不動産活用

100万円の蔵みたいな物件に学ぶ公図の話

2020年2月4日

沖縄から大阪府阪南市に引っ越してきてひと月。ようやく沖縄の物件ではなく、大阪の物件のチェックがはじまりました。今回は、表題の通り「漁港の目の前の100万円の蔵みたいな建物」が古家として建っている土地に目を付けました。

純然たる収益物件への投資ではなく、事務所兼倉庫……兼何か、みたいなスタンスで「とりあえず使わない資料とか道具とか楽器とかを置いておきながら活用法を探す的なスタンスです。

ところが……。

この記事のチェックポイントは「公図」。普段我々が「公図」と呼んでいるものの正体について、ざっくり解説しています。

仲介会社には気の毒な物件

低価格物件というのは、仲介会社にとって残念な物件です。100万円の上物付き土地の仲介をして、もらえる手数料は5万円+消費税。賃貸の仲介に比べて作業量が多い売買の仲介であるにも関わらず、下手をしたら賃貸の仲介以下の手数料になってしまいます。

なので、まったく責める気はありませんが、仲介業者さんはやる気ない感じ。物件調査もあまりきっちり行われていない状況で、現地を案内してもらいました。僕は現地に着いたらまず外側からチェックしていくのですが、今回は「さっぱりわからない」というのが正直なところ。境界標がなく、どんな形状の敷地かわかりません。

汚水桝があり、下水が来ているように見えますが、仲介業者さんの話では「汲み取りです」とのこと。しかも排水経路はよその土地に越境しているように見えます。

この時点で、普通であれば購入をやめるべきですが、倉庫兼事務所としてなら検討してよい気がしたので、内部の見学後に公図や謄本を送ってもらうよう請求しました。

この公図はヤバい

公図を入手して最初に一瞥するのは、縮尺と精度区分(人によるとは思いますが)。で、この公図には精度区分がありませんでした。縮尺は不明です。

そんなことがあり得るの? と思いながら右側を見ると、分類が「地図に準ずる図面」で、種類が「旧土地台帳付属地図」となっています。これはヤバい。

ここで、公図についてちょっと考えてみましょう。

僕たちが日ごろ「公図」と呼んでいるもののほとんどは、実は「公図」ではなく「地図」です。もうちょっと正確にいうと「十四条地図」と呼ばれるものです。不動産登記法第14条をみると、次のように書かれています。

第十四条

登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。

2 前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。

3 第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。

4 第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。

5 前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。

6 第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。

不動産登記法的には、第14条1項でいうような「土地の区画を明確にし」た図面を備え付けてほしいというのが本則。ところが、それ(十四条地図)がそろうまでの間、4項で規定する「地図に準ずる書面」で間に合わせておいてもいいよ、という建付けです。詳しくは以下のリンクが参考になりそうです。

あなたの街の登記測量相談センター「地図に準ずる図面とは」

上記サイトには次のように書かれています。

地図に準ずる図面の由来は、明治時代から、登記簿や土地台帳とともに、土地の客観的な状態を示す公的資料として役所に備え置かれてきた公簿の1つなので、一般に「公図」といわれています。

不動産関係者は、十四条地図も公図もごっちゃにして「公図」と呼んでいますが、今回僕の手元に来たのは紛れもない、本当の公図。正真正銘の公図なので、明治時代に作成された(とおぼしき)「旧土地台帳付属地図」をもとに作成されています。

念のため法務局で尋ねてみましたが「土地の形は全然信用できません。参考にしないでください」とのこと。

まいったなぁ、と思いながらもう一度現地を訪れて境界標(杭)を探していると、町のことなら何でも知っていそうな近所のおじさんが!

こんなの買うたらアカンで

おじさん曰く「こんな物件、お金もろてもいらんでー」とのこと。「ちょっと来てみ」というのでついていくと、近くにある大きめの汚水桝をのぞき込み「満潮になったらあふれるで」というではありませんか。

「ま、こんなの買うたらアカンで」というのがおじさんの意見でした。

他にも聞きたいことがいろいろあったので、立ち話をしていると、重要な情報が得られました。この土地(建物)は数年前に60万円の売却希望価格で買い手がつきそうになり、交渉が決裂して売れなかったのだそうです。買い手が「60万円は高い」と値切ったので、商談成立しなかったのだとか。近年の価格動向に鑑みて、数年前に60万円だったのなら、いまも高くて60万円が妥当でしょう。

そこで、買い希望価格を60万円に設定。おじさんの「買うたらアカンで」のアドバイスをしり目に、とりあえず買付証明書を出したところです。

続きはリアクションがあった時点で更新します。今のところ「釣り人向けの宿とか、成立するんじゃないかなぁ」と思っています。

価格100万円構造木造瓦葺二階建土地面積47.57㎡
建物面積67.45㎡都市計画市街化区域用途地域第一種住居専用
土地権利所有権築年昭和44年5月  
所在大阪府泉南郡岬町深日
交通南海電鉄多奈川線深日町駅徒歩8分
その他電気、水道、浄化槽(下水配管あり)、プロパンガス、接道:西側公道幅員1.1m
備考駐車場なし

【追記】
とりあえず60万円の指値が通り、購入しました。詳細は改めて。

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