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コンテナハウスは本当に安い? 本当の見積とトレーラーハウスの話

2020年1月18日

SNSなどで定期的に上がってくる「おしゃれなコンテナハウスが、こんな激安価格で!」的な記事。たとえば「40万円のコンテナハウスで豊かな暮らし」といった書きぶりですが、本当でしょうか? 40万円というのは中古コンテナ1本の価格に過ぎず、これを住居に改造するとなると、相当なコストがかかります。実際にはそれほど安くもないコンテナハウスの、メリットとデメリットの両方を考察してみたいと思います。

コンテナハウスの見積大公開!

ネットで検索しても、実際の価格はなかなかヒットしません。そこで、まずは20ftコンテナ2本を連結した住宅タイプのコンテナハウスについて、見積を公開しつつ、高いのか安いのかを考えてみましょう。某コンテナハウス屋さんから実際にもらった見積に基づき、それ以外の工事(水道や電気の一次側接続工事や基礎工事)も含めたトータルの価格を出してみます。

品名金額
20ftドライコンテナ(2本)560,000円
アルミフラッシュドア(玄関)140,000円
アルミサッシ(3か所)368,000円
鋼材加工取付費880,000円
水回り工事費(キッチン・ユニットバス等)830,000円
内装工事費(ベニヤ・ジップトーン等)430,000円
二次側電気配線工事(LED灯含む)200,000円
塗装費(シャーシブラック・ハイポン等)130,000円
コンテナ配送費110,000円
設置作業費(クレーン、水平調整込)80,000円
基礎工事800,000円
インフラ一次側引込み250,000円
合計5,768,000円
合計(税込)6,344,800円

ざっくり600万円台前半で、下の図面のようなプランが実現できる(可能性がある)という事です。価格は時期により変化しますし、上記の内訳のなかでも基礎工事はかなり安めに見積もっています。建物がぎりぎり乗る程度の最低限のベタ基礎で、外構工事などは含まれていません。ですから、もうちょっと高くなる可能性もあります。

一件安そうに見えますが、坪単価60万円ほどですから、激安というわけではないのです。木造住宅の平均的な坪単価は50万円前後といわれているので、小規模である点を考慮しても、かなりいい勝負という印象です。

それなのに、コンテナハウスがじわじわと流行の兆しを見せているのは、なぜなのでしょうか?

デザインがかっこいい

出典: Jetson Green

写真のようにかっこいいデザインのコンテナハウスであれば、価格面でも納得できる可能性があります。他の工法にない存在感のおがけで、価格面のアドバンテージが特に存在しないと分かっても、コンテナハウスを選択する理由になるからです。

Jetson Greenというサイトに掲載されている、このコンテナハウス(上物)の価格は39000ドル。400万円台半ばくらいですから、ウチで取った見積と同水準です。広さも20ft×2で、まったく同じサイズと思われます。

安い土地にこういう建物をポンと置いて、総工費600万円台からというのは、確かに手軽といえば手軽で、別荘的に利用するならアリかも知れません。

工期が早く、構造も強固

普通の住宅を建てようとしたら、だいたい半年くらいは覚悟しないといけないでしょう(もっと早く建ててくれる工務店もありますが)。コンテナハウスの場合は、メーカーの混み具合にもよりますが、早ければ1カ月くらいで完成します。このあたりのスピード感から、現場用の休憩所や、季節ものの建物(海の家やイベントでの仮設建物)としての需要も増えているようです。

構造としては一般的な住宅よりも堅固な重量鉄骨造ですから、地震にも強いといわれており、とにかく錆びなければOKです。

他の工法よりもメンテナンスをマメに行う必要がありますが、要は錆びなければOK。塗装さえしっかり確認しておけば、コンテナハウスは長持ちします。しかも、平家のコンテナハウスであれば、自分で塗装できてしまうため、コストもかかりません。

コンテナハウスのデメリットとは?

知り合いの建築士さんで、数年前からコツコツとコンテナハウスを研究している人がいます。まず最初に20ftコンテナを事務所風に改造して、それを空き地に設置するところから始めたそうです。

その結果、コンテナハウスをノーメンテナンスで放置すると、3年くらいで屋根の錆が深刻化し、場合によっては雨漏りにつながることが分かったそうです(再塗装した中古コンテナを利用)。コンテナハウスの屋根には傾斜がなく、降った雨は屋根にたまってしまいます。そこから錆が発生しやすいと考えられるそうです。これを防ぐために、その建築士さんは「2年ごとに塗装をやりなおす必要がある」と考えているそうです。

また、コンテナハウスとはいえ断熱材や断熱塗装を施工しますが、それでも室内は普通の建物よりも暑くなります。クーラーをかければ問題ないのですが、冷暖房費用は若干多めにかかる可能性があります。

そのほか、CONTAINER BASEというコンテナハウスメーカーさんがデメリットを一覧にしてくれています。

CONTAINER BASEさんがリストアップしている、コンテナハウスのデメリットをまとめてみましょう。

イメージほど安くない

これはすでに説明したとおり、5m×5mの小さい建物でも635万円くらいと、決して安くありません。

イメージほど簡単に移動できない

コンテナハウスも建築物なので、結局は基礎を施工して上下水や電気などのライフラインを接続します。その費用はけっこう高いので、移動するにはかなりの費用がかかりますし、一度ばらして組み立てる手間も莫大なもの。

イメージほど簡単に移動できるものではありません。

コンテナを運び入れる道路付けのよさが求められる

コンテナハウスのプランニングは、土地のチェックからスタートします。かなり大きなユニック(クレーンがついた大型トラック)で運び込むため、道路が狭いと設置することができないからです。

「こういう人里離れた立地にコンテナハウスをぽんと置いたらかっこいいなぁ」と思うことはありますが、実際には難しいケースが多いです。

そのデメリットはトレーラーハウスで解決できるかも?

トレーラーハウスなら、コンテナハウスのデメリットのうち、かなりの部分を解消できます。

トレーラーハウスで問題解決するのでは?
  • 車輪がついていて簡単に移動できる
  • 上下水道、電気も利用できて、移動時には外せる
  • 耐久性はコンテナハウスよりも高い(かなり長持ち)
  • 価格はコンテナハウスより安い(商品に寄ります)

とくに、最近話題になっているSPACER(株式会社WOOROM.)のトレーラーハウスなどは、全長5.4m(床面積12㎡)タイプで2,799,000円(税込)と格安です。

屋根がガルバリウム鋼板で外壁が樹脂サイディング(寿命は30年くらい)と、耐久性はコンテナハウスより相当程度高く設計されています。断熱材もしっかり入っているので、快適性でもすぐれています。

水回りなどのないスケルトン状態ですが、小型のシンクが95,000円(税込)、エアコンが109,000(円)とオプション価格も安く、すべてまとめても300万円台から。

小さな別荘、事務所、店舗などの用途で考えるなら、コンテナハウスよりもおすすめできる選択です。

参考SPACER

トレーラーハウスは4年で減価償却するため、店舗や事務所などの事業用としてかなりおすすめです。

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