不動産トピック

『老いた家 衰えぬ街』

2019年10月7日

『老いる家 崩れる街』の著者、野澤千絵が改めて住まいの終活を問うた一冊。前作と同じ講談社現代新書から出版されています。

すでに戸建ての4軒に1軒が空き家予備軍といわれている状況を分析し、どのように対策するか。また、大相続時代に古い家をどう終活するかを考えます。

空き家予備軍とは、高齢者のみの世帯が住んでいる住宅を指します。全国に720万戸あるといわれていますが、これらの空き家予備軍が近い将来一斉に空き家になるはずです。その時、すでに問題になっている危険な空き家や不衛生な空き家に、自治体のインフラが食い潰される恐れもあり、この問題に対する対策を考えておくことは急務といえます。

著者は「相続放棄」についても詳しく解説しています。

相続人全員が相続放棄を行った場合、一般的に、相続放棄者が複数いるということになるわけですが、相続放棄後の空き家は、空家法上、一体誰が管理義務を負う「管理者」に該当することになるのでしょうか? これについても、複数の解釈があり得るとされていますが、国土交通省住宅局住宅総合整備課及び総務相地域創造グループ地域振興室の事務連絡では、「最後に相続放棄をした者」と解釈されています。つまり、自分が実家を相続放棄したせいで、後順位の相続人、たとえばいとこを実家について民法上の管理義務を負わせたり、空家法上の管理者にしてしまうのです。

昨今では負動産を相続したくないために相続放棄をする例もままあるようですが、相続放棄をしても単純に空き家の管理義務を免れるわけではなく、結局相続人の誰かが管理せざるを得ないということになります。

相続財産管理人制度を利用すれば、こういった問題を解決できるかもしれません。相続財産管理人制度とは、相続人の全員が相続放棄をした場合等に、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が相続財産の管理や精算をし、余った財産があれば国庫に帰属させるという手続きです。

しかしこの制度を利用する場合、申立人は家庭裁判所に予納金を納める必要があります。裁判所はそこから相続財産管理人への報酬を支払ったり、相続財産の管理費用に充てたりします。もし相続財産の中に売却困難な負動産が含まれていたら、相続財産の管理費用を払い続けなければなりません。これは、相続人にとってかなりの負担です。

現状でもこういった問題が深刻化しているのに、空き家予備軍が本当の空き家になってしまう将来、市町村の都市計画にも支障となりそうです。また、そこに投入される税金も巨額なものになるでしょう。

著者は海外の事例などを紹介し、いくつかの解決法を提案しています。特に巻末の付録「住まいの終活ノート」は秀逸で、確かにこれさえ作っておけば相続する財産の状況をしっかり把握できそうです。

これだけ空き家予備軍があるのならば、これからはそうやってできた空き家を賢く買って、住居費を抑えることも考える価値ありだと思います。トカイナカは緑が多く、しかもそこそこ便利。僕は阪南市や岬町をおすすめしますが、郊外を見渡してみると、他にも気になるエリアがたくさんあるはず。

ところで、僕が買った物件も負動産に近いものでした。大阪阪南市の山側に位置する物件は、地元業者曰く「投げ売り状態」。売却が困難なおかげで、かなり割安で購入することができました。しかも森永卓郎氏がいうトカイナカ物件。最寄り駅(南海本線の鳥取ノ荘駅)から難波まで、調子がよければ40分台。ラピートを使わなくても50分くらいで通うことができます。

空き家を買って、耐震改修をして自分好みにリフォームしても、新築よりはるかに格安。総額1500万円くらいに押さえて、1200万円借入をしたとしても、返済は賃貸住宅の家賃より楽です。今の金利なら、ボーナス時加算なしで月々45000円くらい。しかも、トカイナカなので休日の充実感は抜群。阪南市ならビーチもありますよ。

大相続時代をチャンスととらえてみましょう。

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