不動産活用

不動産購入で価格を値切る最高のタイミングと買付証明書の話

2020年3月9日

今回のエントリーは、不動産会社を経営する中で得た経験則。個人の考えですが、そこそこ当たっている部分もあると思います。

ここで解説するのは、最も強力な価格交渉の方法と、最強価格交渉ツールである「買付証明書」の出し方です。

とりあえず、ダメな価格交渉の例はこんな感じです。

お電話ありがとうございます。〇〇不動産です
不動産業者B
お客さん
おたくで広告している□□の物件、まだ残ってます?
はい、今のところ申し込みはいただいておりませんので、大丈夫ですよ。
不動産業者B
お客さん
じゃあ、値段下げられる?

この電話を受けた時の仲介業者社員の脳内では「そんなの知るかよ」とこだましているはずです。仲介物件の場合、売主も個人(または一般企業)ですから、仲介業者も価格交渉をしてみるまで実際の成約価格はわかりません(原則として)。なので、物件を見たことさえない人がテキトーに電話口で「じゃあ、値段下げられる?」と尋ねても、「そんなの知るかよ」としかいえないわけです(もちろん表現は丁寧に変換するとして)。そして、こんな内容のない電話を、売主に取り次ぐこともありません。

あなたが売主で仲介業者から次のような報告を受けたとしたら、どう感じるでしょうか?

先ほどお電話でお客様の物件について問い合わせがありまして、値段は下がるかと尋ねられたのですが、いかがいたしましょうか? ちなみにこのお客様は物件を見ていませんが……
不動産業者B

真剣に取り合うはずがないですよね。それどころか、この仲介業者大丈夫かな? と思うはずです。だから、仲介業者はこの電話を売主に取り次ぎません。漠然と「じゃあ、値段下げられる?」と聞くのは、何の値段交渉にもなっていないわけです。

売主に判断を迫るべし

上記のような漠然とした価格交渉(交渉になっていませんが)の、正反対の交渉方法は、売主に具体的な条件を突き付けて「イエスかノーか」の判断を迫ることです。

売主がそのオファーについて真剣に考えて、何かの結論を出さざるを得ない状況にもっていってはじめて、有効な価格交渉をしている、といえます。あるいは、本当の意味で主導権を握っているともいえます。

その前提として、やるべきことは次の3点です。

  1. 自ら物件を調査する
  2. 自ら周辺の相場をチェックする
  3. 支払える金額/支払方法を確認しておく

つまり、「その物件が購入に値することを確認する」「購入してよいなら、自分が支払うべき価格を確定する」という作業をきっちりと行うこと。難しければ仲介業者の手を借りてもかまいませんが、あくまでも主体は自分だという意識が大切です。なぜなら、どんなに親切な仲介業者でも、あなたの価値観やあなたの財政状態を正確に把握することはできないからです。

上記の作業が完了したら、そこで確信を持った価格を、売主にぶつけてください。できれば支払いやその他諸条件を明らかにしたうえで、買付証明書を提出し、売主に絶対に答えを出すことを迫るのが最良です。「こいつは真剣だぜ」と思ったら、売主も真剣に対応せざるを得ないでしょう。

買付証明書とは?

購入申込書ともいわれる書類で、一般的に不動産の購入では、最初にこの書類を仲介業者(を通して売主)に差し入れます。

ぼくが不動産屋を始めたころ、先輩業者から「買付証明書は紳士協定だからね」といわれましたが、おおよそそういう性格の書類です。法的拘束力はないので契約書とは違うのですが、まずは買付証明書を出して売主・買主双方で交渉し、合意に達した後にその合意内容に沿った契約書を作成します。

つまり、買付証明書は「この不動産を買う」と決めた段階で提出する書類。だからこそ、買付証明書が最強の価格交渉ツールとなるのです。具体的に「この価格で、この条件で買う」と表明している書類ですから、それを受け取った売主は内容を吟味せざるを得ません。売主に判断を迫る切り札といってよいでしょう。

なお、買付証明書の法的な性格については以下のサイトを参照してみてください。わかりやすくまとまっています。

公益社団法人全日不動産協会「買付証明書の法的性格」

買付証明書の選び方

買付証明書は一般に、仲介業者が「このフォーマットをつかってください」と用意したものを使っているはずです。しかし自前の買付証明書を用意しても、まったく問題ありません。買付証明書にはやけに詳しいフォーマットもありますし、妙にあっさりしたフォーマットもあります。

価格交渉の内容によって売主に開示する情報をコントロールしたいので、買付証明書のフォーマットを自ら選択することにはそれなりの意味があります。

たとえば予算ぎりぎりだけど買いたい場合。職業や年収などを書き込めるフォーマットを利用して、「私はきっとローンが組めるはず」というアピールをしておいたほうがよい可能性があります。ついでに金融機関で仮審査なども通しておくとベスト。売主は「この人は購入する能力があるのだな」と判断し、真剣に対応してくれるでしょう。

逆に資金にも余裕があり、安いと思っている物件をさらに値切りたい場合には、買手側の属性を明らかにしたくない場合もあります。仲介をしていて「こんなに年収のある方なら、もっと高く買ってもらいたい」と言われたことも……。

そこで、場合によってはシンプルな内容で、ただ「この物件を買いたい」と表示した方が有利なケースもあります。

買主についていろいろ詳しい属性を表示できるバージョンと、シンプルであまり書くところがないバージョンの買付証明書、ふたつの書式を以下のページからダウンロードできますので、ぜひ活用してみてください。

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