不動産売却

三為業者とは? そして第三者のためにする契約とは?

2020年3月14日

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小学館から発売されているコミックス『正直不動産』の第7巻に「三為業者」が登場しました。このマンガ、不動産を売買するすべての人が読んでおきたい良書ですが、いかんせんマンガなのでそこまで詳細なところは解説できていません。

そこで、新中間省略登記という手法について、本エントリーで解説しておきたいと思います。

投資セミナーと三為業者の連携プレー

本書では三為業者が、ちょっとワルい感じで登場します。

本作品中に描かれているのは不動産投資セミナーなどと連動して、セミナー受講者に物件を高く売りつけるタイプの三為業者。真の売主と買主の間に入り、登記には登場せずに、転売益だけをがっちり稼いでいくというビジネスモデルです。

作品中では主人公が勤務する登坂不動産のライバル会社、ミネルヴァ不動産がセミナー受講者に三為での購入をしかけます。ミネルヴァ不動産は売主から5400万円で物件を買い受ける契約を締結(第1契約)し、登記名義はそのままで、エンドユーザーに5800万円で売却します(第2契約)。主人公は売主の女性資産家に「三為でもいいのですか?」と詰め寄りますが、彼女はあっさりと「永瀬くん、私は三為で全然構わないわよ。」と答えるのでした。

『正直不動産』7巻(小学館/大谷アキラ)より引用

つまり、作品中の事例では、売主と三為業者は損をせず、買主だけが損をするように設定されていたのです。この作品を読むと、三為あるいは中間省略登記がすべて悪いことのように思えるかもしれませんが、そうではありません。

投資セミナーなどと組んで、エンドユーザーに物件を高く売りつけるタイプの三為業者に問題があるのです。つまり、三為契約かどうかが問題ではなく、セミナーでうまくだまして物件を高く買わせることが大問題ということです。

本来の「第三者のためにする契約」とは?

登記技術や不動産売買の実務に即して考えると、第三者のためにする契約とは、中間省略登記を実現するための手段にすぎません。

歴史的な話をすると、登記がオンライン化される以前の旧不動産登記法のもとでは、中間省略登記が認められていました(あるいは法務局が黙認していました)。不動産業者は登記申請の手間や、登記申請にかかる費用を節約することができたのです。

ところが、平成17年の法改正により、旧来の中間省略登記ができなくなりました。この改正については不動産業者等から緩和を求める要望が強く、それを受けて国土交通省総合政策局不動産業課長から宅建業法の適用関係に関する通知が出されたのです。

甲(売主等)、乙(転売者等)、丙(買主等)の三者が宅地または建物の売買等に関与する場合において、実体上、所有権が甲から丙に直接移転し、中間者乙を経由しないことになる類型の契約である「第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転」又は「買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転」については、「乙が宅建業者で丙が一般消費者」であるとき、契約形態の違いに応じ、宅建業法の適用関係について次の点に留意すること。(後略)。(週刊住宅新聞社『不動産取引の実務』より引用)

つまり、「次の点に留意すること」とされた点に留意すれば、三為契約は、宅建業法上も適法とされたわけです(注1)。

実務上意外とよくある三為契約

悪の三為契約みたいなものではなく、普通に登記技術的な問題として、三為契約にしておくことはちょいちょいあります。たとえば、売主さんが会社社長で「僕の個人名義なんだけど、会社で売りたいんだ。今期の決算微妙だから、資産の売却をしておきたくて」というような場合(注2)。

実際の契約書の一節

税務上グレーな部分があるかもしれませんが、司法書士さんは問題なく「了解です。新中間省略登記でいきましょう」と、引き受けてくれます。

これは実体としては社長個人から会社に原価で譲渡し、会社が原価+利益で売却するということになります。こうなると誰が損をするということもありませんから、普通の仲介業務と違いはありません。

このように三為契約(中間省略登記)自体には違法性はなく、悪用する(あるいは説明すべき点を説明せずに詐欺的に契約する)ことに利用される可能性がある……ということです。何ごとも事情を知り、正しく恐れることが肝要です。


注1……留意すべき一定の点とは、三為業者が他人物の所有権の移転を実質的に支配していることが客観的に明らかであることなど。

注2……このケースでは売主が宅建業者ではないため、そもそも宅建業法の制限は受けないので、単なる他人物売買ですが。

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