不動産トピック

【不都合な真実】不動産賃貸の手数料は本来家賃の0.5カ月分

2020年2月9日

写真はイメージです

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1月中旬、東急リバブルが上告を棄却されたと報じられました(東京高等裁判所)。これは、どういうことでしょうか?

不動産賃貸の仲介手数料は、本来賃料の1カ月分ではなく0.5カ月分。業界内では公然の秘密だったカラクリがついに法廷で判断されました。

この訴訟により何が争われたのか、朝日新聞の記事から引用してみましょう。

賃貸住宅を借りる際、業者に支払う仲介手数料。1カ月分を支払うケースが多いが、実は0・5カ月分が原則だ。この支払いが争われた訴訟で東京地裁が8月、「借り主の承諾がなかった」として仲介業者に取りすぎた0・5カ月分の返還を命じる判決を出した。不動産業界からは戸惑いの声も上がっている。

仲介業者(不動産屋)は、宅地建物取引業法によって免許され、営業しています。その宅地建物取引業法第46条には、次のように定められています。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

そして、「国土交通大臣の定め」によると、宅建業者(不動産屋)が受領してもよい仲介手数料は、最大家賃の1カ月分で、なおかつ入居者から0.5カ月分、大家さんから0.5カ月分ということになります。

↑本当は、コレでなければいけないのです。

実際には入居者に説明なく1カ月分の賃料を受領

上記のように、法令上の本則は、大家から0.5カ月+入居者から0.5カ月(=合計1カ月)分の家賃相当額を仲介手数料として受領できることになっています。ただし、例外として、「仲介依頼」の成立までに借り主の承諾があれば、借り主から1カ月分受け取ることができます。

ところが、ちまたの不動産屋の大半は、入居者に説明なく、しれっと1カ月分の賃料相当額を請求しているのが現状です。 業界大手の東急リバブルでさえ敗訴するくらいですから、 中小の仲介業者・賃貸管理業者はよりルーズな運用をしていると考えてよいでしょう。なので、おそらく大半の読者は「えっ!? 入居時の仲介手数料って、法律で家賃の1カ月(が上限)と定められていると思っていた」と驚くはずです。

これは、不動産業者は知っていたけれど、入居者にはひた隠してきた不都合な真実ともいえます。その証拠に、不動産業者(宅建業者)が法律で「掲示しなければいけない」と定められている「報酬規定」に、仲介手数料に関する法律上の定めが明記されているのです。業者が「知らない」ということは考えられません。

ところが、入居者は「知らない」まま、法令の本則に対して2倍の仲介手数料を取られているわけです。そういった実態が、今回の東京高裁判決(これが3審めで確定判決となります)とその報道によって明らかになりました。

今後は仲介手数料が安くなる?

今回の判決によって、賃貸の仲介手数料について明らかになりました。では、今後賃貸住宅を借りる人の仲介手数料は安くなる……でしょうか? そうはならないでしょう。

なぜなら、不動産屋(賃貸管理業者)にとって、大家さんは大事なお得意様。入居者はそれに比べてワンランク格下の、重要度が低い顧客だからです。以下の記事を参考にしてみてください。

賃貸住宅入居者はカモ? カネをむしりとる管理業者の手法

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上記記事にあるように、大家さんさえいれば入居者は後からついてくる……というのが賃貸管理業のビジネスモデル。ですから、不動産屋は大家さんに頭が上がらないのです。

今後予想される展開は次の通りです。

買手市場で入居者が集まらない地域では、おそらく入居者の家賃上限額は0.5カ月という動きが広がっていく可能性があります。しかし、入居者募集に苦労しない地域では、今後とも入居者は1カ月分の家賃相当額を、仲介手数料として請求されるでしょう。

不動産屋の窓口に行くと、まず様々な注意事項を書いた用紙にサインをさせられることになるでしょう。その中に、しれっと「仲介手数料を家賃の1カ月相当とすることに合意する」という内容が含まれているはずです。

たとえばいまだに一極集中化が進む東京(とくに山手線の内側エリア)では、当面仲介手数料が安くなるということはないでしょう。もし「新聞で読んだけど、仲介手数料の本則は0.5カ月分じゃないか」と抗議したとしても、「じゃぁ、ヨソを当たってください」といわれればそれまで。ボロくて不人気な物件でない限り、なかなか法律(告示)の本則通りの仲介手数料にはならないと考えています。

※冒頭の写真はイメージです

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