用を比べたら、どちらかというと解体費用の方が安い(ケースバイケースなので、逆転することもあり)ので、更地にする方向で心づもりをしておいてよさそうです。

更地にするための建物解体は、どこに見積りを依頼すればいいかもわからないのが通常。不動産業者でも「解体屋さん紹介してもらえますか?」と聞かれて、安くていい業者をぱっと紹介できないケースが多いです。

そこで、以下のような一括見積りサイトを利用してみてください。見積だけなら無料なので、とりあえず見積もりを取り、耐震改修との価格差をチェックしておくということでもよいと思います。

参考解体工事一括見積【解体工事のナコウド】……建物解体工事優良業者の一括見積りサイトです。全国対応しているので地方でも利用できます。

耐震改修については以下の記事を参照してください。

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更地にした場合「取り壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと」という要件もありますので、注意してください。

注1……被相続人が老人ホーム等に居住していた場合の被相続人居住用家屋であった場合、特例を受ける可能性あり! 敗者復活戦のようですが、一定の要件を満たせばこのケースでも特例を受けることができます。ただし、例によって要件は細かくてめんどくさいです。

ざっくりいうと、要介護認定や要支援認定を受けて一定の施設に入院していた場合や、認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居などに入居していた場合は対象となる可能性あり。その場合、施設に入居する直前まで、その空き家に住んでいたなら対象となります。

さらに、施設に入居しても引き続きその家屋が被相続人の物品の管理その他の用に供されていたこととか、空き家になったけれど誰も住んでいなかったことなどの要件もあります。相当細かいので、この辺は専門家(税理士など)に相談しておいた方が確実です。

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