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なぜか残金決済を急がせる売主。その詐欺的な狙いとは?

2019年11月25日

同業者と打ち合わせをして、さて帰ろうかというタイミング。まだコーヒーも残っており、なんとなく無駄話が始まりました。話題は「危なかった決済」の話。

決済とは、残金決済のこと。ここで不動産取引の流れを確認しておきましょう。

不動産売買の流れ

買付証明書交付
「この物件が買いたい」と決心したら、買主はまず「買付証明書」「購入の申込書」などといわれる書面を、売主に差し入れます。この時点ではまだ手付けなどは支払いません。なぜなら、宅建業法で「契約を締結する前に重要事項説明をする」ことが義務づけられているからです。購入申込みの時点では取引の詳細が決まっていませんから、重要事項説明書が完成していません。
契約締結
買付証明書を交付してから、2週間くらいで交渉をまとめ、重要事項説明を行った上で契約を締結します。このとき、手付金を交付します。
決済準備
契約締結後、買主は金融機関に融資の申込みを行います。金融機関への正式な融資の申込みには通常契約書が必要なので、本申込みは契約の後というのが手順です。ただし、契約締結前に仮審査を申し込んでおくのが一般的です。
残金決済
さて、契約締結後、ざっくり1カ月くらいで金融機関の融資が実行されます。金融機関から融資を受けた資金で買主は売主に残代金を支払い、同時に売主から買主名義に所有権移転登記を申請します。これが「残金決済」です。

売主がやたらと急いでいた

残りのコーヒーを飲みながら、同業者のH氏が話してくれたのは、やたらと決済を急ぐ売主の話。決済を朝一番(9時)に設定し、開口一番「今日このまま飛行機に乗るから、とにかく決済を早く終わらせてほしい」といいます。

その態度を不審に思ったH氏は、銀行担当者に「ごめん、悪いけど法務局で最新の登記簿を取ってきて」とお願いし、その時間を稼ぐために話を引き延ばす作戦に出たそうです。その間も売主は「急いでくれ」と急かし続け、ますます怪しい雰囲気に。

はたして、銀行職員から「登記簿が取得できません!」との電話連絡が入ったそうです。さっそく、関係者全員で売主を詰めることにしました。

多額の抵当権が設定されていた

以前取れた不動産の登記簿が取得できないとなれば、考えられる原因は「登記事件中」であること。つまり、何らかの登記申請がなされている最中(登記簿が、法務局によって書き換えられている最中)ということになります。

そうすると、第一に頭をよぎるのは二重売買。すでに売主は第三者に当該不動産を売却しており、この売買で買主からお金を詐取しようとしている可能性があります。

もうひとつ考えられるとすれば、買主が知らない間に抵当権などの制限物件を設定していて、その状態で売却することで借金(抵当権などをつけて借りたお金)と、売買代金を二重取りしようとしているケース。今回はこの、抵当権を設定していた事例だったそうです。
売主は決済直前に抵当権を設定して、街金から多額の融資を受けていました。しかもそのことがバレにくい、朝一番に決済時刻を設定。あわよくばそのまま飛行機で高飛びするはずでしたが、H氏や銀行員が機転を利かせて登記簿をとってみたおかげで、売主のもくろみは崩れ去ったということです。

もっとも、この話はずいぶん昔の事だったようです。今はオンラインで登記簿が取得できますから、こういった詐欺はやりにくくなっているはずです。現在の取引では、司法書士さんが朝一番で「事前謄本」を取得して「最新の登記簿でも、怪しい動きはありません」ということを確認して見せてくれるのが一般的です。

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