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「家いちば」の物件は安いのか? 現役宅建士が査定して判明した事実

2019年12月11日

家いちばというサイトがあります。「不動産を直接売りたい人のための掲示板サイト」と銘打っており、さまざまなメディアでも紹介されていますので、ご存じの方も多いでしょう。一般的には「直接売買するから、こんなに安い物件が!」的な文脈で語られています。しかし、全部が安いわけではないようで、眺めていると「ん?」と引っかかる物件も。

そこで気になった物件をいくつか査定してみました。すると「そういうことかー」という価格の傾向がわかってきました。以下に整理してみましょう。

普通の不動産屋も扱う物件は高い

そこそこ売れ筋のエリアにあって、通常の流通に乗りそうな物件は、一般的な相場通りか、むしろ高い価格で掲載されているようです。たとえば、以下の物件。

沖縄県豊見城市豊崎の築浅マンション。物件の情報には書かれていませんが、プレミスト豊崎ですね、コレは。そこで、レインズに登録されていた2018年の取引事例を利用して、ざっくりと査定してみました。

家いちば掲載価格3780万円
査定額2466万円

家いちばの情報では所在階が記入されていなかったので、中層階と想定して査定していますので、誤差はあるはずです。しかし、2500万円前後が相場であることは間違いなく、現在高騰を続けている海近・オーシャンビュー物件のプレミア分を乗せても、3000万円強がいいところでしょう。というわけで、この物件は相場より高いです。

沖縄県内のほかのマンションも査定してみましたが、同様に割高でした。たぶん、普通の流通で売れるような物件をあえて家いちばに載せているということは、むしろ「ちょっと高めで売りたいから、変わったサイトで広告してみようか」という意図がありそうです。

思い入れがある系もちょい高め

下記は、京都府亀岡市の古家付き土地。最近までご自分で住んでいた住宅を古家付き土地として売却するそうで、価格290万円と総額では安そうに見えます。

しかし、土地面積は140.62㎡(42.54坪)しかなく、坪単価は68000円ほどになります。そこで、レインズで京都府亀岡市畑野町千ケ畑の売出事例を調べてみました(現在売出し中の物件)。登録は9件あり、一番安い事例が坪単価1万円。一番高い事例が坪単価76000円でした。最も集中している価格帯は、坪単価23000円から25000円。約半数の事例がこの価格帯に集中していることから、「坪単価25000円くらいの地域ではないか」と推測できます。

また、同じエリアの戸建て住宅は180万円から売り出されており、290万円という価格が特に安いわけではないことがわかります。

このように「最近まで住んでいた自宅を売却します」といった、ちょっと思い入れのある物件の場合も、安くないというかちょっと高い可能性さえある価格で登録されています。このあたり、冷静に見ておかないと、かえって高い買い物になるかもしれません。

では、買うべき物件は?

家いちばを利用するなら、「100万円未満」「100万円台」というリンクの二択でしょう。このどちらかをざーっと眺めて、自分が希望するエリアに物件があればラッキー。その情報をじっくりと読み込んでみてください。

「自分の実力でこの物件をモノにできる!」と思ったら、詳細に検討する価値あり。ただし、重要事項説明書に記載されるような基本事項の調査を自ら行う必要があります。法令上の制限を把握した上で、次にリフォーム可能かどうかを判断する、という高いハードルを超える必要があるため、大変といえば大変。しかし、中にはお宝が眠っているような気はします。

個人的に「いいかも」と思ったのは以下の物件。1965年築のマンションですから、100万円という価格が安いのかといわれると「うーん」とうなってしまいますが、スケルトン状態なのがよいところです。フルリフォームするなら手間が省けていい感じです。とはいえ、リフォーム代は安くすませても500万円コースですから、総額で600万円以上の買い物になるかな、という感じ。「自宅用にキャッシュで購入する」という場合におすすめできる物件でしょうか。ただし、耐震性能などには疑問が残りますから、そのあたりは自己責任で。

最後に、100万円未満とか100万円台の物件を買ってどうするのよ? と思った方に、以下の関連記事をおすすめします。

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